双子の冒険者生活
プロローグ
森を出て思い返しているのは今日までのことである。
僕は元々ただの日本という国に住む1人の人間だった。
まぁ外で力仕事を暑い日も寒い日もしてたからそれなりに我慢強かったと思う。
そんな僕も結局は人、案外呆気なく死んだんだ。まぁ他殺だから僕を殺した奴はきっと服役してるだろうな~うん。
で、死んだ僕はガキンチョの神様に出会って、半強制的に異世界に転生させられた。
何故か赤ん坊、しかも生まれたのは大森林の中、野生のウルフに狙われ絶対死んだわーという絶体絶命の所(まぁ物理攻撃無効化があるから死にはしないけど知らなかったんだよな)双子のねこのこ族に救われ、そのまま拾ってもらった。
2人は知らないながらも必死に僕を育ててくれた。
(今更思えば、捨てられた自分達を重ねていたのかもな)
そして1ヶ月で僕は立てるようになり、2ヶ月も経てば喋れるようにさえなっていた。
そしてあの日、僕はなんとなく2人に名前をつけた。
みぃとみぅ、正直適当に付けた名前なんだが、そこから色々と起き始めたんだ。
ねこのこ族へ名付けをするという事は、魔力による繋がり、契約を齎す事だったらしい。
なので2人は僕と契約したとして、僕の転生特典かよくしらんがその魔力に触れて姿を変えた。
最初は人間と猫のハーフ、茶トラ柄のねこのこ族だったのだが、共に長い髪の先端が白い赤い髪と水色の髪となり、瞳の色も髪に似た色に移り変わっていた。
身長も130程から10cmほど伸び、顔は元々獣寄りの美幼女だったのが、少し成長し人間寄りの美少女に変化していた。
まぁそんなことはいいとして、問題はここからである。
名付けを行った数日後、みぃとみぅの同族であるねこのこ族の襲撃があった。
前々から罵倒は毎日のように行われていたのだが、その日のそれは2人を殺しに来ていたのだ。
理由はどうやら2人が契約を行ってしまったから、罪悪感もあり家に2人を残し外に出た僕、待ち構えていたのは数十のねこのこ族、とはいえ魔法で脅せばすぐさま全員が居なくなる。
けれど僕の誤算はここだった。
脅しに使ったどこまでも巨大な炎な球体は消えない。
どうしようと慌てて色々な魔法を試みもどんどん肥大化、正直完全に手に負えなくなったので、遠くに見える岩山にぶん投げた。
が、まぁこれも誤算。
思ったより大きくなり過ぎたそれはその重さから岩山へ届く前に落下を開始、このままだと、森の1部は全焼してしまうな~と思っていたその時であった。
大きな怒声を荒らげ現れた1匹のねこのこ族がそんな馬鹿みたいな魔法を物の見事に消し去ったのだ。
そしてそのねこのこ族は僕の方へと走ってきて、まぁみぃとみぅがその声に気付き出てきた時にこぼした言葉でそれが何者かはすぐに分かったんだけどな。
それはねこのこ族で最も偉いねこのこ、ねこのこ様であった。
風の魔法で押し込んだ2人、いつでも出てこれるというのに出てくることは無かった。
ねこのこ様は僕に色々打ち明けてきた、過去の話し、2人の話、そして最後にお願いをしてきた。
2人を殺してくれと、決死の思いで言ったねこのこ様の頼みであったが僕は断った。
そして泣いてるねこのこ様についつい文句を言いまくって、最後に啖呵を切ってしまったんだよな。
僕がこの2人を救うってさ。
他人に興味無いし、他人がどうなろうと知ったことではない。そんな僕がなんでそんなことを言ってしまったのやら、まぁ2人の純粋さに汚染?それとも綺麗にされたのか?どうでもいいな、とりあえず1度啖呵を切ってしまったからには全力を尽くすのも僕なりの生き方である。
なので、色々準備して、2人を何とかするためにこうして旅に出た訳なのだが……森を出た途端に思ったんだ。
「さむい……森に帰りたい……」
どうやら神獣の森って場所は聖なる護りとやらで四季による変化が無くて、常に良い感じに暖かな環境だった様だ。
そしてどうやら僕達が旅に出た季節は真冬、そんなこととは露知らず出たもんだからな。
「さむいよ~」
「……みぅ、がんばろ」
薄着の僕達はもう既に限界を迎えていたりする。
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