第2話 「ホイミー」の本質


「ホイミー」を使えると明確に認識したのは大学生のときだ。

 サッカーの練習試合でへとへとに疲れたと、部屋で会ってもぐったりしているから、冗談で「ホイミー」しちゃうぞと彼に凄んだのだ。

 ゲーム好きな彼にサービスして、呪文を唱える身ぶりしぐさで「ホイミー」と連呼して全身をくすぐると、片方だけ二重まぶたになっていた彼は弱々しく笑って、治った治ったありがとう、でも「ホイミー」じゃなくて「ホイミ」だからねと、そうそっけなくこたえて、練習試合の話をはじめたのだ。

 私はうわのそらで、サッカーばかりでつまらないなぁと思っていたら、彼が突然のしかかってきた。ぎらぎら光る目が獣っぽかったのを思い出せる。

 見つめ合って舌を這わせてキスするあいだ、私のおなかにあたる彼がみるみるうちに固くなって強く脈打つのがわかった。いつもより乳首にいじわるするし、乳房をもみしだくちからが強い。

 気持ち良さであたまが真っ白になりながら「ホイミー」だと私は思った。試合のある日、彼はセックスをきらった。彼をにぎってもくちで愛撫してもふにゃふにゃなのだ。

「ホイミー」は疲労を回復させる。その回復が上限を超えると、行き場をうしなったエネルギーが暴走して過剰な興奮状態をつくりだしてしまうのではないか。私はそう仮説した。

 姿見に映る私は恥ずかしげもなく四つ這いの姿勢でお尻を突きだし、涎までたらして彼の熱いカタマリに際限なく突かれていた。延々と終りのこない快楽の荒波にのみこまれながら、私は「ホイミー」の本質を知ったのだ。

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