地にうずもれて(6)
盛秋十一月。
オアンデルスン[・ゴレアーナ]も死に、東部州に関する仕置きも片がついたので、鳥籠[宮廷]への報告のため、近北公[ハエルヌン・スラザーラ] は入京した。
その際、今の大公[スザレ・マウロ]が近北公に会見を申し込んで来た。近北公は薔薇園[執政府]の離れで会うことにして、警固のために、サレへ同席を求めた。
大公が予想通り、
「単なる、そう、単なる名誉職なのですから、気張る必要はありません。まったく、これっぽっちも。お元気なうちは、続けられるのがよろしかろう」
会見後、近北公がサレに、「汚物をさらに醜く見せるにはどうすればいいか」とたずねて来た。サレが答えに
ちょうどよい機会だったので、サレはオヴァルテン[・マウロ]どのを近北公へ引き合わせた。公はオヴァルテンどのの人となりを気にいった。
「都の警固に関して、執政官[トオドジエ・コルネイア]どのを助けてやってくれ」
と近北公が言ったので、オヴァルテンどのは困った顔をした。
無言で助け舟を求められたサレだったが、それを拒否して、「まさか、近北公の願いを無下にはしませんよね」と言葉をかけた。
それに対して、近北公が「どの口が言う」とめずらしく声を立てて笑った。
※1 「飾り立てるのさ」と近北公は応じた
州馭監の有名無実化、ムゲリ・スラザーラの着任より前の状況に戻すためには、マウロに職を続けされたほうがよいと、ハエルヌンは判断したと考えらえる。
「州のことは州に」を基本的な政治信条としていたハエルヌンにとって、軍事面で七州を統括する州馭監という役職は不要なものに思えていたのだろう。マウロが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます