ツンデレな彼女に好きだと伝え続けてデレデレにさせたい
橘奏多
第1話 まずは不意打ちで言ってみよう
俺、
しかし、その彼女はただの彼女ではない。
幼馴染であり、紛うことなきツンデレなのだ。
そしてふと思ったことがある。
ツンデレな彼女がデレデレになった姿を見たい、と。
ツンデレなのは、ずっと前から変わらず可愛い。
しかし、デレデレになったらもっと可愛くなるのではないだろうか。
そう思い、今日から‴好きだ‴と毎日言い続け、デレデレにさせようと心に誓ったのだった。
「遅れて悪い。帰るか」
「……ふん! 別に篤史と帰ろうと思って、待ってたわけじゃないんだからね!」
綺麗なダークブラウンの髪を
そう、こいつが今回のターゲット。
俺の幼馴染であり、ツンデレな彼女である
今日はこの後、俺の家でお家デートをする予定。
それなのに渡したい物があると先生に言われ、星那を待たせてしまったのだ。
「はいはい」
元々一緒に帰る予定だったのに、どうしてデレるのかは分からないが、とりあえず流しておいた。
学校からの帰り道、家が近いということもあり、付き合う前から毎日のように一緒に帰っている。
そんな中、俺はいいことを思いついてしまった。
不意打ちで‴好きだ‴と言ったら、デレデレになるのではないか、と。
星那をデレデレにさせるなら、不意打ちだったら効果は絶大かもしれない。
今まで面と向かって‴好きだ‴なんて言ったことはないため、何かしら変化があると思う。
そして早速、このことを実行することにした。
「篤史がどうしてもお家デートしたいって言うから行ってあげるけど、することないな〜」
いや、俺そんなこと言ってないからね?
星那がしたいって言ったんだからね?
「お前だったらどうせゲームしかやらないだろ」
「私ゲームなんてしないもん! 勝手な想像やめてくれる!?」
「えぇ……」
俺の家に来れば絶対にゲームするくせに、何を言ってるんだこのツンデレは。
それと‴好きだ‴なんて今までで一度も言ったことがないから、恥ずかしくて全然言えねぇ!!
「まぁ、篤史がどうしてもしたいって言うなら、やってあげてもいいけど」
星那の言ってることは無視して、一生懸命口を開く。
「……星那」
「ん?」
すごい緊張する……
面と向かって言うのって、こんなに勇気いるのかよ……
「好きだ」
「…………え?」
それからはしばらく沈黙が流れた。
肝心の星那はというと、‴好きだ‴と伝えてから顔だけでなく耳まで赤くして、もぞもぞしている。
「……わ、私も篤史のことす、好きだけど……そんなこと突然言われたら…………え、えっと……」
目線を逸らし、スカートを強く掴んでいる星那は、突然甲高い声で叫び出した。
「わ、私今日は帰る!! そ、それじゃあまた明日!」
「お家デートは!?」
「明日! 明日に延期!」
そして猛スピードで走り去っていった。
この調子だったら、近いうちに星那をデレデレにさせることが出来るかもしれない。
‴好きだ‴と言うのはすごく恥ずかしかったが、頑張って継続しようと思えた。
「はぁ……」
ピコン!
「……ん?」
突然スマホから鳴ったメールの通知音。
その送り主は、先程超高速で走り去っていった星那だった。
『今日は本当にごめんなさい!
明日は絶対お家デートしようね♡』
「……可愛いかよ」
そう呟いて、明日はどうなるんだろうなと期待を膨らませながら、再び家に向かって歩き出したのだった。
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