いくさのあと (3)
七月に
遠西州の混迷が極まっていたのを好機と判断した公は、連合軍を編成して、[
サレは遠征に駆り出されなかったが、公のたっての願いを受けて、オントニア[オルシャンドラ・ダウロン]と騎兵を貸し出した。
オントニアは要地アヴァレの攻略に大功を立て、そのまま領地として与えられた。
捨て子が一躍、アヴァレ候になったわけである。しかし、オントニアの武名はウストリレや
これで、公は名実ともに前の大公[ムゲリ・スラザーラ]の後継者になったわけだが、
中には、このままウストリレに攻め込むことを望んだ者もいただろうが、ポウラ一派の件があったので、表立って口にする者は皆無だった。この時点では。
ある薔薇園[執政府]の老高官が次のように言っていたが、サレもそのとおりだと思った。
「最初から機が熟するのを待っていれば、
※1 州都ツマーロをほぼ無血で手中におさめた
連合軍には各州の兵が加わったが(主力は
ホアビウは父ガーグに対するハエルヌンの怒りが収まっておらず、貧乏くじを引かされた格好であった。
対して、ハオンセクは、ロスビンの戦いやハアルクン(ポウラ)の乱における行動を、自らスグレサに出向いて弁明させられるなど、厳しい立場にあり、ハエルヌンに対して忠誠心を見せなければならない立場にあった。
ふたりは十分な戦果を挙げたが、とくにハオンセク父子は、めざましい活躍をして、すでに知られていた名声をさらに高めた。
結果を聞いたハエルヌンは、モルシア・サネ宛ての書状にて、以下の言葉を残している。
「ハアティム領にあの父子と兵士がいるから問題が起きるのであって、戦死すれば上等、兵を減らせば
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