2-20『カリバーンーパーティ』


 なんだ?と言いたい所だが、赤ん坊の姿の僕はそれを黙って見ているしかない。


「………………」

(みぃもみぅも完全に無視か……いや、自分が話しかけられてることが分かってないのか?)


 2人とも必死にクエストボードを見てるようだ。


 完全無視されたと思ったのか、少し下を見て落ち込む少年。

 けれど諦めが悪いタイプみたいだ。


「俺の名前はアルベルデュ・レンっていいます!!良ければ僕達とパーティを組んで頂けませんか!!」

(ほうほう、これは使えるかも)


 うるさい声でみぃ目掛け声をかけてるので、流石のみぃも自分が話しかけられてることに気が付いたようだ。


「みぃのことです?」

 自分を指さし勘違いですか?な感じに返すみぃ。


「はい!!」


「……?」

 みぃはそっと抱っこする僕の方を見る。

(絶対僕に確認するよな、自分で決めたらいいんだけど……まぁここはしっかり利用させてもらおうでは無いか)


 僕はこくこくと頷く、そしてみぃが答える。

「はい、よろしくお願いします?」


 みぅは流石だな、全く気づかずいまだに読めない依頼書を睨んだまま葛藤中である。



 ☆☆☆☆☆


(ここに初めて座った気がするなー)

 冒険者ギルドにある、やたらがたいの大きい冒険者が飲んで騒いでしてる中に、子供4人+赤ん坊の図。

(ここって子供が入ってはいけないエリアな気がするわ)


 みぃとみぅと迎え合わせになるように、ほんのり赤髪の少年と緑色の髪の少女が座っている。

「いきなりのパーティ申請に答えてくれてありがとう!!改めて自己紹介します!!僕の名前はアルベルデュ・レン、良ければレンって呼んでください!!」


 この少年、1回目声をかけてきた時ごにょごにょしてた癖に、やたら声がでかい気がする。


「……私の名前はヘルミール・ペルネ……」

(……声がちいせぇ!!)


「みぃです」「みぅだよ?」

(自己紹介終わるの早い!!)


 4人とも性格がバラバラすぎて空気が終わってる気がする。

(せめて話せたらまとめるのに……まぁでも、人との関わり方を覚えてもらうには仕方ない……まかせよう)


 一応声をかけてきただけあって、レンが話しを進めてくれるようだ。



 ☆☆☆☆☆



 とりあえずレンが広げたのは依頼書だな。


『平野の暴れん坊オークの討伐』


 討伐目標/オーク、制限時間/なし

 最低討伐数/1匹、報酬/1銀貨(1匹につき)

 場所/アーク大陸ーカリバーン東平野


(をーゴブリンじゃない!!)

 丁度みぅが飽き飽きしてたので依頼的には最高だな。


 あっちなみにだけど、依頼目当てでこの2人と組ませた訳じゃないぞ?

 僕は見たら分かるこの2人のジョブ的に組ませたんだ。


 レンの特徴、ほんのり赤色の短髪、黒い瞳、安物の初心者用皮の鎧、腰には身丈に合わせたのか短剣が刺さっている。(たぶん剣士だな)


 ペルネの特徴、緑の肩にかかる髪、緑の瞳、耳が尖っている、白いローブに枝?にも見える安物の杖、首にかかる十字架のネック

(エルフってやつかな?十字架と杖を見るからに僧侶、魔力の属性は風)


 正直みぃとみぅは自分達の能力しか知らない、なのでまぁ他の人間と組ませて色々な能力を見る必要があると思う。

 大人はちょっと抵抗があったので、子供がこうして誘ってきたんだから利用しない手はないだろ?


「えーと、オークは平野に居て、とにかく目に移る魔物とか人間を襲うらしいんだ、だから僕がこーやって向かうから……」


 少年は綿密な計画を練っていたのだろう、一生懸命説明している。

(……みぃは理解してるけどそんなことする意味が理解できないって感じだな、みぅは……)


「いくと~つんつん、えへへ~」

(飽きたんだな)みぅは完全に話しについていけず、僕で遊んでるようだ。



 ☆☆☆☆☆



 そして平野にきた4人パーティ。


 戦闘を切るのはレン、後ろから3人が着いていく。

 僕は思った。


(よく考えたら、このレンってガキ!!ハーレムじゃねぇか!!)

 僕はこの少年を好きになれないことが確定した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る