3-19『東の平野ー魔法の契約』
魔法による契約を行う為、一旦この老人を牢屋から連れ出すことにする。
「けれど問題はこの牢獄、人間族が作った最悪とも呼べる場所じゃ、それにここは最も深い場所……わしはここから抜け出せんよ」
(んーなんかよく分からんこと言ってるけど、まぁいいか)
僕は老人の肩にポンっと手を当てる。
「『転移』」
☆☆☆☆☆
カリバーンの東にある平野へやってきた。
(そういや前来た時は真っ白だったんだよな~なんか懐かし)
今はなんだかんだで季節で言うとこの春。
草木は元気に咲き誇っている。
まぁそんな美しい夜の平野、月明かりに照らされた老人は顎が外れる勢いで驚いてるな。
「なななな……なんじゃとーーーー!!!!」
うるさい黙れ消すぞ、と思うが……(殺したらダメだっけ?)ルール守れるか少し心配だな。
「魔法の契約するんだろ?さっさと魔力出してくんねぇか?」
「……ああ、この契約、重きを置くこととするわい……お主の様な者が敵にならない契約なぞ、これよりも重要視されるものは無いからな……必ずや約束は守ろう」
なんかよくわからんが、この老人は真剣に取り組んでくれるそうだな。
魔法の契約ははっきり言って、僕の魔法で消し去る事は出来るが、行使が始まると消す事は困難になる。
(こないだ試したが、まったく消せなかったんだよな)
ちなみに奴隷ってのの大半がこれによって縛られてて、獣人が酷い目に遭ってたので解放しようとしたら不可能だったんだ。
あ、でもご主人様の方を仕留めたら呆気なく解除されたから、他人の契約の破棄は簡単だと思う。
という訳で、魔法による契約を交わした。
1、確実に魔王の魂を抽出させること、そして更にもう1つの魂を抽出させること、その際器に対して一切の危害を加えない事
2、僕は2人に危害が及ぶ心配が無い限り、一切現魔王の配下には手を出さない。
3、魔王が復活した際、アース大陸には足を踏み入れないという事、そしてねこのこ族に対してはアース大陸以外でも絶対に手を出さないこと。
4、魔王が復活した際、そのルールを犯さない限り僕は魔王に手を出さないこと
5、以上4つの提案を呑むことで、僕は全力で魂の抽出を手伝うということ
6、強制的な契約の解除は、契約の解除後を問わず罰を執行するものとする
以上6つの契約を破った際ーー
まぁ長ったらしいので幹部とかの名前はスキップ。簡単に言えば約束を破ったら魔王と魔王の配下には死を与え、僕には1000年の禁固が与えられるってことだな。
僕にも死をとか言うと、契約における死を与えられない者になんとかかんとか~って言われ契約がダメって言われたんだよな。
だから代わりになる事って聞いたら、老人にこの罰ならとそのルールを呑んだって訳だ。
(僕って死なないの?)
☆☆☆☆☆
老人は魂の分離をする為の準備を急ぎますじゃー!!とか言って帰っていった。
期日は3ヶ月ほどで~らしいが、まぁそれまでは僕は何をできる訳もなく、今日はそろそろ明け方なので家に帰ることにした。
「『転移』」
ふぅ、とため息混じりに到着する宿。
(んーこの隠密夜の遊びにも慣れたもんだなー)宿に着くなりぼふっと赤ん坊の姿に自然と戻るから癖ってのは大したものだよな。
ふよふよ~ぽふっと2人が眠る布団へ入り込む。
(どっちにしろ朝起きたら連れ込まれてるから一緒なんだよな)
なのでまぁ、どーせなら人肌恋しい赤ん坊なので、ゆったりこの隙間に入って寝ることにしてる。
ここに入ると落ち着き、気が付くといつも夢の中だ。
(あと3ヶ月、そしたら……この2人は母親と堂々と過ごせるんだな)
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