2-05『アーク大陸ー移動』


 あれから数日、2人はもう今の環境を余裕で生きられるようになっていた。


「よいしょっよいしょっ」


「みぅ、それ頂戴」


「うみゅー!」

(この返事お気に入りのようだな)


 街まではかなりの距離がある。

 僕達は石のかまくらを捨てて移動を重ねながら進んでいる。

 なので大抵は1時間程で狩りを済ませ移動、昼食を食べてさらに移動、夕方になると今してるように2人が雪で鎌倉を作り始める。


「でけたー!」


「今日はたぬきだよ」

(流石みぃだよな~妹の扱いがうまいというかなんというか)


 毎日移動する度にかまくらを作るのははっきり言って重労働、しかも単調作業だから飽きも来るだろう。

 みぃはそれを初日に判断したのか、体力仕事を任せることになるみぅが飽きないように、かまくらは毎回動物をモチーフに作っているようだ。


(初日が猫、犬、狐もあったな、あと鳥も……みぃってやっぱ、色々知ってるよな~このたぬきもどっかで見たような……)


「たーぬーきーがーコンコン!」


「みぅ?コンコンは狐だよ、タヌキはポンポン」


「そうだった!たーぬーきーはーポンポン!」


(園児の面倒を見る学校の先生みたいだな)

 はしゃぐみぅを見てるみぃもなんだか優しい表情で幸せそうに見えるな。


「飯できたぞー」


「ご飯~!!」「はい!」


 ここ数日はこんな感じに少しずつ街へと向かっている。



 ☆☆☆☆☆



 2人が寝静まった頃に僕は僕でする事がある。

(あんまり2人には見せない方が良さそうなんだよな)

 2人のやる気を削がないため、僕は夜中にこそこそとしてるのは魔法の練習。


(命に関わる問題があった時は助けるって言ったからには、強くないと行けないだろうし……異世界の平均的な強さってのがわかんないもんな)

 僕は魔法が使えるからと少し浮かれてた部分があるなと、自分で自分に咎めた。

 考えてみると僕が見てきた中で1番強いのはねこのこ様、けど世界は広くねこのこ様より強いのなんてごろごろいるだろう。


 なので、多分だが僕とねこのこ様の力量は、物理攻撃無効化と全魔法攻撃無効化を除いてしまえば天と地ほどの差があると自分なりに考えている。


(ゲーム通りなら、MPってのが魔力量、なら僕はねこのこ様よりも魔力は高いはずだ……無限って書いてたから、無制限で使えるってことだろうし……やっぱあの差は経験とかそーゆーのなんだろうな)

 とまぁ考えた結果、みぃとみぅだけでなく僕は僕で色々と1人学ぶために夜中に魔法をとりあえず打ちまくってる。


「『雷!!』」

 想像したのは手から落雷がレーザービームの様に放たれる様。


「やっぱ真っ直ぐの方が威力はあるな~」

 独り言を呟き再確認。

 昨日は全体にバラけるように雷を掌から放った。結果は雪に大量の穴が空いたが前もって用意しておいた沢山の大きな岩には焦げ目がつくも破壊は出来ない感じだった。


 そして今回の雷は直線、昨日より大きな岩をどんと置いてたのだが雷は直線で岩とぶつかりぶつかった箇所を真っ赤にし、溶解して貫通させた。



「まぁ上手くいったし……次はっと」


 一応僕の使える属性。


 火、水、風、地、氷、雷、金、光、闇、無


 そして得意魔法


 攻撃、支援、回復、使役、創造、召喚、特殊、概念


 最後に最大出力が無限級らしい。


(殆どの属性と、殆どの魔法を得意とし、最大出力に上限なし……っても、使い方分からないから意味ないよな~)

 結局のところメニューのステータスから判明した事で、僕はそれが使えるからと言って何が出来るのか?っていう、最も肝心なことを知らないので宝の持ち腐れ状態。


 とはいえ今はとにかく、わかる範囲で適当に魔法を使いまくるしかない。なので生態系を壊滅させない程度に僕は修行している。

(みぃが見たら……嫌になるだろな)


 ちなみにみぃの属性は水、あと今は扱えてないが魔力を見てる感じ氷と光の才能もありそうだ。

 得意魔法は攻撃というよりも創造だな、水を集め形作ってから攻撃に使ってるし(でもたまに遊んだりもしてるし……使役も得意なのか?)まだまだ始めたばかりの修行なので、これからの成長が楽しみである。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る