2-19『カリバーンー朝食』


 家に帰ってくるなり前にゴブリンを討伐した際に拾っておいた槍を取り出す。

「『錬成』」まずは鉄と木材に分離させる。


「こっちはいらない」という訳で木材は異空間収納。


 使うのは鉄、更に唱える「『錬成』」そして完成、ホットサンドメーカー。


 これは凄い便利なんだよなー


 鉄板と鉄板を引っつけるだけ、本当にそれだけなのに料理の幅は大いに広がる。


 ホットサンドメーカーにバターを塗る。

 それから食パンを置いて、ケチャップを塗って、チーズを乗せて、ベーコン、そして更に食パンを乗せる。

 挟んであとはコンロで焼くだけだ。


「あ、忘れてた……」


 ミルクも鍋に入れて温める、異世界だしちゃんとした処理されてるか心配だからな。お腹壊すのは勘弁。


 ホットサンドメーカーを火に直接当てるとジューっと焼ける凄いいい匂いがしてくる。

 横からチーズがはみ出て焦げてくるが、これがまた美味いんだよなータイミングは今!反対にくるり。


「うにゅ……」


「ふぁ~……」


 どれだけ撫でても、僕が外に出ても起きないのに……食べ物の匂いには釣られて起きてくるよな~この2人。


「おはよう、もうすぐご飯できるからな?みぃ、みぅに顔の洗い方と歯の磨き方教えてあげてくれ~」


「分かりました~」寝ぼけてても、こう素直に言うこと聞いてくれるのは本当に助かるよ。


 とりあえず1つ目が焼ける、買っておいた食器に置く。

 包丁でスっと真ん中を切るとチーズがとろーり匂いがもくもくもく~(やば~久しぶり過ぎて泣きそうだわ)

 じゅるりと零れそうなヨダレを我慢し、あと2つ焼き上げる。


 ☆☆☆☆☆



「にゅぁーーーー!!!!うままーーーー!!!」

 どうやらみぅの舌に大ヒットしてくれたようだな。今までにない大興奮から声が溢れ出したようだ。

「ご主人様……あの」んーみんな好きだと思って作ったが、みぃの反応は薄いな。合わなかったか?と思ったのだがな。


「……今度、作り方教えて欲しいです……」

(あ、美味しかったのね?)

「はは、美味かったか?」

「はい!とても熱いですが、その熱さが匂いを際立たせ、蒸気が食欲を注いできて……それから、それから、えと味がです」

(……やば、何この子!?可愛いんだけど!?)


 みぃも静かだなーと思ったが、味をしっかり確かめてたんだな。

 たぶん今はその感想を興奮のままに言おうとしてるが、説明が思い浮かばないんだろう。


「よしよし、結構買ったからおかわりするなら作るぞ~」

 とまぁ、言った途端。


「おかわりー!!」「おかわりお願いします!!」



 結局、朝ごはんはあまり食べないだろうと数日分ストックして買った食パン等は殆ど消え去った。

(……朝ごはんだけで大銅貨4枚は吹き飛ぶのか……まぁ、修行させるんだしこれぐらいはしてやらないとだよな)



 ☆☆☆☆☆



 それから下級依頼には正直敵はなく、みぃとみぅは毎日討伐クエストに明け暮れる。


 ゴブリン、ゴブリン、ゴブリン、ゴブリン、ゴブリンと、やたら下級の魔物退治はゴブリンが多いイメージだな。


「みゅ~ゴブリン退治飽きたよ~」


「みぅ?ゴブリン退治も立派な修行なの、だからみぃと頑張ろ?」


「にゅ~」


 とまぁ、ここ最近みぅのやる気がやや減少気味なので、そろそろ手を打とうと考えてた日のことであった。


 この日もいつものようにギルドへ、壁側に貼られたクエストボードで依頼を確認する。


『村を襲うゴブリンの討伐』『家畜を襲うゴブリン』『集落の近くに現れたゴブリンの洞穴』『攫われた娘をゴブリンから救ってください』『ゴブリンの大きな洞穴の調査もしくは殲滅』


(……ゴブリンどんだけ湧いてんだよ!!)


 まぁ考えてみたら、魔物ってのは基本的に繁殖して増える種族は少なく、自然発生する魔石から誕生するらしいから、繁殖能力に長けたゴブリンが増えるのは頷けるのだがな。

(……他種族と交尾して増やすって……考えてみたらかなりやばい魔物なんだよな~)


 みぃとみぅ、2人がゴブリンに遅れを摂ることはないので正直僕には関係ない話なのだが、下級依頼が埋め尽くされるのは少し困る。

(他の討伐依頼とか、他の冒険者が取ってしまってないんだもんな~)


 と言った感じに、僕とみぃとみぅ3人で各々が下級から良さそうな依頼を探してる時に声をかけられた。


「すみません!!あの、冒険者の方ですよね?」


 ぼんやり赤い髪の少年と、背後には緑色の髪をした少女だな


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