2-18『東の村ーグレムリン』


 しゅたっと転移装置から転送された目の前には村がある。

「……早速襲われてるのかよ……」

 村から髪を引っ張られ拉致られそうな女の人がいる。

(グレムリンって言っても、結局ゴブリンが飛んでるだけなんだよなー)

 つまり、拉致しようとしてる理由を考えれば、攫われそうな女の人が大人だと言うのに半端なく泣き散らかしてるのも頷けるよな。


「にしても寒い……さっさと終わらせよ」


 やはりと言うかなんというか、大人の身体は赤ちゃんと違って動きやすい。

「『風』」浮遊に自身を加速させる風を追加し、一瞬にしてグレムリンから女性を救出。

「あっありがとうございます…!!まさか、冒険者様!?」

 とまぁなんか喜んでるが、どーでもいいので無視無視。


「『燃えろ!』」どうでもいいとか考えつつ、かっこいい振りをするあたりは、僕も男なんだよなー。

 女性をいつの間にか奪われ戸惑うグレムリンを丸焼きにした。


「……強い」

「あーとりあえず、村のグレムリン全部倒すから、さっさと家に帰ってくれ」

「……はっはい!!ありがとうございました!!」

 すっごい角度で2度お辞儀をしていく女性を見送った。

 今更だけど、人間に感謝されても嬉しくないとわかった。


「魔石……あったあった、あとはっと……」

 魔力感知を村全体に広げる、魔物の魔力は分かりやすいな。

 生き物の魔力というのは不自由そうに体内に囚われてる感じ、魔物の魔力は命を躊躇わず燃やしてる感じだな。


「さて、いくか~」


 あっという間に、まぁ討伐完了。

 村にかかった時間は2分程だろうか?その後、巣穴もと追加報酬を渡すという条件で討伐しといた。


 種族名/グレムリン


 強さ/下級・属性/無・性格/狡猾


 常時能力/浮遊・環境適応

 魔法能力/なし

 身体能力/投擲



 ☆☆☆☆☆



 転移魔法陣に乗り帰ってきた。

 かかった時間は50分程だろうか、正直巣穴探しに時間がかかったな。

(まさかあそこまで魔力感知を広げないと見つからない場所にあったなんてなー)予想外の時間の浪費だな。


 さっさと受付を終わらせよう。


「え?さっき出たばかりでしたよね……?」

(うん、このパターンはみぅの時に見たから何となくわかってた)


 面倒なので、討伐した分の報酬をさっさと何も言わず渡して欲しいものだ。

「一応村から報告があるとも思いますが、依頼は途中で追加され巣穴も潰しておいたんで、明日の夜にでも取りに来ますね」

「…………はっはい!!」


 んーやっぱこのひと、みぃに似てるな~

(驚くと素が出るというか?困ったら暴走するのかな?……)


 報酬を受け取った。


(結局グレムリン89匹も居たんだなー)

 報酬合計8銀貨と9大銅貨、追加報酬は1大銀貨という約束なので結構な額だな。


 ちなみに現世のお金で換算すると、1銅貨100、銀貨で1万、と言った感じだな。



 ☆☆☆☆☆



(8万9000……かぁ~遊ぶには少し少ないな~)

 という訳なので大人しく家に帰ってきた。

 魔石結構とったので、それなりにスキルポイント溜まってないかなーと見るのだが1ポイントにも満たず、0.1にすら達してないな。

(所詮ゴブリンはゴブリンだもんな)


 僕は部屋ですぅすぅ眠ったままのみぃとみぅの横でコタツに入り眠ることにする。

(あの二人の間温そうだな~)

 とは思うが、流石に禁断の花園へ足を踏み入れることは無く、すやすやと僕も眠りに落ちるのであった。


 ☆☆☆☆☆



 翌日。


「……ふむ」


 横から甘い匂いがする暖かな寝息が僕にかかって目が覚めた。

 というかこんな暖房器具もない室内だと言うのに、子供の体温だからか?暑いな……。


「……ご、しゅじん…さま~すぅ…すぅ」


「いくと~…zzZ」


 結局、寝てるとこの2人はいつの間にか僕をその花園のど真ん中へと寝ぼけてなのか連れ込むので、初めっから入っても一緒なんだなーと思う。


 メニューを開く

(あーまだ5時か~)

 みぃとみぅが起きるのは基本8時頃、僕的にはこの暖かい2人の体温を味わいつつふもふした猫耳を撫でながらあと5時間は寝たいところだが……「起きるか……」赤ん坊の朝は早いのだよ。


「うーさっぶ……」

 魔法で大人の姿になり向かうのは、ここだ。


「いらっしゃいませ」

「コーヒーのホットで」

「かしこまりました」


 僕にだって息抜きは欲しいからな。

 朝はこうしてのんびりと昨日見つけた珈琲を取り扱う喫茶店で一時間ほどゆったりした時間を過ごそうと思う。


「ふぁ~にしても、こう喫茶店に入ると……異世界感ないよな」


 店内の落ち着いた木製の内装、黄色い明かり、ごりごりと削られ香るコーヒーの匂い、まだ1年もこの世界に生きていないのに懐かしく感じる。そして店内の大きなガラス越しに外を見るとやはり異世界だな~と実感した。


「……うん、美味しいな」


 帰りに食パンと適当な食材、あと食器を数点購入して家に帰った。

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