第8話
(※ジェフ視点)
ついに、仕事をしていないことが、スーザンにバレてしまった。
そのことがきっかけで働き始めることになったが、どうも、仕事というのは面倒なものだ。
長時間拘束され、かなりの労力を必要とするが、その見返りはわずかな給料のみ。
仕事を始めてから一か月近くが経過したが、正直、仕事を辞めたい気持ちが日に日に増していた。
しかし、そんなことはできない。
今の生活は、僕とスーザンの稼いだ金で、何とか成り立っているからだ。
とはいえ、仕事が面倒なことには変わりはない。
何か、もっと楽に稼ぐこと方法はないだろうか。
まあ、心当たりが一つだけある。
しかし、それは封印したものだ。
過去の失敗から学び、二度と手を出さないと心に決めたことである。
スーザンは、僕の隠し事が仕事をしていなかったことだと思っているが、実はそうではない。
真の秘密は、別のものである。
それは、僕が二度と手を出さないと決めたあることのせいで、抱えてしまった問題だ。
その問題を抱えてしまったという過去の失敗から学び、あれには二度と手を出さないと決めていた。
しかし、その決断も、最近では揺らぎつつある。
仕事のせいで多忙な毎日。
そのせいで、休日は何もする気が起きない。
そんな日々を送るうちに、あれに手を出そうという気持ちが、日に日に増していくのを感じていた。
そして、ある日、僕は決断した。
どうせばれないだろうし、うまくいけば仕事をやめることもできるから、あれに再び手を出すか……。
*
「どうだった、姉さん。スーザンは、ジェフの秘密に気付いていた?」
「いいえ、おそらく、まだ気づいていないわね。ここ最近、彼女はずっとジェフを尾行していたから、仕事をしていないことには気づいたみたい。でも、あの秘密まではまだ知らないでしょうね。それに、ジェフは仕事を初めて見たいだわ。まあ、いつまで続くのかは知らないけれど」
「どうせ、すぐにやめるよ。あの人は、完璧な人間を目指しているみたいだけれど、その実全然完璧じゃない、無能で怠けものだからね。すぐに仕事が嫌になって、またあれに手を出すと思うな」
「あ、やっぱりそう思う?」
「うん、それで、またあの問題を抱え込んで、最悪のタイミングでスーザンにも知られるんじゃないかな。それが、二人の愛の終わる時だね。愛どころか、人生まで終わっちゃうかもしれないけれど」
「そうねぇ。彼らの破滅まで、秒読みといったところかしら……」
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