第2話 冴えない私
帰国後、けんちゃんと連絡が取れるわけもなく、それっきりだった。
会うことはないけど、時々ふとした時に思い出す。
この初恋のこけんちゃんのことで覚えているのは2つ年上で、名前は川崎健太。
この2つだけだ。
いつの日か突然けんちゃんが現れて久しぶりって言ってくれるんじゃないかと過ごしているうちに、彼氏無しの26歳になってしまっていた。
既に顔も思い出すことも難しくなってきてしまっているし、会えることができるなんてあるはずもないのに、いつまでも引きずっている自分にうんざりしていた。
そんな冴えない人生を送っている私は今、けんちゃんとした社長と秘書ごっこが影響してるか分からないが、秘書の派遣会社に勤めている。
秘書として色々な会社に派遣されて、気に入られればそのままその会社に就職できる場合もあったが、私は契約期間が終わると契約終了でそのまま今の会社に戻ってきている。
その理由の一つはこの冴えない容姿のせいだとは分かっているが、センスがなくて化粧も上手くできない。
周りの同僚はこれでもかというぐらい煌びやかな容姿をしており、ハイスペックな彼氏がいた。
何故私はこんなに冴えないかというと、帰国してすぐ両親は離婚して母親と一緒に暮らしていた。
私が大学に入る頃には別の男性と再婚して今や音沙汰なし。
化粧やファッションで盛り上がれる友達、姉妹、親もいない。
そもそもこんな根暗な性格のせいであることは十分わかっていたが、ヨガや喫茶店巡りなど自分の好きなことを誰にも邪魔されずにできるので、一人でも平気だった。
今この状態でけんちゃんに会ったとしても、けんちゃんにがっかりされるだけだろうな。
今けんちゃんは何をしているのかな。
今けんちゃんと再会したら、昔みたいに笑い合えるのかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます