3-09『カリバーンー予選当日』
そして大会当日、予選の日である。
様々な大陸の冒険者が集う大会なので、基本的には島々で予選が開催され、勝ち抜いた者が本大会に出場となる。
そしてここ、アーク大陸は人間が最も多く暮らす島らしく、毎年予選からかなりの激戦になるそうだ。
挑む2人の準備は万端である。
名前/みぃ
武器/蒼天玉の杖、防具/水潮のローブ、天の羽衣
アクセサリー/誓いのネックレス
下級魔法『ウォーターガン』下級魔法『アクアウォール』
そしてユニーク魔法『双水龍撃』
名前/みぅ
武器/黒隼のレギンス、防具/紅蓮のローブ、黒曜のマント
アクセサリー/誓いのネックレス
中級技『飛燕撃』中級技『魔炎撃』特殊技『練気炎』
気合いも充分入ってる様子だな、2人の目がいつもより凄んで見えるぐらいだ。
大会予選も本戦も、向かうのはギルドである。
ギルドの受付に話しをし、転移魔法陣に行き先を登録してもらう。そして直ぐに到着だから、この世界は楽だなーと思うよ。
という訳なので、いざギルド!!に到着。
「うにゃ?」「ふぇ?」
気合いの入っていた2人の顔から、気合いが抜ける音がした。
「……えぇー!!!かっ可愛い!!どうしたのその服ーー!!」
これはギルド受付のお姉さん、妹のように可愛がる2人がこうも整った衣装を見るのが初めてだからつい飛びつき抱きついて、しまいにはすりすりしてるようだ。
(……台無しじゃん!!2人の気合いを返せ~!!)
とは言えない僕は、みぃからしっかりお姉さんに奪い取られていて、谷間にみちーって挟まってます。
(……まぁいいか)2人が可愛いんだ……仕方ないよな。うん。
「あのね、これね!凄く強いの!!」
「ふふ、気合い充分な装備ね!よしよし」
(みぅ……お姉さんに本当に謎に懐いたよな)
そういえば聞いたことがある。動物は好きって気持ちに敏感で、そう思ってる人にはよく懐くと……
そんなこんなでようやく終わる受付、お姉さんは大会を仕事で見に行けないらしくとても名残惜しそうだ。
「みぅちゃん!みぃちゃん!映像みて応援するから……頑張ってね!!怪我するぐらいなら負けをみとめたらいいからね!」
(おいおい、怪我で負け認めていいのかよ?)
どうやらお姉さんの中で、ギルドよりも2人の方が大切度が高くなってたようだ。
☆☆☆☆☆
ギルドの転移魔法陣から転移してきたここはまさに、ってぐらいにコロシアムだな。
(……オリンポスの方々が出てきそうだわ)
とりあえず最近作られたって感じはしない外観、かなり古くからあるんだろうなとひと目でわかる風格がある。
辺り一面は(砂漠か?)砂以外何も見えないそんな場所に立っている。
白く骨のような色をしている円球状の闘技場だな。
沢山の入口があり、多分どこから入っても中に入れると思う。
「んーとまぁ、とりあえずいくか」
「うみゅー!」「はい!」
(完全に観光気分になってる気がする)
みぃとみぅ、お姉さんにより気合いがどこかへ飛んでったようで、きょろきょろと辺りを見渡してる。
(大丈夫かなー?)少し心配になるがまぁ、負けたら負けたで仕方ないし……大ケガだけしなければなんでもいいな。
最近2人に対して甘くなってる自分に気付かない僕である。
☆☆☆☆☆
コロシアム受付。
沢山の屈強な戦士達がきちっと列を為して受付の前に並んでる様は、なんかみてて面白いな。
とはいえ、逆もまた然りって奴なんだろな。
ひそひそと聞こえてくる声、ガキがなんで混ざってんだよ、とか聞こえてくる。
(そういやみぅとみぃは年齢制限じゃなくて下級の個人戦と下級~上級のペア戦に出るんだっけか?……だからこんな筋肉ダルマばかりなのか~)なんか納得した気分だわ。
ちなみに予選には300は下らない参加者が居るのに対し、残れるのは個人戦が8人、ペア戦は2組となっている。
(激戦ってこういう事だったんだなー)
お姉さん的には、とりあえず個人戦かペア戦、どっちでもいいから残ってねーとの事でした。
(ふむ、でもまぁ……これじゃあなぁ~)
どうやらここに沢山いる人間が全て敵だと理解したんだろうな。みぃとみぅはきょろきょろする事は無くなり、ぎゅっと拳を握り気合いを入れ直している。
(どっちか負けていいぞーなんて腑抜けたことは言えんわな)
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