第14話

次の日になって、俺は目が覚める。

目が覚めて、改めて自分の姿を確認してみると、やはりと言うか……元の姿に戻ってはいなく、ゲーム「ラブチュチュ」に出て来るキャラクターの一人、初崎由希乃の姿だった。

今日のイベントは確か……今日は、学校が休みなので、遊びに行くと言う予定だと言う事。

部屋の外に出て、洗面所に向かい、顔を洗う。

顔を洗った後、鏡で自分の姿を見てみると、映り込んでいるのは、由希乃の姿だった。

やっぱり……見た目って大事だと思う。

これがもしブサイクだったら、ゲームキャラとして成立しないよな……と思うし、ゲーム「ラブチュチュ」恋愛シュミレーションゲームだったから、見た目の容姿って結構大事なのだと思う。ブサイクな女だったら、攻略したくないしな……

けど、この由希乃ってキャラは、隠しキャラ扱いだったから、どんな恋愛イベントがあるのか? 全く解らないから凄く困る。

俺は男だったから、攻略する側だったのに、今じゃ攻略される側だしな……

何としてもバットエンドを迎えないとって思うけど、その方法が解らないから、とりあえず……ゲームの正ヒロイン枠の幼馴染キャラ、西村舞と主人公の初崎孝之を何としてもくっつけないとな……

そんな事を思いながら、顔を洗ったので、リビングに行く。

リビングに行くと、誰もいなかったので、とりあえず……朝食を取ろうと思ったので、冷蔵庫を開けて、その中にある品を見て、朝食を作る事にした。調理方法は解っていたので、あっと言う間に朝食が出来上がる。

美味しそうに出来たので、朝食を頂いていると


「おはよう、由希乃」


そう言われて、ちょっとドキっとしてしまった。何で声をかけられただけで、ドキドキしてしまうんだ……やはり、好感度が関係しているからか? 俺の孝之に対しての好感度が、50以上だしな……

もし、これが100なら……俺は、一体どうなってしまうんだろう……

とりあえず、平常心、平常心だ……


「お、おはよう、お兄ちゃん」


「ああ、おはよう、今日は学校が休みだって解ってるよな?」


「う、うん、昨日言ってたから」


「今日は、舞と沖島と三人で出かける事になっているけど、由希乃は、家にいるのか?」


孝之がそう言って来たので、俺は


「ううん、あかねちゃんと遊びに行く事になってるよ」


「あかねちゃんと? そうか……」


何か孝之がジ~と俺の姿を見ている。

な、何か言いたい事あるのか? と言うか見つめられると照れて来るのは気のせいか……?


「本当にあかねちゃんとなんだよな?」


「えっと……何でそんな風に聞いて来るの……?」


「いや、もしかして俺に嘘をついて、他の男とデートするんじゃないかと思ってな?」


「そ、そんな訳ないでしょ!」


何で俺が他の男とデートしなければいけないんだろうか?あれ?この場合、他の男とデートするんだって言えば、状況が変わるのか?

いや、けどその相手がいないしな……孝之がそんな事を言って来ると言う事は、これは俺を他の男に取られたくないって思っているって事だよな? 何だろう……ちょっと嬉しいかも……って、何でこんな考えを!?

何か考えが恋する女の子みたいな感じになっていくのを感じてしまったので、その考えをシャットアウトする事にした。朝食を食べ終わった後、ピンポーンとチャイムが鳴ったので、誰か来たみたいなので、玄関に向かう。

玄関の扉を開けると、そこにいたのは、ラブチュチュの攻略対象キャラの一人、水無月あかねちゃんだった。


「由希乃、おはよう」


「おはよう」


「今日休みだしさ? 早速遊びに行こうかって……由希乃……」


「何?」


「その格好で外行くの? パジャマのままじゃない」


あかねちゃんに言われて、自分の姿を見てみると、確かにパジャマのままだった。

うん、この姿では外には行けないよな……と、思ったので


「じゃあ、着替えて来るよ、ちょっと待ってて? あかね」


「りょーかい」


あかねちゃんにそう言った後、俺は部屋に戻って、着ているパジャマを脱ぐ。パジャマを脱いで、どの服を着てくか悩んで……とりあえず、動きやすい格好にする事にした。

着替え終わって、外に出ようとすると


「由希乃?」


「何? お兄ちゃん」


「確かに声が聞こえたから、あかねちゃんだな、で……帰るのは何時ぐらいになるんだ?」


そう聞いて来たので、俺は


「解んないかな、いつ帰るか決まってないから」


「そうか……あんまり遅くなるなよ?」


そう言って頭をポンポンと撫でて来る。

その行為にドキっとしてしまったけど、気のせいだと思う事にして


「じゃ、じゃあ……行って来るね」


「ああ」


ここは退散した方が良いと思ったので、その場から離れる事にした。

玄関口に向かうと


「由希乃ちゃん? 何か顔が赤いけど……何かあったの?」


「え?な、何でもないよ? じゃ、じゃあ行こうか? あかね」


「そう? じゃあ行こうか?」


あかねちゃんが不思議そうな顔をしていたけど、気にした風では無かったので

俺は、あかねちゃんと遊びに出かける事にしたのだった。

これって男女だったら、デートなんだよなあ……と、ちょっぴり思ってしまったのだった。

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