2-04『アーク大陸ー食事』


 縫い方を覚えて集中してるな。


「みぃねぇね、こうかな?」


「んーん、こうだよ」


「わ~くっ付いてる!」「みぅも頑張ろ」「うん!」


 と、二人を見てても仕方ないな。

 僕は僕で料理を進めよう。正直毎日キノコばかり食べてた2人に肉の栄養分は必要だと思うしな。

(ねこのこ族、ねこの姿をしたキノコを主食にする獣だっけか?……)ちなみにこの種族、ねこのこ様の言う赤ん坊とやらの力で進化してからの記録が図鑑には載ってない。


(神獣の森に住んでたし、もしかして神獣の1種だったり?……まぁ今はそんなことはいいか)

 慣れた手つきでうさぎを捌いてゆく。

 前世では一人暮らしだったし、基本的に肉が好きで色んな肉を好んで食べてたから肉料理は得意なんだ。

(塩コショウ……もしくは塩だけでもいいから欲しいとこだな、マヨネーズや一味なんかも……くそ~)


 ないものねだりをしても仕方はない。


 フライパンを温める、そこへ雪兎の皮付近に付いていた脂肪を脂変わりに使用する。


「にゅ?」「……いい匂い?」

 やっぱり食べたこと無くてもこの匂いは反応するんだな~

 見事に縫う手が止まってるふたりをちらりと見たあと、次はそこへキノコをさらさらっと投入。


「お腹減った~……」「……だね」

 キノコと肉の脂の匂いが石のかまくらの中を侵食してるんだから、まぁこうなるのは仕方ないよな。

(換気口結構作ったんだけどな、やっぱり匂いはどうしようもないか)

 そして次に雪兎の肉を入れる。

 寒さに耐える為なのか、脂が乗ってる肉はすぐに火が通る。

(硬くなる前に……よし!)


 丸々1頭使った、調味料がないから味は知らん!キノコ風味の兎肉の完成である。

(やばい……僕もお腹減った)



 ☆☆☆☆☆



 みぃとみぅと僕の前に並べた肉とキノコ炒め。

(結構な量だな~)

 たぶん今までが少なすぎたってのもあるが、うさぎ丸々1頭使ってるわけだから普通に多いだろな。


「つんつん、これうさぎさん?」


 初めて食べるものに興味津々なご様子だな。


「ん、まぁそうだけど、食べ物に対してそーいう事はしたらだめだぞ?」


「どして?」

(……なんだろう、このなんでも聞きたい年頃ってやつなのか?……小さい子供によくあるって聞くが……ふむ)

 なんでも人に聞くな!とはまぁ(言えないよな~ある程度育ってからだろうけど、捨てられたこの2人はそういう時期に聞く相手がいなかったんだろうし……はぁ)


「食べ物に対してつんつんしたり、嫌い!とか言って残したりするのは、その生命に対して失礼だからダメなんだ、出された物は感謝して食べるんだ、感謝するのにつんつんは必要ないだろ?」


 こくこくとみぅの隣でみぃが頷いてる。

(……共感?)みぃの知識量だけは僕にもまだわからないな。

 みぅは少し悩んだ様子(難しかったかな?)と僕が思ったぐらいに返事をしてきた。


「…………!うみゅ!」


(どこで覚えたその返事……!)

 まぁとりあえず納得したようなのでいいのかな?父親なんてした事ないからよく分からん。


「よし、じゃあ食べるぞ~」


「いただきまーす!」「頂きます」

(ふむ、頂きますはちゃんと言えるようになったな)


 初めて食べる肉、躊躇するかな~と思いきや真っ先に手でガシッと掴んで「がぶり~……………」この子にそんな繊細なものは無かったな。


「うままー!みぃねぇねおいしいよ!」


「うん、おいしいね」

(そう言っていただけて光栄です)


 パクパクもぐもぐ、2人の手が止まることはなかった。


「おなかいっぱい~~」


「だね、みぃもおなかいっぱいかも」

(ふむふむ、食べる量は同じなんだな~ていうことは、みぃはみぅをおなかいっぱいにする為に我慢してたのか)

 やはりみぃは優しいんだな~と再確認した気がする。


 という僕もおなかいっぱい(残ったのどうするか……満足してるのに与えるのもおかしいしな~)

 という訳で残った分は異空間収納、赤ん坊の身体に慣れてないので、お腹の最大値がまだよく分からないな。


 ご飯を食べ終えたあと、多分眠たいのだろううとうとしていた2人だったが、なんとか雪兎のローブを作りそのまま寝落ちしていた。

(丁度いいな)雪兎のローブを2人にかぶせ、僕も僕専用ミニこたつの中で眠った。


 異空間収納の追加品


 ・一角雪兎の肉/5頭・雪兎の毛皮のローブ/2着・一角兎の角/6本・肉キノコ炒め/140g


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