2-13『東の森ー疾風迅雷』
ゴブリンの討伐数はみぅ1、みぃ7、により無事に達成したのだが、まぁ今回はみぅのフィジカルスキルの練習も兼ねてなので、もう少しゴブリンの討伐をする。
「見つけた、みぅ!右側少し先にゴブリン12……多いけど行けるか?」
「うみゅ!!」
「念の為に言っておくが、フィジカルスキルの使用だけに囚われるなよ、慣れた通常攻撃で蹴散らしつつ、余裕があればフィジカルスキルを使ってみろ!」
「わかったぁ!!!」
先程のみぃの完璧すぎる戦いを見たせいだろうか、こう浮き足立つみぅの戦闘は落ち着いてみてられないな。
僕が何故みぅには職業スキルのみを使えと言わなかったのか、理由は単純でフィジカルスキルはそもそも通常攻撃の中での必殺技、本来ならば使わないなら使う必要が無いスキルだからだ。
実際みぅの強みはスキルなどではなく、そのとんでもない運動神経や力の強さに秘められてると思う。
もし仮に、みぃにゴブリンを素手12匹仕留めろ。なんて言ったならかなりの大苦戦を強いて、勝つか負けるか際どい所だと思う。
けどみぅに限り、スキルを使わず倒せ。なら圧勝してくると予想出来るぐらいにみぅは強い。
そしてフィジカルスキルとは元来、素手の力で倒せない相手に対して、魔力を通常攻撃にプラスするもの。だからみぅがゴブリンなんかに使う必要はない。
でも今回は練習、フィジカルスキルをどう上手く使うのか……なのだが、僕は忘れていた。
(そういや……みぅも、野生の勘?的な戦闘に関しては、みぃと同等の天才だったな)
僕の目の先で戦闘は始まっている。
みぃは依頼が開始した頃は心配してたものの、ゴブリンと戦ったからだろう。みぅがこの程度の相手に怪我をさせられる恐れもない。そう判断したのか先程よりも離れた位置でのんびりと眺めている。
まずは一閃、12のゴブリンのうち、7体はみぅに気付くことも出来ずその命を絶った。
(……物音一つしないのか……)
みぃとみぅが移動してた時、木から雪が落ちるとこを結構見たはずなのだが、どうやら全てみぃが落としたものだったらしい。
みぅの木から木へ移動する速度はみぃを圧倒するというのに、木が揺れないどころが着地音の1つもたてない。
木々へ移る合間合間に居るゴブリンの後頭部を全て一撃で蹴り絶命させた。
そして7体もの犠牲の果て、ようやくゴブリンの中にいる盗賊がみぅを確認するが……みぅは、気付くというタイミングすら予測したようにその盗賊ゴブリンの喉を的確に蹴って、声を上げさせることなく倒してしまう。
(……いやいやいや……流石に強すぎるんじゃねぇのか!?)
残りのゴブリンは4匹、しかも弓士、魔道士、盗賊は狩りとられ残るは近接のゴブリンのみ、みぅは敢えてその残ったゴブリンの前に降り立った。
「にゅぅ……スキル使うの忘れるとこだた」
(……戦闘が始まると殆ど野生だもんな……)
1度気持ちを切り替えるため、敢えて姿をさらしたみたいだな。
「ゴブゴブ!?」みぅの出現に急いで味方に戦闘隊形を強いる声をあげたゴブリンであったが、ようやくここで周りの仲間の死に気付いたようだな。
そして普通ならもう勝てない、そう思えば逃げるゴブリンなのだが逃げない。というよりもみぅを目にして思ったんだろう。後ろを見せた途端殺られるとな。
(結局死ぬんだろうけど……)
そんな必死のゴブリンの前でも、流石はみぅだ。
「んと~この強いのをぐーってして、ぼーって感じ…うみゅ!」再確認してたみたいだな。
そしてその後ゴブリン4体は動く間もなく、まさに疾風迅雷といえばいいのか、みぅが放つフィジカルスキル『魔撃』によって消し炭となった。
「にゃーーー!!!」勝利の雄叫び、本当にみぃとは真逆の性格だよな~
とぉーとか言って僕のこたつの上に飛んできた。
「いくとー!スキル使えたよ!!すごかったよ!!」
(見てたから知ってるけど……この表情はあれだよな~)
「よしよし、よく頑張ったな~」
褒めて欲しい時の顔なんだよな。
「えへへ~みぅもスキル使えるようになたー!!わーーい!!」
「こらこら……寒いだろ」
コタツに入ってる僕に飛びつき抱きついてきた。
見事にコタツから外に追いやられ宙から落ちて雪の上、すっごい喜び赤い髪についた耳ですりすりしてくる。
(こっちはこっちで子供過ぎなんだよな~)
少しは羞恥心を学んで欲しいとこだ
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