2-28『東の港ー火葬』


 ガタガタ~ガタガタガタガタ~

 何事も無かったように揺れる馬車、そこには2つの死体と泣いてる女の冒険者が乗ってたりする。


 どうして置いてくのよ~!!とか叫んでるが、聞こえる訳はなくただただ苦しそうな表情の死体は荷車に揺れている。


(んーにしても、世の中弱肉強食というか、酷いもんだなー)


 ちなみに僕達は客席に居る。みぅは荷車の方が外が開放的に見えるから「むむぅ~」と不服そうだが、まぁ馬車主が言うのだから仕方ないよな?


 ちなみに僕の言う、弱肉強食っていうのは別に盗賊達と冒険者の立場を指したものでは無い。

 依頼主と冒険者の図の事だな。


(死んだ奴より、出来るやつか~でも確かに……僕達が居なければ馬車は奪われ、馬車主も殺されてる訳だし……命の恩人の方を優先するのは当然っちゃ当然なんだろな)


「ご主人様?」

 僕を抱くみぃが聞いてくる。

「ご主人様は同族が亡くなったのに悲しくないのですか?」

 この、ぐさーーっと突き刺す直線的な質問はなんか来るものがあるよな、けどまぁ僕はこの2人に嘘をつく必要も無いだろう。


「同族?とかそーゆーのは関係ないと思うぞ?仲がよかったり可愛がってたりしてるのが死んだら悲しいかもしれないけど、知らない奴なんてその辺のゴブリンと大差なくどーでもいいからな」


 返事は帰ってこないが、ギュッと僕を抱くみぃ。

 言いたいことはわかったよ。


「まぁ、みぅとみぃが今は1番亡くしたくない存在だな」

「……!……ご主人様」


 頭のいいみぃだからこそ、ふと思ったんだろうな。

 自分達がこの先死んだ時に、僕がどう言った態度をとっているのか?なんてことを、まぁでもこうは言ったが僕はこの2人の死に顔を見れることは無いだろうな。


「なでなで」

「……えへへ」

(この2人の喜び方似てんだよな~)


 ☆☆☆☆☆



 哀悼中?そんなもの魔物には関係ない。


 護衛という仕事を引き受けたからには生きてる限り仕事をして欲しいものだよな。

(後でギルドからぼったくるか?……と思うが、みぃにそーゆーのはさせたくないんだよな~)

 という訳でここからはボランティア、まぁ当然だけど流石に護衛の報酬は僕達が貰うけどな。

(ていうかこの街道、魔物とか盗賊とか多過ぎだろ、中級冒険者の依頼ってどれだけ大変なんだよ)


 ちなみにだが、僕達が討伐を開始してからも魔物は数回現れ、盗賊は僕が見えないうちに吹き飛ばしたが1組現れた。


 そしてようやく到着した東の港である。


(戦わないならさっさと転移で帰ればいいのにとは思ったけど、転移って死んだ人間は出来ないんだなー)

 ギルドの転移を使用出来るのは、ギルドのメンバーでギルドの依頼を受けて転移した者と同行者までというのが条件。


(つまり死んだらギルドメンバーでも同行者でも、物としても扱って貰えないって訳だ、なかなか厳重だよな~それだけギルドに報復とか考える敵が多いって訳か)

 実際問題、あんな街のど真ん中に拠点を構える冒険者ギルド、盗賊や山賊の群れをギルドに持ち込んだらかなり危険だし仕方ない設定とも言えるよな。


 ☆☆☆☆☆



 あの後東の港でそのまま火葬が行われたらしいが、僕達はさっさと帰路に付いたのでその辺は知らない。

 ギルドでしっかり護衛の報酬と護衛のサポート報酬を頂いたので文句無くその日は幕を下ろす。

(あの女の冒険者もこれで引退だろうな~)とか思ってたが、後日レンと共に行動してたのを見て、人間って強いな~と思った。


 そして宿屋。


「……こら!!」

 僕はみぅを叱っている。

「みゅ~……ごめんなさい」

 浮遊でぷかぷか浮く僕の前で、下を向いて悲しそうにしているみぅ、みぃは何も言わずじっと見ている。


「あのな、足を捻挫してたなら先に言え、後々になればヒーリングでも通じない様になるかもしれなかったんだぞ!」

 どうやらあの大男を蹴飛ばした際に自分の力に身体が耐えれなくて起きた様だな。

 1度こっちに引いてきたからあれ?っとは思ってたが、あれは怪我をしたから慌てて戻ろうとしたんだろ、けど盾の事だけを思い出して取りに行ったんだろうな。


「……いくと、みぅ悪い子?」

 悪い子とかそういう問題ではないな。

「みぅ?別の所に問題を持ち込むのは良くないぞ?僕はみぅが足の捻挫を黙ってた事に叱ってるんだ、わかるか?」

 正直みぅには難しいと思うが、これは分かってもらうしかない。


「……ごめんなさい、みぅ次からはちゃんと言う」


「ん、そうだ、それでいいんだぞ?悪い子かどうかと言うのは、ここで決まるんだ」


「ふぇ?」頭を撫でると驚いた様子で下を向いた頭を上げ僕を見るみぅ。


「ふむ、悪い子は言い訳しかしない、けどみぅは言い訳なんてせず自分の悪い事を素直に認めた、だから良い子だ」


 まぁこれは僕なりの見解だけどな。


 子供というのは興味で動くから悪い事を悪いと思わずしてしまう。それに嫌な事は怒られたくないから隠してしまう、嘘をついてしまう、なんて当たり前にある事だと思う。


 けど、子供というのは素直なのが良い所で、言い訳なんてことはせず素直に謝ればいい。

 大人は子供が誤りを認めたなら許しを与え次にこうしたらいいと答えに導いてやればいいと思う。


 だからこそ素直なまま育っている純粋な子供であるみぅは、人に好かれるような好い子だと思う。


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