13シーソーゲームは、負け続き

「イテ」


久美子「面白くない」


旬の話が終わり眠れそうになかった


細かく聞きたいこともあったけど


今まで知らなかった劇団の話や旬との結婚までの話


久美子さんが話してくれたことで十分だった



「なぜ出ていったのか」気には、なったけど


理由は、どうあれ、子供もおいて


出ていった奴の話なんかこれ以上


聞きたくなかった




気まずさか、お互い知らないことが多い


それでも良かったが、


お互いの知らない溝を埋めようと


久美子さんがゲームを提案した


「何も聞かず」、「何も求めず」、ただ話すだけのゲーム


話終わると「ハイ」っと話を交代する


聞いてる方は、黙って聞く


その話が面白くなかったら


相手に罰を与えられる


「つまり、足を蹴られて終了だ」


久美子さんの話は、面白く


ほとんど子供時代に見たテレビの話が多かった


僕は、テレビも見ず


子供の頃、何をしていたのかと思うくらいだ




僕が話した話で笑ってくれたのは、山で遭難した話だけだった



久美子さんが話した、小学生の初恋の話が終わると


俊介くんは、「初恋」は、「僕に聞いた」


「金色になびく髪が」横切った瞬間


 「あ」っとお互い声を出した



「やった」待ちに待った僕の罰ゲームの番だ


久美子さんのふくらはぎに、足を絡めるように触れた



「あははは」気持ち悪いと


久美子さんは、笑った


今は、夜中だ



すーっと、部屋の中が静かになり


僕は、眠りの穴に落ちるように


ストーン意識が遠くなった



少し小さな声、トーンも少し低い声


「私、まだ、離婚してないの」


続けて


「戸籍上ね」「出ていったきりだったのと子供が小さかったのと」


「うとうと」しながら、言葉が耳の中に言葉が入って


入籍が結婚だとしたら、結婚は、できない


そう思うと


落ちた眠りの穴から一気に引き上げられた


閉じた目がパッと瞬く《ひらく》


目の前には、久美子さんの顔


僕は、何か言おうとした



「イテ」


何も聞かない、ルール破りの罰だ


また目をとじ



「世の中、事実婚とか、そんな形もあるし」


「ここまできたら、そんなこと」


そう考えたら、朝だった







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