16『神獣の森ー育成』


 あれから数日の時が経つ。


「みぃ!!もっと魔力を手に集めろ!!」

「はっはい!!」


「みぅはもっと考えて動け!!」

「うん!!」


 実はまだ旅に出ていない僕達3人は神獣の森で修行中である。


 あの日の夜、僕は色々考えてみた。

(魂を取り除く方法か~)と、ちょっとやそっと考えたところで答えなんて出る訳が……あったんだ。


(魂が入ったってことは取り憑いてるっことか?ゲームとかでそーゆーのあったよな~取り憑く?だっけ、確か教会とかで解除したような~)まぁそんな安易な方法ならば、ねこのこ様がとっくにしてるだろうなと考えに至るのは当然の事だ。


(ん~ゲーム……アニメ……異世界の情報って正直そんな知識しかないよな~困った……いや?、まてよ?ゲーム!!)


 そして思い浮かんだのは右上についたボタンである。

「メニューっていえば確か、ヘルプ!!」

 寝てるふたりのことを忘れ興奮気味に僕はメニューを開き見ると、やはりそこにあるヘルプ画面。


「あった!!」

 そして見つけた、状態異常の欄、憑依状態の解除


 速攻開き確認する。


『憑依状態の解除』


 憑依状態とは、霊体、または魂により、肉体ではなく身体の内側に取り憑かれている状態のことを指します。

 解除方法は、認識、魔力強化、精神強化により可能で、取り憑いた相手よりもそれが上回る場合即追い出す事が可能です。


『第三者による除霊』


 第三者による除霊も可能となりますが、その際は精神に掬った者を追い払う為に強力な魔力を肉体へと放出する必要があり、肉体へかなりの負担を強いる形となります。


 注意点として、魔力により追い出した霊体には使用した分の魔力が宿ることとなり大抵の場合は肉体を維持できず消滅しますが、魔力次第では具現化することがあります。

 その際取り憑かれた者の精神奥深くに侵入する事となります。

 そして取り憑かれた者がそれを討伐する必要があるので余力を残しましょう。



 なので冒険に出る前に食料等の補充のついでに2人を鍛えてるって訳だ。


(はぁ……安易にこういうのってやっぱ引き受けるもんじゃないよな~僕の魔力は無限だから出そうと思えば出せるだろうけど、この2人がそれで死んでしまったら元も子もないし、魔王と勇者なんて代物だろ?絶対精神に入り込むだろうな……みぅとみぃ、2人が結局戦うって訳になるんだよな~)


 異世界だし、どこぞにある伝説のなんちゃらって秘宝でガバーって感じにどぼーって出せるかなとか思ったりしてたが、やはり人生ってのは大変なんだとつくづく身に染みる僕である。



 ☆☆☆☆☆



「とりあえず1ヶ月分は取れたかな」


「いくと~みぅ、強くなってるかな……」


 異空間収納にキノコを増やし続けることひと月、1日取る分を倍に増やしたわけだから結構大変ではあったが何とかなった。


(まぁ充分か……にしても、みぅが強くなってるかどうかか……正直わっかんねぇんだよな)


 みぃの強さはすぐに分かる。

 なんせみぃに限っては魔力の流れを教えてあげれば良いだけなのだからな。

 基本的に魔力というものは目には見えないらしい、けれど僕には魔力感知があるのでそれがはっきり目に見えている。

 だからこそ魔力を操るのは簡単だった、外に出た魔力を操れと言われるとまだ出来ないが、内の魔力ならばある程度の道を覚えてしまえば思う様に動いてくれる。


 だから、魔法の扱い程度ならこの感覚を説明により共有させることで呆気なく鍛えることが可能って訳だな。

 そしてみぃは魔法を何度も繰り返し使うことで、確かに体内魔力が上昇している。


(だというのに……はぁ)そう上手くは行かないものだな。


「……やっぱり全然魔力は動かせそうに無いか?」


「うみゅ……フィジカルスキルは使えるけど、マジカルスキルはダメ~~」


「だよな~~はぁ」


 みぃと違い、みぅが扱うのは身体を使うタイプの能力。


 マジカルスキルというのは魔法の事で、詠唱によって魔力を紡ぎ想像を具現化させる事象のことを指すのに対し、

 フィジカルスキルというのは動く事で身体の中の魔力を要所要所に集中させ大きな能力を得るものである。


 はっきりいって、僕的にみぅはどう考えてもねこのこ様と同じタイプの魔力だと思っている。

(はぁ~双子なのになんでこうも真逆なんだよ)

 ねこのこ様が鍛えるのが1番手っ取り早いのに、やはり世の中上手くいかないよな~。

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