2-06『アーク大陸ー大きな家』
やはり雪の中で進むと言うのはかなり大変なもの、
メニューにあるマップで確かめた、歩いて到着する予想時間は6日程だったのだが、軽く20日ほどかかってしまうんだもんな。
距離にして500kmぐらい、それまで一切の村も街も無いことからこの異世界の広さが伺い知れるってものだ。
ちなみにナビにも似たマップを最大まで広げた時、この距離は点にすらならなかったのでこの世界で世界一周旅行~なんてした人はそうそういないと思う。
(日本の端から端が確か……3000kmぐらいだっけか?)
流石にずっと徒歩は厳しいと思うので、そのうち足替わりになる物を用意できたらなと思う。
とまぁそういう訳で、僕達はとうとうたどり着いたのだ。
「……大きいな」「はい」
僕とみぃは静かにそれを見てるが、もう1人の少女……まぁみぅだな、ぴょんぴょん跳ねて驚いてるようだな。
「おっきいおうち!!凄い!!」
(……みぅにはそう見えるのか……)
まぁでも、みぅが言うのもあながちはずれてはいないとも思う。
何処までも高い塀、山何個分だ?と比べるものが無いほどに広大な土地を囲っている。
そしてその塀に仕掛けられているのだろう、上空には目に見える程に濃縮された魔力により張られた魔法防壁が展開されているので、それが屋根と考えるなら、街を見た事ないみぅからすれば、確かに巨大な家にも見えないことは無いな。
(これ、僕の魔法で貫けるかな……)
少し興味はあるが流石にそれはまずいのでしません。
☆☆☆☆☆
どうやら僕達はかなり遠くからそれを視野に入れてたみたいだ。
(全然たどり着かねぇ~)
街を確認したのが昼過ぎ、今はもう夕方、結局今日も外で野営することとなった。
この2人の手際はもう既に神がかっている。
みぅがまず「うにゃにゃにゃにゃにゃにゃーーーー!!!」とか叫びながら巨大な雪玉を作りみぃの元へ運ぶ。
みぃはそれを水魔法を器用に操りかまくらの形に作り替える。
(……教えてもないのに、水でしっかり雪を固めてるんだよな……しかもみぅが雪をかき集めて土が出てるとこに……)
やっぱみぃは天才だと思う。
そして完成。ではなく、次は外に続く通路もかまくらに横穴をあけて作り上げてゆく。
まぁ焚き火する場所だな。
流石に外にむき出しにはなるが、雪で作ったかまくらの中で火を使うわけにもいかないので調理場までの道って感じだ。
それから土を盛り上げて作った寝るスペースには雪兎の毛皮で作った敷布団と掛け布団、葉っぱで作った枕なんかもある。
真ん中には丸い台、これはテーブル、ご飯を食べる場所。
端っこに設けられたスペース、あれは僕専用ミニこたつを置くために開けてくれてる。(……初め、すごい感動したよな~)
と言った感じに2人は最初は大変そうにしてたものの、今ではアレンジして遊ぶ程度にはかまくらを簡単に作ってしまうのである。
(みぅは基礎体力の向上と動きにくい雪の上での移動による足腰の強化、みぃは魔法を器用に操る繊細な操作と魔法にかかる発動時間の軽減……なんだかんだ冬でよかったのかもな~)
とはいえ、結局の所は2人のやる気から訪れた結果なのは僕もわかっている。
(2人から何がなんでも魔王と勇者の魂を追い出さないとな)
改めて気合いが入る僕である。
☆☆☆☆☆
2人より先に少食の僕は食事を終え、メニューを開きマップを確認している。
(明日の朝でたとして、10時頃には着くかな)
確認が丁度終えたところで2人も食べ終えたようだ。
「ごちそーさまでした!」「ご馳走様でした」
「お粗末さまです」
基本皿として使っている葉っぱは数回は水洗いし再利用、最終的には使い捨てだ。
(所詮葉っぱだからな~すぐ痛むし、脂汚れを落とすには力を入れて洗えないもんな)
けどまぁ、そもそも自然物なので外にポイッと捨てたらいいだけってのがエコだなって思う。
食事を終えると2人は縫い物を始める。
最初は針と糸だけを与えたのだが、数日前にハサミも与えた。
理由としては縫い物が上達してきたからだな。
そしてこの2人だが、ハサミの使い方を教えただけだと言うのに、これまた器用に色々と作り上げている。
掛け布団敷布団はまぁ縫い繋ぐだけなのでこの2人なら出来て当然なのだが、案外難しい手袋や、首を温めるためにマフラーなんてものまで作っていた。
(試行錯誤が凄いんだよな~って違った、今日も今日とて娘のように可愛い2人の凄さの再確認じゃないんだったな、ルールの再確認をしなければ)
明日街に入る。なので2人には旅のルールの再確認をした。
迷子になったなら待機すること。
危ない環境下に出くわしたら迷わず逃げること。
いざと言う時はお互いの命のみを最優先にしろ。
常に最悪を想定して最善に行動しろ。
寝る時は必ず安全が確保出来てる場所、もしくは僕が必ずいる場合のみにしろ。
などなど、殆ど命令になってしまってはいるが……まぁ人の子を預かる僕としてはこの2人の安全を絶対に確保しなければならないので当然のことである
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