05『神獣の森ー生活』
異世界転生して、猫の獣人にお持ち帰りされてから1ヶ月程経とうとしていた。
「赤ちゃん歩いた」
「可愛い」
日々のトレーニングの結果、はいはいを通り越し二本足で経つことを可能とした僕は天才だと思う。
☆☆☆☆☆
転生した日からの毎日、とても辛かった。
「人間は水で洗わないとダメ」
と言う、姉のどこから知識なのか妹はそれを実行。
(冷たい!!死ぬ!!!)
そして実行した後に必ず修正される。
「水を熱くない程度に沸かさないと駄目だよ?」
「人間の赤ちゃんは毎日ぎゅーしないとダメ」
と、またよく分からない知識、妹は実行する。
(くるしーー!!!死ぬからやめて~ー)
そして再び修正が入る。
「赤ちゃん弱いから……強くしたらダメだよ?」
「人間の赤ちゃんは暑いのが好き」
と、姉のとんでも知識。
(へ!?どこに入れるつもりだ!?)
今回は流石に行なわれる前に修正された。
「竈にいれたらお肉になっちゃうから、体温で温めないと駄目だよ?」
と言った感じに、日々の訓練というよりも、日々の拷問から逃れる為に歩く事が早々と可能になったようだ。
(これが生命の進化ってやつか……)
☆☆☆☆☆
ここ1ヶ月で分かったことがある。
どうやらこの2匹の他にも沢山この種族は居るようだ。
わかった理由としては、まぁ毎日突然聞こえてくるこれだ。
「忌み子はされ~!!!神獣の森から出ていけ~!!」
選挙活動か?とか思ったがそうで無いのは一目瞭然、この暴言が響き渡ると必ず僕を抱く妹が震え、姉は妹の頭を撫でているからだな。
まぁでも、この暴言のおかげで色々知ることも出来た。
毎日毎日色んな暴言から何となくわかったのがこれ。
1、この種族の名前はねこのこ族であるということ
2、忌み子というのは双子の事でねこのこ族には不吉を呼び込むそうだ。
3、この子達はまさかのそのねこのこ族の族長の娘だということ
4、この森の名前は神獣の森。
5、家の中へは入ってくるねこのこ族は居ないようだ。
つまりまぁ、異世界系でよくある典型的なパターン、双子として産まれたせいで族長に捨てられ、けれど族長の娘という理由で襲われず森にはなんとか住めているという感じだな。
「ふぇ?」
瞳をうるうるさせて僕を見ている妹。
何も喋れないが、この子達には世話になっているからな。せめて頭を撫でるぐらいは……と、頑張ってみたがほっぺたしか触れなかったのが悔やまれる所存である。
「えへへ……ありがとう赤ちゃん、ぎゅ~だよ」
(ええ子達やな~可哀想に)
と、冗談思っているが、結構真面目に可哀想だと思う。
☆☆☆☆☆
あとこの1ヶ月でもう1つ気が付いたことがある。
(世に言う転生者特典って奴だな)
自分の正面から斜め右に常にあるボタン、ポチッと押すと出てきたのはウィンドウ。
転生してから3週間目突入ぐらいで見つけたそれは、赤ちゃんとして転生した僕が死ぬことはまず無い程度には色々ぶっ飛んだ代物であった。
(うん、今更だな)
見たけど見なかったことにした。
なんせ今の生活案外気に入ってるので、こんなチート紛いな代物がなくとも楽しく生活できるのだからな。
ステータス
名前/一才育人・年齢/生後1ヶ月
HP/51・MP/∞
腕力/10・体力/6・素早さ/1
知力/92・精神/203・器用さ/42
魔法適正/10属性/8種類/無限級
性別/男・職業/赤ちゃん
スキル一覧
『勇者の紋章』『物理感知』『魔力感知』『浮遊』『異空間収納』『物理攻撃無効化』『魔法攻撃無効化』『言語理解』
(よく考えたら、産まれたてだった俺に視野がある訳はないわけで、つまり物理感知により見てたって事なんだろうな)
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