12 同居への道



気温も暖かくなり


みんなで僕の家にくる日が近づいた


千尋と香奈は、


山から降りてくる鹿や狸の話に「動物園みたいだね」と心踊らせた



松崎さんは、「大丈夫なの」と心配し場所を検索した



「温泉あるの?」「あら行きたいわね」と言った


僕が「少し行けば、あるけど、思ってる以上に何もないですよ」言うと


久美子さんが「今回は、遠慮して」と言った




正直、僕は、同行して欲しかった


彼女の家で会うようになって、よく松崎さんと一緒だ



まだ知り合って二ヶ月ほどだけど


あいだを埋める人で


みんなを楽しくするのに長けた人だ


イジワルに言うと


お節介な姉と言った感じで、信頼できる人だ



二日間で


みんなに


ここを楽しんでもらおうと計画した


飛行で2時間


空港から1時間


四人一緒だ



山に囲まれた僕の家は、久美子さん、千尋、可奈には、新鮮だったのか


すぐに気に入ってくれた


1日目の日が沈む頃には、久美子さんは、


「私、ここに住む」


そう言った


本気にしなかった僕は、「笑うだけだったが嬉しかった」



次の日も晴天


朝から皆んなで


川に出かけた


水の少ない綺麗な川だ


皆んなで土手を降り


浅い川に足を入れた


気温は、暖かくなってきたものの


水は、冷たかった


小さな魚を見て


「どこに住んでるの」と香奈が言った


「お水の家よ」と千尋が答えた


フワッと強い風が吹き


久美子さんの帽子が飛んだ


僕は、さっとジャンプし帽子を取ってキメた


しかし、そこは、石と岩の足場


転んでびしょ濡れになった


普段、見る痩せ型の体型は、


晴天の太陽の下で見ると


俊介に似合わずしっかりとした筋肉が


濡れたシャツ越しにわかった



「はははは」久美子が笑ながら僕を見つめた


笑いながら駆け寄る久美子さんは、


帽子を僕の手から奪い


今度は、深くかぶった


「ありがとう」


軽く僕の背中に触れた




家に帰り皆で帰り支度をする



久美子さんが


「やっぱり 決めた」


「俊介くん 住んでいい」いつもの笑顔だ



僕は、「いい」そう言うしかなった



久美子は、すぐに松崎さんに電話をした



本気だった


夜には、久美子の家に到着した


千尋と香奈を寝かしつけ


この二人は、大丈夫なのか


心配になった



二人で


ベッドに入ると


久美子さんが


前夫、旬について話し出した


いつかは、聞くはずと覚悟は、していたが


今まで深くは、聞いていない


眠気は、飛んだ


僕は、久美子さんに対してのルールを二つ作っていた


勝手に決めたルール


「過去は、話すまで聞かない」


そしと


「女優」「久美子」と検索しないことだ

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