第15話

さて……今の俺の状況は、ゲーム「ラブチュチュ」に出てくる攻略対象キャラの一人

水無月あかねちゃんと遊びに行く事に決まったんだけど、とりあえず……一体何所に遊びに連れてってくれるのだろうか?って思っていた。

そう言えば……女の子と二人っきりで遊びに行くとか、今まで無かった気がするなあ……と言うか、今の俺、初崎孝之の妹、初崎由希乃になってるんだよな。

元の俺は男だったと言うのに、今の俺は女……これが男のままだったら、かなり嬉しいんだが……はっきり言って、あかねちゃんは結構好みだしな……まあ、一緒に遊びに行くって決まってるから、この状況を楽しむ事にしようと思う事にした。


「確か……あかねちゃん、行きたい場所があるって言ってたよね?」


「うん、新しくオープンしたお店があってね? ちょっとそこに行ってみようかなって思ってさ? それにしても……由希乃ちゃん」


「何?」


「孝之先輩と一緒に行くと思ってたんだけど、どうやら違うみたいだね? 孝之先輩は家にいるの?」


「いや、お兄ちゃんも遊びに出かけるって言ってたからね、今日は家には誰もいないと思うよ?」


「そうなんだ、遊びにね……」


あかねちゃんが何か考え込んでいる。もしかして……孝之と一緒にいたかったのだろうか?

そう言えば……今のあかねちゃんの孝之に対しての好感度って一体どうなっているんだろうか? ちょっとこっそり調べてみる事にするか。

そう決めたので、俺はあかねちゃんに見えないように、スマホを取り出して、ラブチュチュマニアサイトを開き、水無月あかね、ステータスと、検索する。現れたのは

水無月あかね

B70 W59 H60

恋愛度20と、表示されていた。

あれ……確か……前に見た時は、恋愛度が10だった気がするのだが、なんか少しあがっているな……何か好感度が上がる要素とかあったんだろうか?一応……自分のステータスも確認しとこうと思い、今度は自分のステータスを検索かけてみる。そうして現れたステータスはと言うと

初崎由希乃

B72 H67 W60

恋愛度60と表示された。

……確か、前に見た時は恋愛度55%だったような気がするんだけど……60って、また少し上がっているじゃないか……何所かに上がる要素とかあったのか?そんな事を思ったけど、どのような方法で上がったのか? 全く解らなかったので、深く考えないようにする事にした。

とりあえず……今日のイベントは、「水無月あかねと遊びに行く」と言うイベントなので、そのイベントを楽しむ事にしよう……と、思う事にした。


「じゃあ、早速行こうか? 由希乃ちゃん」


「うん」


あかねちゃんがそう言ったので、移動する事になった。孝之の家から移動して、数十分後。駅前に辿り着く。駅前に辿り着いてから、俺はあかねちゃんに話しかける事にした。


「あかねちゃん、一体何所に行こうとしてるの?」


俺がそう聞くと、あかねちゃんは


「今日はね……あの建物に新しく出来たお店に行こうと思ってるよ?」


そう言って、大きな建物を指差す。その建物は、結構大きな建物で、中に色々な店舗が入っているみたいだった。この建物って、色々なお店がありそうだな……って思う。

そう言えば……俺って、ゲーム「ラブチュチュ」の水無月あかねちゃんの攻略は、フルコンポしたんだけど……こんなイベントって、無かった気がする。まあ、隠しキャラ扱いの由希乃が出てるから、今の状態って、孝之が主人公だとすると、初崎由希乃ルートに入っているのだろうか?

他の攻略対象キャラの好感度も、今、ダントツで俺が一番好感度高い状態だしな……

このままストーリーが続くと、孝之に攻略(孝之とキスしたりそれ以上の行為など)あるかも知れない。

まあ……俺がやっていたのは、全年齢版だから、18禁版なら……俺が孝之と性行為などされる事に……?いや、この考えは特に不味い気がする。深く考えるのは止めとくか。

そう考えていると、あかねちゃんが


「じゃあ、早速中に入ろっか?」


そう言って来たので、俺は頷いて、建物の中に入る事にした。建物の中は広々としていて、色々なお店が出店しているみたいだった。

あかねちゃんは、この中のお店の何所に行きたいんだろうか?って思いながら、あかねちゃんの後をついて行くと、ある場所に辿り着く。

その場所は、ゲームセンターみたいだった。


「ここがあかねちゃんが来たかった場所なのかな?」


「まあね、ここ、リニューアルオープンしたみたいだからさ? ちょっと入ってみたかったんだよ? じゃあ……早速何から遊ぼうか?」


「う~ん……」


何から遊ぶか……とりあえず置いてあるゲームを見てみると、やった事のないゲームがほとんどだった。けど、中身的には面白そうな感じがしたので、とりあえず……対戦格闘ゲームがあったので


「あかねちゃん、これ……やってみたいかな」


俺がそう言うと


「この格闘ゲームね? 由希乃ちゃん? やった事あるの?」


「いや……無いけど、なんか面白そうだったからさ?」


「そっか、じゃあ最初は操作方法を覚えてからやってみるといいよ?」


「あかねちゃんはこのゲームやった事あるの?」


「まあね、このゲームの前作だったかな? ちょっとやった事あるぐらいだよ」


「そっか……」


ちょっとやった事あるぐらいね……それはこのゲームが凄い得意とか言うのだろうか?まあ……あかねちゃんのゲームの腕前はともかく……とにかくやってみるか。

機械にお金を入れて、早速プレイしてみる。ゲーム画面のグラフィックが綺麗でキャラの動きも滑らかに見えたので、後は操作方法を覚えるだけだった。とりあえずボタンと十字キーを動かせば、ある程度は戦えると言うのは解ったので、早速やってみる。

敵の強さが甘めの設定なのか、結構簡単に敵を倒す事が出来た。

登場ステージによって敵の難易度が違うみたいなので、後半になって来て、敵を倒すのに苦戦するようになって、結局……敵にやられてしまい、ゲームオーバーになってしまった。


「由希乃ちゃんはその程度の腕前みたいだね?」


「そうなのかな……あかねちゃんは、どうなの?」


「私? まあ見てて? ちょっと替わってね?」


あかねちゃんがそう言って、俺と交代して、ゲームをやり出す。俺が結構苦戦した敵なのに、あかねちゃんは華麗なボタン捌きでノーダメージでオールクリアーしてしまった。

ノーダメージって……あかねちゃん、かなり上手いほうなんじゃないだろうか……? あかねちゃんの意外な特技を知った気がする……


「ま、こんなもんかな? ちょ~っと敵の設定が甘めかな」


「そ、そう……」


「とりあえず……クリアしたし、他のゲームしよっか?」


「う、うん」


あかねちゃんにそう言われたので、他のゲームを遊ぶ事にした。店内を移動していると


「あれ? 由希乃ちゃんにあかねちゃんじゃない」


そう言って来たのは、ゲーム「ラブチュチュ」の攻略対象キャラの一人、西村舞だった。

え……何でいるの……?

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