いくさのあと (7)

 盛春五月。

 西征せいせいに大功を立てたウデミーラ・ハオンセクを遠西えんせいしゅうしゅうぎょ使に任じるみことのりが出た。

 内定時から、万事休すと考えていたのか、ウデミーラは近北公きんほくこう[ハエルヌン・スラザーラ]に逆らわず、唯々いい諾々だくだくと領地替えを受け入れた。

 ハアティムは東部州州馭使のちょっかつりょうとなり、東部州の安定に大きく寄与した。この決定に、東部州の州民の多くはかんしたとのこと。


 いくさびととして名高い者同士、オントニア[オルシャンドラ・ダウロン]とウデミーラはうまく行くと思われたが、顔合わせの酒宴から一騒動あったことを、サレはうわさで聞いた。

 それは事実だったらしく、オントニアの扱いについて、ウデミーラから書状で問い合わせが来たが、「近北公にお尋ねください」とサレはそっけなかった(※1)。



※1 「近北公にお尋ねください」とサレはそっけなかった

 後年、ウストリレ進攻問題が深刻化する中で露見することだが、ダウロンだけでなく、その旧主であったサレとも、ウデミーラは馬が合わなかった。

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