22 松崎の後悔



松崎は、香奈の1歳をめどに


久美子の復帰を探っていた


千尋の出産からの復帰作品では、


今までの役のイメージから大きく変わり


役柄が定着しない時期があった


その時期は、仕事にも恵まれず


一部のファンから酷評を受けた



その時に知り合った無名のA監督作品が


話題になり、同時に久美子のイメージが定着した


低迷時期に苦しい思いをした経験から


今回の復帰もA監督作品を望んだ



そこで、A監督が新作を撮るという話を聞き


プロデューサーとAに久美子の復帰を相談していた



プロデューサーと松崎の間には、信頼関係があり


A監督は、久美子の作品で有名になった


その関係から復帰は、すぐに決まった



松崎は、すぐに久美子にこの事を知らせ


久美子も、喜んだ


新作の打ち合わせとして


久美子、松崎、その他にも顔なじみの役者が


A監督の誕生日パーティーに呼ばれた



松崎と久美子は、プレゼントもち監督宅に向かった


旬は、その時期、仕事が忙しく


その日も帰りが遅かった


二人が遅くなる日は、


千尋と香奈の面倒は、、松崎さんの妹


由香さんにお願いしていた



パーティーも終わる頃


復帰作の話に入った


プロデューサーとA、久美子と主要キャストが


出来上がったシナリオ読んでいた


プロデューサーとA監督は、主役は、久美子として制作を進めている


久美子は、低迷時期を思い出すと不安だった


話好きが集まり時間は、あっという間に過ぎた


日付も変わる頃、


松崎の電話が鳴った


妹の由香からだ


「おねーちゃん、千尋ちゃんが熱出ちゃってー」


「微熱なんだけど」


松崎は、「すぐ帰るから、病院の用意しておいて」


そう言うと電話を切った


松崎は、久美子を


小声で、呼び出し、久美子に伝えた


久美子は、「松崎さんお願い」


これが松崎の後悔だった


今まで自分の育てた役者を一人残し帰ることなど


なかった


今回は、久美子も、自分も頑張って掴んだチャンス


二人は、その思いから、、、、、


いや、マネージャーとして


復帰を焦っていたから、、、


松崎は、先に帰り、千尋を病院に連れて言った


久美子は、その後も、


監督のアイデアをどんな形にするか


みんなで話し合っていた


気がつけば、2時を過ぎていた


留守番電話に、松崎からのメッセージ


「久美子ちゃん千尋は、ただの風邪ですぐに良くなるだろうって」


「薬も貰って、もう寝てるから、ちゃんと付いてるから」


その様子を見たプロデューサーが


帰宅を促しタクシーを呼んでくれた


久美子は、「主役を演じる」そんな思いから、


最後までと言う気持ちは、あったが


千尋のことが心配になり帰ることにした


帰宅すると、先に帰っていた旬が


「どうして、帰ってこなかった」


久美子が何か話す前に旬は、子供部屋に入った、、、




1週間後


週刊誌の紙面にA監督が載った


勝手口の扉を開けるA監督の手が


腰に手が回るよう見える


二人の写真が掲載された



「密会」の見出し


誕生日会だろうと、何人も集まったパーティーだろうと


その写真には、関係がなかった


真実より世間は、写真だけを信じ


映画は、中止に追い込まれた


その後


しばらく久美子は、世間から消えた

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