03『神獣の森ー転生』
「つんつん~つんつん~」
子供の声がする。何故か頬を指でつつかれているようだ。
(そういや異世界転生したんだっけか?)
長い夢をみた感覚と、その夢が現実であった確信が心の中にある。
ゆっくりと現状を知る為に瞼を開いた。
「くーろいめん目、人間だ、可愛い、うん」
(うん、美幼女って奴だな)
真っ先に目に入ったのはこっちを不思議そうに見ているくりっとした茶色い瞳、長い茶色い髪は茶トラ猫の様、と言うよりも猫耳からして茶トラ猫の美幼女だと確信した。
他にも猫髭がついてて、猫のような鼻をしてるし間違いないだろう。
(5歳くらいか?にしてもボロい服だな)
古びた灰色のローブを着ているようだ
(んーでもやっぱ、実物は萎えるな)
はっきり言って獣人族は死ぬ程好みだ、美幼女もドンと来い!な僕、けどやはり駄目だ。
どこまでも架空にこだわる僕には少し残念だなと思ってしまう所存である。
「ウォン!!」
「へ?」(今のってあれだよな?絶対あれだよな?)
先程から目の前にいる美幼女、の後ろにはおおきな木が空を覆い尽くすように生えている。
その時点で何となくわかるのは、ここが森ということで、この猫耳の少女を見るからに猫の獣人がいる森なのか?と考えていたのだが、もっと危険な生き物も居るようだ。
「ぴゃ~!犬っコロきたーー」
とっとことこコテっとことことことことことこーー!!と、猫耳の少女は走って消えていった。
「…………ぐるるるるる」
取り残された僕、を何故かくんかくんかしているのはきっとあれだろう。
(あ、僕死んだわ)狼だと確信した。
(ていうか臭いな)獣臭半端ない、これに食い殺されるのか~と仕方なく覚悟を決めるのには理由がある。
先程から逃げようとしても動かない手と足、グーとパーをすると動くのだがとても小さそうだ。
まぁなんとなくそれを聞いた時には思っていたんだ。
(異世界転生……つまり転生、赤ちゃんからやりなおし)
という訳で、僕は赤ちゃんに転生したようで、その赤ちゃんとして転生した僕は何故か森にいて、現在狼の涎がぼたぼたと顔面に投下され、もう食い殺されるカウントダウンが始まったところだな。
(どーせなら、首を噛みちぎって一息で殺してくれないかな)
安楽死望む、痛いのはごめんなさいな僕です。
すると耳鳴りなのか?と思うような声が、遠くの方から聞こえて来るのがわかった。
「………トコトコトコトコ………トコトコとことことことこぉー!!ねこのこのこのこねっこのこー!!ねこのジャーンプ!!」
よく分からないことに走る効果音を撒き散らしながらそれは舞い戻ってきた。
地面を思いっきり蹴ったあと、有り得ないほどの速度で僕の上を狼に頭突きし通り過ぎて行った。
(何だったんだ……)
とりあえずよく分からないままであるが、僕は命拾いしたようだ。(死んだら神様にG転生させられたりするのかな…怖)
動けない僕、しばらくして先程の頭突きの主が帰ってきた。
「くーろいめんめ大丈夫?お怪我ない?」
やはりというか、先程の美幼女のようだな。
(俺の名前はくろいめんめじゃないけどな?)
「ねぇ……狼出るから帰ろ……」
新しい美幼女が増えた、なんか大人しい感じの獣人だな。
(んー両方とも全くおなじの茶トラ猫か)
「ねぇね、人間落ちてた、可哀想だから持って帰ろ?」
「人間…?どーれ?」
(なんか2人に見られてる?お持ち帰りされる感じかなこれ?)
僕の視界には2人並ぶ美幼女の図。
(これがフィギュアなら最高なのにな~)
「よいしょっ……」
(あら?案外力持ちなのねお姉ちゃん)
「ねぇねありがとう、帰ろ~」
「ぎゅーよしよし、怖くない怖くない」
(まさかの大胆系だったとは、ギャップ萌え要素付きでお買い得!)
とかなんとか馬鹿なこと考えてたら直ぐに到着キノコのお家。
(なんでキノコ?……異世界だからか?……いやでもキノコって、時期が過ぎると腐らねぇの?)
潰す方とはいえ元々家に携わる仕事をしていた僕には色々ツッコミ要素満開。だがまぁ結果考えても分からないことが分かり……異世界だからか。で納得することにした。
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