04『神獣の森ー食事』
お持ち帰りされました。
(美幼女にお持ち帰りされたとか、リア充だな……うん)
なんだか虚しい気持ちになった。
双子?だと思われる獣人?の美幼女2名は、持って帰ってきた僕を多分寝るとこだろう、柔らかい草を撒いたような場所に転ばせている。
(ご飯の準備か?……にしては、キノコばっかだな)
転びながら動けないのですることも無く、ただ双子の行動を見ている僕である。
「ねぇね、キノコ沢山だよ」
「うん……そこに並べてて」
「わかった!」
(かまどなんてあるんだ……)
キノコの家なのに大丈夫なのか?と思いはするが、まぁ異世界だしな~と思うしかない訳で、なにやら妹の方が取っ手の着いた鉄板の上にキノコを並べ、姉は竈に火をくべてるようだな。
(にしても、小さいのに2人で住んでるのか?)
え?つまり女だけの家に男1人ですか?とか一瞬敬語な事を考えるものの、僕は赤ちゃんである事を深々と理解した。
☆☆☆☆☆
30分程がそのまま経過し、完全な放置プレーなのか赤ちゃんプレーなのか放置された僕の鼻に良い香りが漂っている。
(へ~キノコしか無いのに美味そうだな~)
机がないのか、大きな葉っぱを地面に2枚置き、その上には先程焼いたキノコの姿焼きが盛られている。
(ていうか……あれ松茸だろ!?)どうやらこの2人の主食、前世の僕が数回しか食べた事ない高級キノコの様だ。
(やべ~いい匂いがする)
香り松茸味湿地(占地)とはよく言ったもので、前世で松茸よりシメジの方が美味い!とか言ってた自分が虚しくなる程度に、その香りは家中に漂い、僕のお腹を刺激する。
「ごはんごはん!」
「いただきます」
礼儀正しいのは姉、妹はやはり子供っぽいな。
食べ方もがぶがぶ~と両手で鷲掴みにして食べる妹に対し、姉はつまんで被ってはもぐもぐもぐもぐと味を堪能する落ち着いた食べ方だな。
「……なくなっちゃった」
「食べていいよ?」
「ほんと!!ねぇね大好き!!」
「ん」
(いやいや、姉は姉で落ち着きすぎじゃね?)
確かに大きな葉っぱに盛られたキノコはかなり少なかった。ご飯があれば兎も角おなかいっぱいになることは無いだろう。
(……これじゃ、姉の分が足りないんじゃないか?)
姉はゆっくり食べていて、殆ど手をつけていない。
なのに殆ど残ったキノコを妹の葉っぱに盛る。
「半分こね」
「うん!ありがとうねぇね!」
まぁでもなんだろう、この妹を責めるのもおかしい気がする。
(……貧困なんだろうな、姉は姉だからって理由でしっかりしないと行けなかったって訳か)
ちょっぴりお涙が零れそうになる僕である。
そして……
「おなかいっぱい!!」
「ごちそうさまでした」
食事を終えた2人であるが、一つだけ言いたい。
(あれ?俺の分は????)
どうやらお持ち帰りされたものの、食事を与えてくれる様子は無いようだ。
☆☆☆☆☆
という訳でもなかったようだ。
「ねぇね~赤ちゃんは何食べさせるのー?」
(……ようやく来た俺の時代!!ならぬ俺の飯!!)
とまぁ浮かれたのも束の間、姉から放たれる衝撃的な言葉がこちら。
「おっぱいだよ」
「ふぇー?おっぱいってなぁに?」
何やら怪しい雰囲気になってきた。
(……いやいや、出ないからな?出ないよ?分かってる?あれは親だから出るもんだからね?……まっまぁ、そりゃ出されたもんは仕方ないし飲むけどさ~~なんて、知ってるんだ……早く牛の乳で良いから出してくれ)
想像は自由だと思う。
まぁ実際かなりお腹は空いている。
「ぐぅ~~~」のお腹に~と言いたくなる程度には、お腹がなってしまう程に減っている。
「ねぇね、赤ちゃんお腹空いたって言ってるよー」
(そうなのお腹すいたの、ご飯ください)
「服を上げて、胸を赤ちゃんに向けたら飲むよ」
「そーなの?赤ちゃんって変なの~ぬぎぬぎ」
(……………………………………………………………)
ごめんなさい、冗談だったんです助けて下さい。
流石にここまで無垢な少女の……僕はどうやら悪に染りきるなんてことは出来ない程度に器の小さい男だったようだ。
「ねぇね~飲まないよ?」
「冗談だからね」
(冗談なら妹さんがまな板を放り出す前に言ってあげようね?)
さすがにフィギュアで散々と見た事があるそれを実物で初めて見ると混乱してしまうのでやめて欲しい。
(……俺の我慢もあと1分持ったかどうかだわ……)
この後結局、キノコを茹でて潰したものを与えてもらった。
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