第9話 地雷確認 21/12/01

 俺が道先案内をしながら、どんな魔物の奇襲や遭遇も一手前で殲滅して要らないのでドロップアイテムを譲って拾わせながら地上へ帰還。

 散々要らないと言ったのに換金した半分は絶対に受け取ってもらうと言ってお金を押し付け、そして今日はありがとうと礼を言われて解散することになった。


 なんか幼馴染以外の男三人が今日改めて尊敬しましたとか言ってくるが俺はチートクソ主人公なので強いのは当然だ。仕方なく嬉しくもない男からの握手に三人とも応じてやったあと、俺は一人帰路を目指した。はずだったんだよなぁ。


 で、なんでお前がいるんだ(二回目)


「迷宮の中で言ってたでしょ、英雄様家買ったんだよね? ちょっと見学させてよ」


 パーフィーが俺の腕に抱きつきながらおねだりしてくるからもうそんなの断れねぇよ……。

 それからはなんか色々とアクセサリーや食べ物を集られながら家に着いた。女冒険者ってなんでそんなに俺から集ろうとするんだ……まあ、不快じゃないからいいんだけど俺ってカモなのかなぁ。


 家に帰ると、とてとてっと足音が聞こえて、二階の玄関を開けるとコノハが出迎えてくれた。ちょっとした新婚気分が味わえて感無量です。


 ただ、俺の腕にパーフィーが抱きついてるのって修羅場に見えなくもない。


「久しぶりコノハちゃん! 会いにきたよー」

「久しぶりです。と言ってもまだ二日も経ってないですけど……」


 パーフィーが俺の腕から離れて今度はコノハの方へ。

 正面からぎゅーって抱きついて、コノハも戸惑いながらそっと抱き返すのなんかいい。

 そして、この二人とやっちゃったんだよなぁと邪な考えが浮かぶのほんとクソだわ俺って。


 パーフィーは迷宮近くの宿に泊まっているらしい。個室だけど周りの部屋が冒険者ばかりで、外も酔っ払いが大勢でうるさいと愚痴られる。

 何か期待した目だったが、俺に何をしろと? まさか治安活動しろと暗に言ってるのだろうか?


 流石に下手に動いて悪目立ちするのは避けたいのでそれは無理だ。なんかパーフィーも晩御飯に混ざる流れになったのでソファーでくつろいでもらって俺はコノハにポトフもどきの作り方を教授する。


 まずこの最高級具材を切ります。次に水を沸騰させどぼん。この魔法の粉を入れて具材の芯まで火を通します。


 教えるのが包丁の持ち方くらいだったのでパーフィーに笑われた。じゃあおまえもやってみろい!ってなって最高級素材使い放題にさせたら炭火焼き鳥が出てきた。

 笑える立場じゃねえだろお前!


 今日の晩ご飯はそんな感じで、帰りに買った食べ物含めて昨日のポトフ単品よりだいぶ豪華な食卓になった。

 あと、パーフィーが一人いるだけでだいぶ賑やかになる。

 この家は俺の買った色々なアイテムで完全防音してある。つまり外の音や内からの音を完全シャットダウンしているので近所迷惑の心配が皆無。

 コノハもパーフィーが自然に笑える話し相手になっているようなので狭いし足は曲げないといけないけど二人入れる浴槽なので一緒に風呂を使わせることにした。仲良きことはいいことかな。


 俺はその間に食器などをチートでパパっと洗い、部屋も掃除する。で、風呂交代で俺の番になり、上がった時には何故かパーフィーがコノハの寝巻きを着ていてなんか泊まることになっていた。


「今日からここに泊まりたいんだけどだめですか?」


 毎回思うのだが、あざとくなる時、わざとだと分かる丁寧語で上目遣いとか狙いすぎだろ。

 可愛いからもちろんOKした。明日からはちゃんと幼馴染の許可を取ることを約束させて、俺はおやすみと言って自室に篭った。

 野営の時も思ったけど、女の子複数人いる時って疎外感あるからこうして逃げ込める場所があるのって最高だよな……あれ、俺Dの称号返上したのに何も変わってなくないか?



 しばらくして、二人のキャッキャした可愛い声が聞こえなくなり、多分コノハの部屋で二人仲良く寝たのだろう。


 俺もそろそろ寝ようと思って、ようやく眠れそうってところで部屋の扉が開けられた。


「……どうかしたか?」

「ちょっと二人っきりで話したくて」


 もしかして誘ってるのか?

 ……いや、なんでも色ごとに結びつけるのは良くない。

 相手をするため体を起こして、ベッドの袖に座ると、扉の前にいた女の子、パーフィーが嬉しそうに俺の隣に飛びついてきた。そのまま腰掛けて腕を抱き締めてくる。君、腕に抱きつくの好きだね。いや、役得だから文句はないんだけど。


「ねぇ、昨日はコノハちゃんとしたの?」


 揶揄うような声音で尋ねてくるパーフィーだが、もししたと言えば嫉妬してくれるのだろうか。だといいなぁと思いながら、してないと否定。


「じゃあさ、溜まってるよね?」


 直球で聞かれてようやく確信した。

 あっ、これ誘ってるやつだと。


「パーフィーはその、あいつとはどういう関係なんだ?」

「あいつってリーダーのこと? リーダーとはアタシたち二人ともソロだった時組んだのがきっかけで、悪くなかったから今も組んでるって感じかな……趣味も似てるし頼れるお兄ちゃんみたいな?」


 なるほど、厨二同士波長が合ったか。

 だがあいつはお前のことどう思ってるのだろうか。

 二回もこの子と楽しんだ後で今更だが、もしかしたらまた地雷を踏むんじゃと心配になってきた。


「リーダーも多分アタシのこと妹みたいに思ってるんじゃないかな。あんまり異性に対しての目線も向けてこないし、多分好みじゃないんじゃないかな?」


 ……なら気後れする必要はないのか?


「ねっ、なんで性奴隷のコノハちゃんに手を出さないのか知らないけどさ。コノハちゃんにできないこといっぱいアタシとしよ?」


 今度こそ幸せ家族計画しちゃってもいいのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る