第2話 次は逃げ場をなくして言ってみよう、と思ったが……
昨日、初めて
ツンデレな星那をデレデレにさせたい。
そんなわけで、今日も‴好きだ‴と言おうと思うのだが、次はどう言おうか……
昨日は逃げられてしまった。
それなら、逃げ場をなくしてみたらどうだろうか。
ちょうど今日はお家デート(昨日の延期)だし、実行するに越したことはない。
「決まりだな……」
放課後になり、自席に座ってこの後のことについて色々と考えていると、ツンデレ幼馴染な彼女である星那が近寄ってきた。
「
「はいはい」
確かにお家デートしたいという願望はあるが、どうしてもしたいって言ったのは星那だ。
……まぁ、そんなことは言っても何かが変わるわけでもないし、さっさと帰って作戦を実行しよう。
二人で並んで帰路に就くと、昨日俺が初めて‴好きだ‴と言った場所で、足が止まってしまった。
昨日の出来事がフラッシュバックして、恥ずかしさで
「え、どうしたの?」
「……い、いや、何でもない」
「ふ〜ん……」
昨日あんなにも猛スピードで走り去っていった星那が、平然としているだと……!?
てっきり今の俺と同じで、恥ずかしさで悶え死にそうになると思ったのに……違かったのか!?
その後なんとか家に着き、俺の部屋に入ると、星那は当然のように俺のベッドにダイブした。
そして足をバタバタさせて「ふかふか〜」と気持ちよさそうにしている。
「……べ、別に篤史なんかのベッドが寝心地いいなんて思ってないんだからね!」
さすがにそれは無理があるだろ、と思いながらも「飲み物取ってくるから待っとけ」と告げる。
‴ベッド‴という単語だけで、健全な男子高校生な俺でも色々と想像してしまうものだが、今はそれどころではない。
やべぇ……! めっちゃ緊張するー!!
恋人になってから初めてのお家デート。
恋人になる前は、幼馴染だったし結構な頻度で家に遊びに来ていた。
しかし幼馴染ではなく、彼女と認識を改めていざ家で遊ぶとなると、中々緊張するものだ。
更にこの後‴好きだ‴と言って、星那をデレデレにさせる予定である。
もしかしたら今日は、俺が猛スピードで逃げてしまうかもしれない。
「ふぅ……落ち着け……俺は絶対に星那をデレデレにさせるんだ…………よし!」
緊張はしたままだが、深呼吸のお陰でなんとか逃げ出さずには済みそうだ。
意を決して、麦茶を入れたコップを二つ持ち、自分の部屋へと戻る。
「随分と遅かったね。何かあったの?」
「別に……?」
「ふーん。そっか」
あまり詮索をせずに「やったー麦茶だー! ありがとー!」と言って、星那はゴクゴクと一気に麦茶を飲み干した。
「……ねぇ、私のこと、好き?」
「…………はい?」
一瞬、俺の思考は停止した。
麦茶を一気に飲み干して、突然ツンデレ星那ちゃんが自分のことを好きかと聞いてくるものだから、それは無理もない。
「だ〜か〜ら〜! 私のこと好きかって聞いてんの!」
「……そりゃあもちろん好きだぞ?」
元々自分から言おうと思って、心を静めてきたのに、まさかその本人から言わせられるとは思わなかった。
「…………そ、そっか。ありがと……」
そして今日は顔を赤らめながらも逃げ出さず、ニコッと笑ってそう言った。
これはデレデレへの第一歩、と思っていいのだろうか。
どうして急にそんなことを聞いてきたのかは分からないが、結果オーライと言えるだろう。
さて、明日はどんな方法でデレデレにさせようかな……
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