最終話:これからも、ずっと……

「アイト! サポートありがとな! おかげで、無事にクリアできたぜ!」


「あのダンジョンは、一生攻略できないと思っていたぞ!」


「また頼むな!」


(これは思ったより、やりがいのある仕事だ)


僕たちがパーティーをサポートするようになって、冒険者たちのケガや死亡はほとんどなくなった。この仕組みを真似するギルドも出てきたらしい。とはいっても、冒険者が成長できるように、適度にサポートしていた。


「これで冒険者が、安全な仕事になっていけばいいね」


〔マスターの功績は、とても大きな物です〕


〔他人のことまで考えられる人は、なかなかいないわ〕


〔主以外では、こんなことはできないだろう〕


ギドルシュさんとサイシャさんが、人混みをかけわけ歩いてきた。おーい、と手を振っている。


「アイト、今日も絶好調みたいだな! やっぱり、お前に頼んで良かった!」


「皆さん、とても喜んでいますよ!」


このギルドはさらに活気が増し、色んな冒険者たちが出入りしていた。昔はいなかったような人たちも、たくさんいる。あんなに広かったのに、狭く感じるほどだ。


「ここも人が結構増えましたね」


〔最初に来た時より、冒険者がたくさんです〕


〔クエストも増えて、大盛況ね〕


〔少々、手狭になってきていないか?〕


「ああ、ギルドを拡張することも考えないとな」


「これも全部、アイトさんのおかげですよ」


ギルドが大きくなれば、扱うクエストの数も増える。報酬も多くなるので、街全体が潤っていく。街が豊かになれば、訪れる冒険者も多くなる。良いサイクルが、生まれつつあった。


「アイト、俺はいずれ、お前にギルドマスターを引き継いでもらいたいと思っている」


「私も受付嬢として色んな冒険者を見てましたが、アイトさんほど適任の人はいないと思います」


「と……とても嬉しいです。そんなことを言ってくださるなんて」


ギルドマスターは、誰でもなれるもんじゃない。冒険者としての実力だけでなく、周りの人たちからの信頼が必要だからだ。


〔マスターは、みんなのマスターになるんですね〕


〔アイトは誰にも渡さないけど〕


〔おい、主はわらわの物だぞ〕


やがて、また新しい冒険者たちがきた。今日もまた、サポートをする予定だ。


「アイトさん! 今日は私たちの番ですよね! よろしくお願いします!」


「憧れのアイト様と冒険できるなんて、幸せです!」


「わざわざ、この街に来たかいがありました!」


つい最近冒険者になった、女の子パーティーだ。僕より何歳か、年下の子たちだ。


「今日はスライムの討伐だったよね?」


「はい! 初めてのモンスターなので、緊張します!」


「どうやって倒せばいいんですか!?」


「スライムも強いんですか!?」


そういえば、僕もスライムにやられそうになっていた。今となっては、遠い昔のようだ。僕は今までの冒険を思い出す。


(あの時から、全てが始まったんだな……)


思えば、本当にたくさんの出来事があった。小石のテイムから始まって、Sランクダンジョンに、“伝説の聖剣”……。みんな、僕の仲間になってくれた。ギルドの危機を、救ったこともあった。仲介人の大きなグループを倒して、冒険者たちを助けたり……。どれも貴重な経験ばかりだ。そして僕は今、ギルドを引っ張っていく存在になっている。


(僕がここまで成長できたのも、コシー、エイメス、ミルギッカたちのおかげだ……)


僕は自慢の仲間たちを見回す。彼女たちだけじゃない。サイシャさんや、ギドルシュさん、ギルドの冒険者や街の住民も、みんな僕の大切な人たちだ。


(ありがとう、みんな)


バチバチバチ!!


そこで、聞き覚えのある音がした。エイメスを見ると、目から光が消えている。


〔アイトは私の……〕


「エ、エイメス!? ストーップ!」


〔貴様ら、良い度胸だな……〕


ミルギッカは、もの凄く怖い顔をしている。


「ミルギッカも落ち着いて!」


〔またライバルが増えましたか……〕


コシーは硬い顔をしていた。


「コシーまで!」


僕は彼女らを必死になだめながら、クエストに向かう。


(懐かしいな、この感じ)


僕たちはこの先も、こうやって冒険をしていくのだろう。これからも、ずっと……。

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無生物なら何でもテイム【+擬人化】~無能テイマーと言われパーティー追放された僕のテイム対象は、まさかの『無生物』!Sランクダンジョンも伝説の聖剣も、物なら何でもテイム【+擬人化】する!~ 青空あかな @suosuo

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