第13話

お昼を食べ終わったので、自分のクラスに戻る事にした。とりあえず……今後の方針を決めようと思うのだが……今現在、俺の置かれている状況は、今の俺「初崎由希乃」になってしまっているので、ここがギャルゲーの世界「ラブチュチュ」の世界だとすると、俺が元の体を取り戻すには、ゲームをクリアすれば元通りになるのか……? とか考えたら、よく考えたら実際にゲームをクリアして、元の体に戻れるとか全くと言っていいほど保証がなかった。けど、今の俺……女の子だしな……しかもなんか、このゲーム「ラブチュチュ」の主人公、初崎孝之にちょっと良いな……って思ってしまっているのも事実だった。


これはやばい。ゲーム設定だからなのか、ちょっと気を抜くと孝之の事を考えてるし、意識をしっかりしないと、普通の恋する女の子になってしまうのかもしれない……って感じなので、とりあえず……目標は「孝之と他の攻略キャラクターをくっつける」と言う方向で動く事に決めて、とりあえず……今は学校内にいるので、自分のクラス、初崎由希乃が所属しているクラスへと戻る事にした。

校舎の中を歩いて、自分のクラスに辿り着く。

クラスの中に入り、自分の席に着いて、先生が入って来たので、授業を受ける事にした。

授業中と言うのは、まあ……何というか退屈な感じで、苦痛にさえも感じられる。このままエスケープしたらいいかもしれないな……とかちょっとそんな事を考えながら、時間が過ぎていき、放課後になった。授業も終わったので、後は帰るだけだが……ここで何かアクションを起こしたほうがいいのだろうか? とりあえず……さっき担任の先生が連絡で「明日は、校長の思いつきでお休みになりましたので、学校は明後日からになります」って言っていたので、明日は学校がない事に決定みたいだった。

で、ゲーム「ラブチュチュ」を全クリアした俺から言わせると、このようなイベントは全くの初めてで、どう対処していいか? 全く分からない。

けど、お昼に孝之と西村舞、それと他の攻略対象キャラの沖島ユウと3人で遊びに行く予定が出来たみたいだった。

なら、別に俺が何もしなくてもいいんじゃないか?って思うのだが……ただ3人だけで遊びに行って、何かしらの恋愛イベントとか発生するか?って考えたら、発生しない感じだったので、どうしようか……とか思ってると


「由希乃ちゃん、帰らないの?」


そう話しかけて来たのは、同じクラスでゲーム「ラブチュチュ」の攻略対象キャラの一人、水無月あかねちゃんだった。


「うん、ちょっとね? 考え事してて……」


「考え事?あ、解った、明日の事だよね?」


「え……? 明日の事?」


「うん、いきなり休日になっちゃったでしょ? だから明日どうしようかな~って思ってなのかなってね? あ、なんなら由希乃ちゃん?」


「な、何?」


「明日一緒に遊びに行かない? 新しく出来た建物があってね? そこに行ってみたいと思ってたんだ、でも一人で行くのもなんかつまんないしね? 由希乃ちゃんさえ良かったら、一緒にどうかな?」


あかねちゃんがそう言って来た。

これってもしかして……遊びに誘われてる?

俺がもし男だったら、デートって感じなのだろうか? いや今の俺、女の子だしな……デートって言う感じではないから、違うか。

まあでも、せっかく誘ってくれてるんだ。しかも二人っきりだしな?

もしかしたら……何かイベント的な事が起きるかも知れないし、ここで断るのもあかねちゃんに何か悪いし……なので


「うん、別に用事はないからOKだよ」


そう言って見ると


「了解、じゃあ決まりね? 明日、由希乃ちゃんの家に行くね?」


「あれ……私の家、知ってるの? あかねちゃん」


「うん、知ってるよ?」


一体どうやって知ったのだろうか? 気にはなるけど、ここは問い詰めない方が良いのかも知れないな……そう思っていると


「いつまでも学校に残っているのもね……そろそろ帰ろうか? 由希乃ちゃんも帰るんでしょ?」


「……うん、特に用事とかないしね?」


「じゃあ、途中まで一緒に帰ろうか?」


「解った」


こうして俺は、あかねちゃんと一緒に下校する事にした。学校から出て、数十分歩くと、あかねちゃんが「じゃあ私、こっちだから、また明日ね? 由希乃ちゃん」と言って、あかねちゃんと別れる。

一人になって、とりあえず……今の俺の現住所、初崎由希乃の家に戻る事にした。

町の中を数十分歩いて、目的地に辿り着く。

玄関の扉はしっかりと施錠されているみたく。中に誰かいるのか? ちょっと解らなかったので、とりあえず鍵で家の中に入る事にした。

家の中は薄暗く、人がいるのか……?って思ったけど、玄関口に男物の靴があるので、もう既に兄の初崎孝之は、帰宅していると思われる。

俺は、兄に会う必要は無いよな……と、思ったので、自分の部屋。初崎由希乃の部屋へと行く事にした。自分の部屋に辿り着き、着ている制服を脱いで、下着姿になる。

改めて自分の体を見ると、スタイルは良いと思う。胸も貧乳とは違うしな?

