2-01『アーク大陸ー手助け』
僕は今悩んでいる。
森を出るまでは絶対手助けしないと考えていた、そんな自分にかけた足枷のせいでこうもすぐに悩む羽目になるとは思ってもいなかった。
辺り一面が真っ白、天から降り注ぐも白景色、強い風のおかげで横からもまた真っ白がお出迎え。
「寒いわ!!!」つい突っ込んでしまったよ。
「……みぅ、眠たくなってきた……かも」
「みぅ、寝たらダメだよ?寒いとこで寝る……と………」
「って、出て直ぐだけどこれ命の危険じゃねえかよ!!」
悩む必要なんて大いになかった事がわかった。
正直、冬に備えてなどといった考えなんてなかった。
浅はかな考えだろうが、森の中の気温を想定してたんだから仕方ないだろ。
まさか出た途端にこれは反則だと思うしさ。
と、そんなことを考えてる間に2人は寝落ちして雪と一体化しそうなのでとっとと行動する。
「『地!!』」
魔力が見える僕に、形を作り上げる為の詠唱なんて必要は無い。
見える魔力を想像した形に辿らせ、使用する属性と同じ言霊を発するだけでそれは完了する。
地の魔法は土や岩と言った物を辿り、魔力を増長させることでそれを成すことができる。
自身の中にある地の魔力を地面へと送り付け、目標とする場所へと突き上げる。粘土よりも簡単に思った通りに動く魔力が創造したい形となり唱えるだけで出来上がった。
「石の鎌倉ってとこだな」
浮遊で寝てしまいそうな2人に触れ、浮遊の効果で軽くし片手でまとめて運び込んだ。
異空間収納から前もって集めておいた木の枝を真ん中に集めて「『火』」簡易に焚き火を行う。
火によって出る煙を追い出す穴を端に数箇所開けてるので、反対側へ2人は運んでいる。
「……んー起きないな……でもまぁ大丈夫か」
「すぅ…すぅ…」「…zzZ」
(はぁ……にしても流石に焦ったな、まさかこんな真冬だったとは……にしても、僕に助けを求めないとはな~それだけやる気があるのはいいが、死んでしまったら元も子もないわけだし、起きたら注意しないとな……)
家を出てから神獣の森を抜けるまで半日ぐらいぶっ通しで動いていた2人、よく考えてみたら疲れてて当然だよな~って思う。
(どこまでも辛い顔を見せないから、どこまでやっていいのかが分からないんだよな……育てるって難しい)
鎌倉の外に見える雪景色はとても綺麗だが狂気に満ちている。
それを見てると、この2人の未来への道のようにも感じてしまう。
「目標ってのは基本的に綺麗事、道のりで結局どう思うかが重要なんだよな、自分の努力に見合った目標であるのか……なんて考えて心折れてしまうやつも多いし……この2人はそんな大人が多いってのに、本当に馬鹿というか純粋というか」
眠るふたりの寝顔を見ながら、とりあえず僕は考える。
(この2人の手助けをし過ぎず、でも冬に対しての対策は講じてやらないといけないよな)
なんだかんだで外は夜、たぶん眠ったらなかなか起きない2人だ。僕は数分だけ外に出てちゃっちゃとその対策を取りに出た。
☆☆☆☆☆
翌朝
「ふぇ?暖かい!」
「……ご主人様が?……でも手助けは……」
喜んでるみぅと、困ってるみぃ。
「みぃ……まぁいいたいことは分かる、どうして手助けをしたんだ?ってことだろ?」
「はい」「にゅ?」
とりあえずまぁ、みぅはよく分かってないみたいだけど、そのまま話しを進めることにする。
(みぅに説明してたら日が暮れるもんな……)
「僕は手助けをしないと言ったが、それは命の危険がない場合に限るとも言った……まぁ、つまりこの極寒は当たり前に命取りなんだよ、僕がいなかったらお前達はあのままどうなってたかは、言わなくてもわかるだろ?」
みぃはこくりと頷く、みぅは首を傾げる。
(……今度、四季の勉強もしないとな~)先生も大変です。
「まぁ、という訳だから今回は助けたんだ、あとその服はこんな寒い中で自分たちで何とかしろ!って言っても出た途端に昨日の二の舞だろ?だから1着づつだけ用意した、それを見本に今日からは自分達で狩りをして作ってもらうぞ?」
「はい!!」「……んーわかった!」(絶対わかってないよな?)
とりあえず丸投げにはなってしまうが、みぅのことはみぃに任せるのが1番だろう。
僕が、この2人の関係にまで首を突っ込むのはおかしいしな。
姉は妹に頼りにされ、それに答えるように学んで教える。
妹はその姉が大切だからこそ、いざと言う時は自分の身を顧みずに守りに行く。
この関係はなんとなくだが、僕が割り込んでいいものでは無いと思ってしまうんだ。
(見てるだけで癒されるんだよな~)
少しだけ個人的な趣味もあったりはするが、その辺は役得だな、うん。
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