『似てる』であって『同じ』じゃない (最終話)

 自分と兄はよく似ています。似すぎていて見分けがつかないって、今まで何度言われたことか。とても数えきれません。


 そういえば、「分身の術だ」とも死ぬほど言われましたね。

 ただこれを言われても上手い返しがあるわけでもないので苦笑いを浮かべることしかできず、なんだか自分がスベったみたいになるのですよ。

 もう金輪際、双子に分身の術って言うの禁止ー!


 けど分身の術はまだマシかもしれません。

 もしかしたらこれは自分と兄だけかもしれませんけど、言われたくない言葉があるのですよ。

 それは「同じ顔」です。


 同じ顔をしていると、数えきれないほど言われてきました。ただこれには、大いに不満があるのですよ。


 自分達は似ているのであって、同じではないのです。例え見分けがつかないほどそっくりでも、同じということはありえません。自分は自分、兄は兄で、別々の人間なのです。

 それなのに「同じ」って言われるのは、面白くないのですよね。これが「似てる」だったら、そうでもないのですけど。


 よくよく探したら、違いなんて案外あるものです。

 その違いを分かってくれと言いたいわけではありません。同じじゃないってことを、忘れないでほしいのです。


「同じ」と言うのは言葉のあやだ。気にしなくても良いじゃないかと思う人もいるかもしれませんけど、言葉の持つ力って大きいですからねえ。

 そういえば前に「同じ」じゃなくて「似てる」んだと指摘したら、どっちでも良いだろって言われたことがありますけど、どっちでも良いなら「似てる」とは言ってほしいですね。


 さて、このエッセイも今回をもって最後となります。

 数々の双子エピソード、いかがでしたか?


 似てはいても同じじゃない。お揃いの服装は好まない。

 このエッセイで書いてきた事はあくまで自分の意見であって、全ての双子がそうというわけではありません。

 けどこういう声もあるということを、覚えておいてもらえたら嬉しいです。


 最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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