花、咲き乱れる丘にて (5)

 正午。大いくさがはじまった(※1)。

 お気楽にもサレは、周りから言われていたことをそのまま受け取り、自分の兵はこのいくさで大きな出番はないと思っていた。

 そのため、オントニア[オルシャンドラ・ダウロン]を暴発させないように、彼の側を離れるなと、ポドレ・ハラグへ厳命しておいた。


 サレは、大いくさが連合軍の勝利に終わった後に、敗残兵を追撃するのが、このいくさにおける自分の主な役割だと認識していた。

 自分たちが苦労するのはいくさの後、アイル=ルアレへの進軍時だと考えていたのだった。

 連合軍の先遣となって、橋や道を確保する任務を、サレはすでに近北公[ハエルヌン・スラザーラ]から与えられていた。

 しかし、残念ながら、事態はサレの思うようには、まったく進まなかった。



※1 大いくさがはじまった

 連合軍は、左翼に東南州軍、ホアビウ・オンデルサン、サレ、中央にザケ・ラミ、クルロサ・ルイセ、近西州軍、右翼にルウラ・ハアルクン、中央後方にハエルヌンの兵を置いた

 対して東州軍は、左翼と中央にオアンデルスン・ゴレアーナの兵、右翼にゾオジ・ゴレアーナの兵を配置した。

 連合軍から見て、右翼と中央では、きゅうりょうたい沿いに敷いた柵から出て来ないオアンデルスンの軍に対して、連合軍が攻め入った。

 一方、左翼では、ロスビン平原の北東側の出口に陣取っていたゾオジの軍が、なだらかな丘陵地帯に兵を配していた東南州軍へ猛攻をしかけた。

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