けどここは、ギャルゲーの世界だと思うので、基本的に恋愛が絡んでくると思う。


ステータスとか見れたりするし、ギャルゲーの世界だとすると、このクリア条件が「主人公の男の子が攻略対象者とラブラブになる事」なので、で……今の俺、このギャルゲー「ラブチュチュ」の主人公の妹って言う感じになってしまっているしな……男だったのに。

俺は、このギャルゲー「ラブチュチュ」をほぼクリアしているんだが、今の俺、初崎由希乃のシナリオはノータッチというか、この子、隠しキャラ扱いだったので、これから……どんなイベントが起こるのか?全く解らなかった。

けど、とりあえず明日の予定は決まっている。


攻略対象者の一人の水無月あかねちゃんとお出かけすると言う事になっているので、ちょっと楽しみだった。

って、いつまでも下着姿だと風邪を引くかも知れないな……と思い、着替えようとすると


「由希乃、帰ってたのか」


と、ノックもせずに兄の孝之が部屋の中に入って来たので、ちょっと驚いてしまった。

完璧に下着姿を見られた……えっと……ここは悲鳴をあげればいいのかな? でも、私の事をよく見てもらいたいし……って、今、俺は何を考えた!? 何か思考がやばくなって来たので


「お、お兄ちゃん?」


「あ、ああ……何だ?」


「えっと……何しに来たの?」


「いや、由希乃は明日どうするのか、気になってな? 明日学校お休みだろ?」


「明日は、あかねちゃんと遊びに行くよ?」


「そうか……いや、舞と沖島で何所かに遊びに行く事になったんだが、なら由希乃も誘うと思ってな?解った、由希乃はあかねちゃんと遊びに行くんだな?」


「う、うん、それより……」


「それより?」


「早く出てってよ……着替えられない……」


「あ、わ、悪い!」


そう言って孝之が俺の部屋から出て行く。

何で俺はあんな風に恥ずかしそうに言ってしまったんだ!?なんか、無意識にそんな風に言ってしまった気がする。これはあれか、孝之との好感度が関係しているかも知れない。

俺の孝之に対しての好感度が今の所高いので、これは……慎重に行動をしないと、孝之の事を本当に好きになってしまうのかも知れないと思ってしまったので、ちょっと恐怖を感じでしまった。とりあえず……下着姿から部屋着を着る事にした。

着替え終わった後、どうしようか……と考えて、とりあえず何か取ろうと思ったので、食事を取る事にした。自分の部屋から出て、キッチンに行くと、料理をしている孝之を発見した。

一体何を作ってるんだ?って気になったので、除いてみると、炒飯を作っているらしく、もうすぐ出来上がりそうだった。

俺がやってきた事に気がついたからか


「あ、由希乃、さっきは済まなかったな……」


「い、いいよ……別に」


「そうか、お、もうすぐ出来るな? 由希乃? お前も食うか?」


「うん、お兄ちゃん」


「解った、じゃあお皿を用意してくれ」


「解った」


そう言って俺は、お皿を用意する。まあ……食べると言ったのは、せっかく作ってくれたんだし、今更断って、自分で作るのもな……と思ったからで、作ってくれて嬉しいって言う感情ではないと思いたい。

お皿を用意した後、出来上がった炒飯を盛り付ける。見た目はおいしそうで、きちんと味付けは出来ているのか? ちょっと不安だったけど、食べてみると、結構おいしかった。

だ、だからと言って惚れ直したとかそういうのではないんだからね!?

……だから、何でこんな考えをしてるんだ!?俺は!?もう、変な風に考えてしまうから、何も考えない事にして、無言で炒飯を頂く事にした。食べ終わった後、どうしようか……と考えて、お風呂に入る事にした。

とりあえず……孝之の近くにいると、なんかちょっとドキドキして来たので、心を落ち着かせる為に風呂に入る事に。

パジャマを用意してから、脱衣所に行き、着ている服を脱いで、全裸になる。

お風呂場に入り、まずシャワーを浴びてから、体をシャンプーで洗う事にした。

自分で触ってて思うのだが……やっぱり胸が柔らかい。乳首もツンっとちょっと張っている気がする。両手で胸をもんでいると、なんか……変な気持ちになってしまった。

……やばい、これ以上行ったら、理性が吹っ飛んでいってしまうかもしれない。

心を落ち着かせる為にお風呂に来たのに、俺は何をやっているのだろうか?

とりあえず自分で揉むと言う行為をやめにして、体を洗う。まあ……洗い方が雑なような気もしたけど、とりあえず洗った後に、湯船につかる。

湯船につかりながら、これからどうするか……と考えて、とりあえず……孝之との好感度はこれ以上あげない方針で動こうと思う事にして、風呂を出る事にした。

風呂場から出て、パジャマに着替える。

なんかもう……この体になってしまったからか、女物を着る事に全くと言って良い程、抵抗感が無くなってきたような気もする……いや、気をしっかりと持て俺。慣れてしまったら、身も心も女の子になってしまうかも知れないしな……着替え終わった後、鏡で身だしなみを確認してから、自分の部屋に戻り、布団を用意してから、改めて自分のステータスを確認してみる事にし決めて、スマホで検索をかける。

確認してみると

初崎由希乃

B72 H67 W60

恋愛度55と表示された。

この恋愛度のMAXの上限が100なので、もう半分近く恋愛度が上がっていると言う事。これ……どうやって下げればいいんだ?って思い、そう言えばゲームをクリアした俺は、好感度を下げるにはハッピーエンドルートを避ける為、わざと間違いルートを選んでいたが……。

けど、こっちは攻略される側だから、選択肢なんか全く見えないので、どう行動すればよいのか?全く解らなかった。まあ、孝之の近くにいると、感情が変な感じになるので、なるべく避ける方針で行こうと思う。


そう決意した後、ステータスを閉じて、もう寝る事にしたのであった。

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