3-13『予選会場ー怒涛の如く』


 ゛……たっただいま、王級魔法の消滅を確認しました……゛


 場内は静まり返り。


 そしてその反動か物凄い雄叫びを齎した。


 ウォオオオオオオオイヤァアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ギィヤァァアア

(相変わらずやかましい。ていうかまだ終わってねぇ)


 当然であるが、まさか敗れる訳が無いと思っていたであろう魔法の消滅により唖然としていた爺さんだが、再度魔力を練り直し始めている。


 だけどもう遅いな。


「なっ!?」


「えへへ」


 もう既にみぅはその老人の目と鼻の先まで来ていた。

 老人はその接近に気付き、急いで魔法障壁を作り上げる

『物魔ショウヘキィーー!!』

 だが、咄嗟に作った程度の、中級程度の魔力が練られたそれでみぅが止められるわけが無いのは(……みぅは半端ないぞ?)個人練習をした僕が一番よく知ってる。


 ゛『飛燕撃!!』からの~~!!゛


 目の前に壁が作られたというのに、飛ぶ自身の足元を魔力で爆発させ速度を馬鹿ほど上げる。


 そして拳をふり、物魔障壁にあたる寸前には叫んでいる。


『魔炎撃!!!』速度、魔力、力、全てが乗ったそれは上級の物理障壁ですらぶち抜いてきたからな……所詮物理耐性に特化させてない物魔障壁なんてものは簡単にぶち破って当然だ。


「がはーーーーー!!!!!!」


 物魔障壁諸共、老人をぶち抜いたみぅ。


 老人は吹き飛んでゆき、コロシアムの壁に物凄い勢いで衝突した。

(……みぅ、たとえ強い人でも……魔法を貫けばただの人間だぞ……って今度注意しとこ)


 この老人かなりしぶとく、どうやらみぅに突進された時には自身の背後にクッションとなる魔力を形成してたみたいだ。


「……なっなんなんだ……お前たちは………ぬぁ!?」

 決めゼリフっぽく老人は立ち上がるものの、みぅもあの程度でこの老人が倒せないと分かっていたのか既に目の前に立っていた。


「にゅ?みぅだよ?で、あっちがみぃねぇね!……えへへ~」


(ちゃんと自己紹介出来るようになったんだな~偉いぞみぅ)

 みぅは最後に悪い笑みをこぼした後、物凄い連撃を放った。


『魔炎撃!!』『魔炎撃!!』『魔炎撃!!』『魔炎撃!!』


 ちなみに、魔炎撃を放つ間の通常攻撃にも魔力が乗っていて、フィジカルスキル『魔撃』まで発動してたという……


 まぁ敢えて言葉にするならば……゛怒涛の如く゛かな?


 しーんと静まり返る場内。


 ゛あっ……!!かんっぜんっしょうりーー!!!!!なんという事だ!!まさか王級の魔法の使い手が下級冒険者に参入していた!!けれど、それをも上回る双子……え?……はっはい!?今入りました情報によると、この双子……まさかの英雄と謳われる神獣、ねこのこ族!!!!最強!?ねこのこ族は族長のみが最強と謳われるというのに、まさかこの2人は族長の血を引くものなのか!!いやいや、今はそんな野暮な事は関係ない、会場に残った8人を讃えようでは無いか、ギルド大会本戦出場おめでとう!!!!゛


(へ~ねこのこ族って族長のみが最強の種族だったのか)

 うるさい実況だけど、最後に知らないこと知れたから、最高の実況だったと思っておこう。

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