どれほどの土地が人にはいるのか(9)
塩賊の件どころではなくなり、サレが
そのため、近北公[ハエルヌン・スラザーラ]の相手をしながら、その時宜を
「ホアラが気になるので帰ります」とサレが言ったところで、「私の身は心配ではないのか」と近北公に言われてしまえばおしまいであった。
サレがそのような状況に
「お
断る理由がなかったのでサレはいちおう
「人が足りないご様子……。わたくしひとりでも十分ですが?」
すると「おまえはひとりにすると飛んでいてしまうからな」と、近北公がつれないことを言ったので、「わたくしは虫ではありませんよ」とサレもいちおう怒って見せた。しかし、実際に
近北公の「似たようなものだろう」という声を背中に受けながら、サレが執務室の外に出ると、青ざめたラシウ[・ホランク]がとぼとぼとついてきた。
ラシウがサレに何か言いかけたところ、声が出ずに、胃の中の物が出た。
顔をさらに青ざめさせ、立っているのがやっとの様子のラシウに、「とにかく横になっていろ。話はお勤めが終わったらゆっくりと聞く。いいな」とサレが
扉が閉じると、サレは部屋の
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