3-02『カリバーンー偽り』
宿屋にさっそく帰ってきた2人、嬉しそうに服をぽぽーいと脱ぎ捨て(みぃもこの辺の羞恥心は育たないよー)
さっさと買ってきたローブを着る。
みぅが着るのは紅蓮のローブセット。
真っ赤な紅蓮のローブは体内の火属性の魔力を強化する効果がある。魔導師のローブの火属性バージョンだな。
肩からかかる、黒く紅蓮のローブを彩るマントは、黒曜のマントと言い魔法攻撃によるダメージをかなり軽減する効果がある。
(みぅは近接だから、魔法対策はしとかないとな)
次にみぃ、着たのは水潮のローブセット。
水の精を宿す清らかなイメージを持たせる水色のローブには、水属性の魔力を向上させる同じく魔導師のローブの水属性バージョン。
首にまく白い半透明な羽衣は天の羽衣と言い、魔法攻撃を強化する効果がある。
(魔法使いは基本的に破壊力が大切、どこまでも火力を求めるのが理想だもんな)
「にゅ!軽いこれ!!」
とまぁ履くなりみぅが驚いてるそれは、作るのに結構苦労したんだよな~黒隼のレギンスって言うんだが、素材は隼のレギンスに黒曜の絹糸を縫い込んだ物だ。
ちなみに13金貨相当というのは、作成費のみ。材料を用意しなければ……50金貨はする代物だったりする。
(前世で言えば……5000万相当……笑えねぇ)
正直もう財布の中は空っぽもいいとこだよ、まぁこの装備に関してはみぅの手柄みたいなもんだからタダ同然なんだけどな?
(あのみぅが奪った魔道具が40金貨だったからな~)なので防具はほぼみぅの手柄って訳なので僕は手助けしてないよな?
(売ってないけど……)どこまでも甘いと自負してます。はい。
☆☆☆☆☆
という訳でお着替えが完了。
そこで僕は思いました。というか……つい見惚れて何も言えない。
考えてみれば、そもそも素材が最高級な2匹の女の子だ。ボロボロの服から着替えればこう可愛くなるのは当然だよな?。
先端の白い赤髪赤眼の少女、紅蓮のローブに黒いマントを羽織り元気な八重歯を覗かせ僕の方をにぱっと嬉しそうに見ている。
赤い猫耳はぴこーんと立ち、しっぽが揺れてるのだろうローブがバタバタしてるな。
(おてんば姫って感じだよな~みぅって、こうしてちゃんと見ると顔立ちが整ってて目がクリっとしてて、完璧すぎるんだよな)
そしてそんな美少女の双子の姉も当たり前に美少女だ。
でもこっちはみぅと真逆な可愛さ、まるで水、触れたら波打つ様な怖さを秘めた美、先端の白い水色の髪に青い瞳、無表情な整った顔はずっと見られていると悪いことしたかな?ってなってしまうぐらいに見透かされてるように感じる。
そんな無機質そうな少女であるが、行動を見てると案外感情をフルに出してたりする。
小さな手で青いローブをピッと引っ張ってみたり、天の羽衣をじっと見てると恥ずかしそうに顔に当てたり、けれど見られるのは嬉しいのか耳をぴくぴく。
(……やっぱ、この2人って僕が面倒見てていいのだろうか!?)
自分の姿が鏡に映っている。
黒髪で黒い瞳のただの赤ん坊。(まぁ可愛いが……)普通なんだよな。普通の赤ん坊。「はぁ」ため息でるよ。
そんな僕に、てくてくと近付き「へ?」ぎゅっと2人は抱きしめてくる。
「くんくん、くんくん!」「……ご主人様の匂いです……」
というか匂ってやがる!!
(まさかの匂いフェチ!!加齢臭大丈夫かな!?……いや赤ちゃん臭か!?)少し困る僕に2人は言ってきた。
「いくと~えへへ、ありがとう!!」
「ご主人様、素敵なローブありがとうです!」
「ん?……へ?」
ふたりは顔を合わせ、にへへーと笑った後に言う。
「ご主人様?あの店でこの服にだけご主人様の匂いがついてましたよ?」
「だよだよ~いくと、嘘はダメって言ってたよ!」
……………………………バレてたのね~
通りで……近くに寄った途端2人とも一直線に向かった訳だわ。
(ていうか、買う時何故かくんくんしてたから……あれで気付かない僕も僕か……)
「はぁ……別に黙ってた訳じゃない、お前達は僕からプレゼントだって言っても素直には受け取らないだろ?……手助けしないって言ってしまってるしな」
「ふぇ?」
「ご主人様……?これは手助けになるです?」
ん?……(あー確かに、プレゼントは手助けにならないのか?)
「うん、ごめん。なんか僕深読みし過ぎてたかも知れないな」
「えへへ~いくと?それは違うと思うな~おもうなー?」
はいはいみぅさん?それはきっと僕の真似なんですね?けど僕はそんな可愛くないので似てないですよ?
「ご主人様~?違うと思いますよ?」
……みぃは真似する気は無いが、絶対楽しんでるのはわかる。
仕方ない……「2人にそれは僕からのプレゼントだ、大事にしてくれよ?」
「うみゅ!!」「はい!!」
なんか負けた感あるな~悔しい。
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