2-11『東の森ーゴブリン』
ジョブを選択した途端に何かが変わるのだろうか?僕は冒険者登録を行っていないから分からないが、みぅの魔力がやたらと拳に集まってて、今にも何か起きそうなので急ぎで依頼を受けた。
そんな僕達は今、ギルド依頼を受けた場合に限り使えるという転移魔法陣を使用して討伐依頼の出ているゴブリンの討伐に来ている。
『村の家畜を盗むゴブリンを討伐せよ』
討伐目標/ゴブリン、制限時間/なし
最低討伐数/6匹、報酬/3銅貨(1匹につき)
場所/アーク大陸ーカリバーン東の森
☆☆☆☆☆
やはりこの2人、森の中で育っただけあり森の中での動きはとんでもないと思う。
雪が降り積もり森の中の木々をたんたんと軽い足取りで蹴っては飛び、木の枝に積もった雪が自身へ降りかかる前に次へと移動し進む。
(前よりも動きが良くなったよな)
格闘経験すらない素人目な僕ですら驚く程の成長を遂げていると思う。
ゴブリンの出現位置はマップで確認出来る
「みぅ、もうすぐ…も、くひょう……ふむ」
伝えようと思った頃には、前もってゴブリンの姿をギルドの図鑑で確認してたからか木々を飛ぶ勢いに身を任せ、こちらに気付いていないうちに後頭部へ蹴りの一撃。
みぅの体重はかなーり細いので、たぶん30キロにも満たないだろう。けれど体重が軽いとはいえ30キロ近くある事には変わりない。片足に集中した体重、木々を蹴って付いた加速、上から下への重力、そんな物が後頭部へそれも突然に降ってきたらまぁこうなるのは当然だろう。
「にゅ?」
(悪者だと判断した途端に容赦ないよな~)
転がるゴブリンの死骸の横、声をかけた僕の方をきょとんとした表情でみている。
「ん、まぁ大丈夫だけど……そろそろ身体に魔力がねり上がってるだろ?スキルを試したらどうだ?」
みぅは魔法を使えない(使える筈だけど覚えられないが正解)
けれど魔法の代わりにその小さな身には想像出来ないほどの力、体力、速さ、肉体的な面に置いてかなり優れている。
それも魔力が見える僕から見たところ、動く事により魔力を体の内側で練られているので、フィジカルスキルの才能まである、もしこれを上手く使うことが出来るようになれば、今まで以上に化けると思う。
「にゃにゃ!!やってみるる!!」
ちなみにみぃには今回戦闘参加をやめてもらっている。もしもみぅが危ないと思えば助けてもいいという条件はつけられたけど、僕が言おうとする前にみぃから意見してきた時は何故か嬉しく思ったな。
(やっぱ妹は心配だよな~……みぅって猪突猛進なとこあるし)
☆☆☆☆☆
魔力感知により真っ先に僕が気付く。
(1.2.3…7匹、ゴブリンの小隊って奴か)
手助けはしない。とはいえ現在の僕たちのパーティ編成的にそういう訳には行かない。
みぅは近接格闘家、みぃは中距離の魔法使い。
本来冒険者というのは(ゲーム知識)4人、または5人編成が基本で、近接攻撃、近接守り、中距離から遠距離の砲台、ヒーラー、最後にサポート。
(パーティメンバーを集ってから依頼は受けた方がいいんだろうけどな……正直、僕はこの2人以外と仲良くなれる気がしないし……仕方ないよな)
なのでまぁ、僕のポジションはヒーラーとサポート。
「みぅ!もうすぐゴブリンが7体いるから気合い入れろ!」
「うみゅ!」
本来なら距離を細かく言うとこだが……まぁみぃならともかく、みぅはそーいうのはてんでだめ、なので戦闘中に無駄な考えを持たさないようにみぅのわかるように言った。
そして、その速さ閃光の如く!!とは言い過ぎだが、ぶっちゃけハヤブサ並に速いとは思うな。
しゅたっとゴブリンの群れの真ん中にみぅは降り立った。
降り立った……「へ?なんで降り立った!?」
ゴブ!?と、突然現れたみぅに驚いた様子のゴブリン達。
何もしてこないみぅに対して、攻撃を仕掛けることも無く距離をとるように逃げ出した。
そしてまぁみぅ、ゴブリンに目もくれず遅れて到着する僕を見て首をかしげていう。
「いくと~?スキルってどうやって使うの?」
すみません、教えなかった僕が悪かったです。
勢いよく飛び出すもんだから知ってるとばかり思ってたよ……
☆☆☆☆☆
種族名/ゴブリン
強さ/下級・属性/無・性格/狡猾
常時能力/環境適応
魔法能力/なし
身体能力/投擲
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