第10話 チキンではない。慎重だ。 21/12/01

 パーフィーと初めての朝チュンだった。

 野営の時は終われば荷台に戻ってそれぞれ別になっていた。


 だが今は同じ寝台の上で体を重ねて体温を感じながら同じ布団の中でありのままの姿で朝を迎えている。


 昨日は大変だった。一日ぶりで昂っていたのはむしろパーフィーの方ではじめはめっちゃ楽しそうにしていた。

 俺もパーフィーなら遠慮することがないと振り切って、いつしかやめてと懇願するようになるまで頑張っていた。

 なんていうのか。コノハに比べて肉付きが細いんだが、それがなんか嗜虐心を唆るというか簡単に組み伏せられる軽さなので暴走してしまったというか。


 疲れて寝てしまったみたいなのでピロートークがなかったが大変満足のいく結果である。もう誰にも俺のことを童貞とは言わせねえ!(イキりクソ主人公)


 それもこれもパーフィーが地雷ではないみたいなので気兼ねなく出来たのが良かったのだろう。


 しばらくして起きたパーフィーが昨日初めてしたキスを思い出すかのように口付けしてきたので、それに応えて、ぎゅっと密着させるように抱きしめた。


 ああ、幸せだ。

 もうプロポーズしてもいいんだろうか?

 だから順序おかしいしやることやってからから何言ってんだって話だろうけど、もうパーフィーさえいればそれでいい気がしてきた(思考停止)。意図せず寝取ってしまった貴族な幼馴染とは顔合わせできる心境ではないので、いっそのことこの国に永住してこの家で幸せ家族計画とかどうだろうか?


 もちろん秘薬でコノハの処女を復活させ帰してからになるがそれでいいのかもしれない。

 ああ……でもパーフィーの都合があるか。勝手にパーティ抜けられてもリーダーをやっている厨二幼馴染としては困るだろうし。


 てかそもそも断られるかもしれないか。


 うんうんと唸ってた俺を見てパーフィーが可笑しそうに笑った。……プロポーズはもう少し後でいいか。


 パーフィーは朝食を食べたらパーティメンバーと合流しなくてはいけないので手早く脱ぎ散らかしていた寝巻きを着てもらい、部屋から出す。着替えはコノハの部屋に置いているらしいからだ。


 俺も今日の探索用の服に着替えてから部屋を出ると、すでにダイニングにはコノハがいた。あー、タイミング的にパーフィーが俺の部屋から出たのはバレてるか。


 おはようと声をかけて、その後も取り止めもない話題を出して会話をつないでくれたが、無言が常だったのでそれが逆に不自然で見てないふりをしようとしてくれている健気さにコノハの魅力を垣間見た。


 少しして着替えてきたパーフィーを加えて朝食を摂り、パーティメンバーの元へ帰っていくところを見送った後、俺も迷宮に入るための準備をしてコノハに見送られ迷宮へ向かった。


 まず、秘薬の情報を正確にするため昨日の受付を頼ったのだが、最高到達階層まで1人で行ったことを信じてもらえなかった。だが情報はちゃんとくれたので文句はない。


 秘薬はどうやら定期的な周期で発生するとされている魔物の血だったようだ。


 魔物の正体はホワイトスライム。現在確認されているのは最高到達階層のみで、どうやら他の魔物にとっても希少で、発見事例の過半数は魔物に食べられているらしい。


 人からも魔物からも狙われる哀れな魔物だが、ホワイトスライムの血というか中が赤い体液になっているらしく、その場で採取せず捕獲して連れ帰り注射器で刺して抜き取って地上で飼うことが主流なようだ。


 ただ、ホワイトスライムは国の扱いとなっているため出入り口の時点で連れ帰ろうとするのはだめらしい。ただし引き渡せば巨万の富が得られるので,わざわざ法律を冒してまで連れ帰る必要はないのだとか。


 俺としてもコノハ用に少し拝借できればそれで充分なので引き取られることはなんの問題もない。



 というわけで俺はスライム捕獲用の少し大きめの虫網と籠を探しに街へ買い物に行くことにした。

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