3-07『カリバーン西ー完敗』


 ステージの端からみぅを援護する形で、アイスニードルを何度も放っていたみぃ。

(そういや魔力は大丈夫なのか?)とか思ってた時代が僕にもありました。


 僕はみぅの動きに集中せざる負えなくて、ついついそっちに気が回ってなかったからそんな事を考えてしまったんだ。


(くっそー!!こっちもかよ!!)


 成長するのはみぅだけでは無い。


 みぅは咄嗟の思いつきにより進化するタイプだから、突然強くなるがみぃは違う。

(最初からこの為に練習してやがったのかよ!!)


 対して得意属性でもないみぃのアイスニードル。


 装備による加護も少なく、なんでだろ?とは思ってたが、みぃが氷魔法の練習してんのかな?って思ってたんだ。


(あーもう!!)どうやら全く違った。


 みぃは少しづつ、そのニードルを増やしてたんだ。


 場の場外、先程僕が放った無!という、魔法を完全に消し去ってしまう最低な魔法を見たみぃ。

 だからこそ計算をしたんだろう。先程僕が放った無効化の範囲とその発動時間。

(まぁずっと発動出来てしまうが、それだとみぃの修行にならないから……5秒は溜めるようにしてたんだけどな)


 魔力感知で確かめても数は流石に数え切れない。

 ただ、ずっと一定周期で僕目掛けアイスニードルを放っては、その氷を捨てること無く場外で待機させて行く。


(ん?待てよ?あれって……えーと?)


 僕は一応魔法が使えるから、魔法わ空中で待機させる方法は心得ている。


 魔法を常に意識し、そこに待機させるだけ。

 簡単に聞こえるだろ?けどな……これ、僕は魔法の待機なんて2つが限度だ。

(……天才にも程があるだろ!?)

 つまりみぃがしてるのは、戦闘中、僕の隙をついてアイスニードルを放ちつつ、辺り一面、無数に待機してる氷一つ一つに意識してるってことだ。


(目が100個ついてても出来る気しねぇ!!)


 けれどあんな事をしたなら攻撃をされても避けることは出来ない。と思ったが、今の現状を考えれば、みぅの猛攻によりみぃは攻撃を仕掛けられる状況ではない。

 そして僕に飛ばしてるアイスニードル、つまり他の魔法に切り替えて自身を防衛する事も可能って訳だな。

(精密機器……)性格は違うと分かってても、戦うとやはりそう思わざる負えない。


 そして、とうとう天まで氷が埋まり、みぅも完全に新しい技に慣れた頃、僕を仕留める準備が整ったようにみぃは魔力を溜めている。

(んーと?まさかこんな状況で魔力練れるんですか?)



「『双水龍撃』」

 やーめーてー……はっきり言おう。(お手上げだな)


 右往左往、天からも時間差で降り注いでくる氷の刃の雨。

 そしてそんな中自由自在に飛び回る2頭の水流、しかも常に集中していないと避けることすら不可能なみぅの連撃。


(この2人のチームワーク恐ろしいわ)


 みぅはみぅで、みぃが行動に出た事を把握した途端、足から放つ魔力を炎に切り替え、加速をさらに上げている。


 とまぁ分かるように、僕はもう避けれないし「『無!』」魔法を一旦消し飛ばしても、みぃの修行の為に敷いた5秒というロストタイムがあるので、どうしようもなし!


(全て受け止めようではないか!)


 という訳で、魔法無効化を放つや否や一気に襲い来る氷の刃の嵐と、2頭の水龍、そして隙が出来たと判断するや魔炎撃を放つみぅの一撃。とりあえず全部喰らって見ました。



 炎と氷と水がぶつかったことにより、沸騰した霧が僕から破裂。


「にゃ!!!いくと!!!!」

「ごっご主人様!!!!」

 2人は楽しくなってて完全に本気だったんだな。現状を見て慌てるように僕の元へ走ってきた。


 何も見えなくなった真っ白な景色の中、僕はため息を零した。


「はぁ~まさか、たった2時間程度でやられてしまうとはなー」


 とまぁ、声が聞こえたからだろう。ほっとした様子の2人である。


「にゅ~でもいくとは攻撃してないから……」


「みぅ?ご主人様が攻撃してきたら、練習じゃなくてみぃ達は死んじゃうよ?」

(みぃさん?少し言い方が過激ですよ?)


 並ぶ2人、霧が晴れるのを待ってるのだろう。

(脅かしてやろっと)

 冒険者ギルドで腐る程見てきた魔法、流石に魔力の流れを覚えたからな。「『転移』」


 既に転移はお手の物で使える様になりました。


 2人の背後に転移し、2人の頭に手を当てる。


「よしよし」とまぁ、もうそこに居ない僕を見てた2人の頭を撫でたんだが、「にゃーー!!!!」「ふぇ!?」

 まさか、みぅが怒って、みぃがこんな声を出すとはな。

(いいもん見れた)なんだか僕に見せない素の一面を見れた気がする。


「にゃ?……いくと!!?」


「ご主人様!?」


「ふふん、まだまだお前達には負けてないな?」


 まぁ2人は楽しんではいただろうが、僕と敵対するって事に慣れてなかったんだろう。

 気が抜けた途端2人とも泣き出してしまい。泣き止むまで押し倒されるわびちゃびちゃに涙で濡らされるわ大変だったよ。

(……結局、涙に勝てるものは無い!ってことだな?)






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