2-21『東の平野ーオーク』


 オークの前に立つ、1人の少年はボロボロ、後ろで援護する筈のヒーラーも意識を失っている。

 みぃとみぅは呆然と立ち尽くしている。



 遡ること1時間前。


「じゃあオークをとりあえず手分けして探そう!」

 というレンの言葉に賛同し、一同は散開してオークを探すこととなった。


「みぃ、みぅ、ちょっと聞いてくれるか?」

 レンとペルネが離れたのでようやく喋れるよ。


「ご主人様どうしました?」

「いくとーどしたの?」


 とことこーと駆け寄ってくるみぅと僕を抱っこするみぃに言う。


「今回2人には自分達が攻撃されそうな時以外は、攻撃する事を禁止な」


「……どして?」

 みぃは返事に悩んだ様子、みぅに至ってはご最もな疑問だと思います。


「んーとな、はっきり言うが……オークは、みぃとみぅ2人がかりで倒せてしまう程度の魔物なんだ」


「うみゅ」「はい」


「戦っても対して修行にならないのが僕なりの見解、だから今回はあの二人の戦い方を見たり、直接攻撃せず手助けするのが修行だな、自分達の能力の事はもうわかってると思うが、もし対人戦になった時は未知の攻撃に備える必要が出てくる……しっかり修行に励むように!」


「はい!!」「うみゅ!!」


 てな感じに指示を出したから、あの二人は攻撃をしていないのが現状って訳だ。


 ☆☆☆☆☆



 ちなみにレンがボロボロの理由は、この2人が手助けをしなかったとかそういう理由ではない。

(まさか……最初に見つけて、ボコボコにされながら引き付けて来るとはな~)中々に見上げた馬鹿だと思う。


「…はぁ…はぁ、じゃっじゃぁ指示してたように……お願い…はぁはぁ……するよ」

(作戦前にボロボロになり過ぎて、はぁはぁするよって指示になってる点は突っ込まなくていいよな?)


 ちなみにレンの作戦はこうだ。


 レンがオークを引き付け逃げ回り、ペルネが回復魔法で回復、その隙を付いてみぃとみぅが遠距離から攻撃。

 魔法の使えないみぅは石を投げるらしいな。カッコ笑。

 そして最後、弱ったオークを唯一剣を持つレンが仕留めるらしい。(かっこいいとこ見せたいんだな~)たぶん、この少年、ペルネの事が好きだと思う。(ずっとちらちら見てるし)


「おら!!オーク!!こっちに来い!!」


 と、まぁ少年がオークを引き付ける作戦だからな、大きな声を上げてるが……僕は分かってたよ?こうなるのはまぁね。


「きゃー!!!」

 オークは目の前でボロボロのレンなど知ったことではない!と言った感じに無視、一直線に向かうのはペルネの方だ。

(暴れん坊のオークねぇ~つまり、戦闘経験が豊富って訳だな、そして下級依頼なのに銀貨1枚、ゴブリン100体分……冒険者はもちろん何人も倒されてる筈だろうな~オークの相場大銅貨2枚だし、つまりまぁ……ヒーラーが厄介なのはよく知ってるって訳だ)


 オークの装備は巨大な木を何度もぶつけて巨大な棍棒にしたものである。

 そんなものをフルスイングされた日にゃ、当たり前に紙防具の紙耐久であるペルネは一撃死だよな。


「ぺるねぇーーーー!!!!!」

 レンの頭にもう作戦なんてものはなくなった、ものすっごい形相でペルネの元へ走るがまぁ……「がはっ!?」そんな堂々とオークの前を走れば、容赦なく棍棒で殴られて当然だよな。


「……みぃ、みぅ、ごめんな……ぜっんぜん見ててもこれは修行にならないから、やっていいぞ?」


「ご主人様!!」「いくと!!」

 あら、すっごい嬉しそうね?ちなみにこの2人、吹っ飛ぶあの二人をぼーっと見てただけである。

(手助けか……よく考えたら、あれぐらい避けれるってこの2人なら思ってるだろうし、助ける前に倒されちった。って感じだろうな~)


 あ、一応棍棒が当たる前に風魔法をオークの棍棒と2人の間に挟んどいたので死んではいないのでご安心を、あとまぁみぃとみぅも僕が魔法使ったの気付いてるからなんとも思ってないみたいだね。


 という訳でだ。


 みぅはそこでボロ雑巾になっているレンがしようとしていた、引き付けるという行動を学んだようだな。

(みぅは見て覚えるタイプだな。しかも自分なりの工夫も凝らすタイプ)

 オークの手に持つ棍棒目掛け会心の蹴り、ここは森じゃないので高さや木の反発を利用できない分、本体を直接狙えば倒しきれずやられる事を何となくでわかってり、みぅは自分なりの考えから導き出したんだろう。


 木々がある時よりもかなり弱いみぅの蹴りだが、オークがギリギリなんとか持ってるだけの、そんな重たい棍棒を蹴り落とすのは容易である。


 どさーんと重そうな音が鳴り響く中、完全にみぅの事を信頼するみぃは詠唱を唱えていた。


「『氷よ、巨大な刃となれ…………………』


 大きな氷を作り上げるには流石のみぃも時間がかかる。その時間稼ぎをみぅが行ったおかげで、みぃの頭上にはオークの持つ棍棒よりもさらに大きな尖った氷塊が完成していた。


『……貫けーアイス!!ー』」


 棍棒を拾いあげようとするオーク、けれどその手が棍棒を持ち上げることはもうなかった。

 みぃから放たれた巨大な氷、棍棒を拾う為に背を向けたオークの背中から大きな風穴を空けて貫通し、その命を奪い取った。


(……流石というかなんというかだよな~)



 ☆☆☆☆☆



 種族名/オーク


 強さ/下級・属性/無・性格/獰猛


 常時能力/怪力・肉の鎧

 魔法能力/なし

 身体能力/バーサーク




 名前/ヘルミール・ペルネ・年齢/13


 HP/47・MP/84

 腕力/9・体力/8・素早さ/11

 知力/26・精神/14・器用さ/15

 魔法適正/1属性/1種類/下級


 性別/女・職業/僧侶


 常時スキル一覧

『森の加護』『長寿』

 職業スキル一覧

『ヒーリング(風)』



 名前/アルベルデュ・レン・年齢/14


 HP/92・MP/0

 腕力/21・体力/24・素早さ/24

 知力/12・精神/14・器用さ/8

 魔法適正/0属性/0種類/なし


 性別/男・職業/剣士


 常時スキル一覧


 職業スキル一覧

『斬撃』

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