第11話

これが……全部夢で、起きたら全てが元に戻っていて、自分の体もきっちりと男に戻っていたら……と思ったのだが……現実は、そんなに旨く行く筈も無く、目が覚めて、部屋の中を確認して見ると、いつもの見慣れた自分の部屋では無く、女の子の部屋と言う事だった。

そうなると……今の状況を一言で言うと、元の姿には戻ってはいなくて、今現在の俺の姿は、ゲーム「ラブチュチュ」の初崎由希乃の姿になっていると思われる。これが全部夢だったら、どんなに良かったか……と思っただけでは、現実は全く変わらないので、やはり……元の姿に戻るには、ゲームクリア、つまり……ゲーム「ラブチュチュ」の主人公、初崎孝之とのベストエンディングを迎えないといけないのかも知れない。まさか……ゲームだと、攻略する側だったのだが、今じゃ……攻略される側になってしまうとは……って、感じで、しかも……今までの行動で、孝之との恋愛度が100%の半分以上いっているので、孝之の事、ちょっといいな……って、心の中で思ってしまっているのも事実だったりするので、これは……他の攻略対象キャラと孝之を何が何でもくっつけないと、孝之が俺を攻略しにかかっていると言う状態になってしまうのかも知れなかった。

とりあえず……今日やる事は、何のイベントがあるのか? と言う事なので、自分がプレイしたゲーム「ラブチュチュ」のイベントを思い出す事にした。確か……今日は、ゲーム通りなら、七月の前半なので、まだほとんどイベントは始まっていない状態だと思われる。

確か……今現在、起こりえるイベントは確か……孝之の幼馴染の西村舞と二人っきりで、遊びに行くと言うイベントだった筈、そのイベントは、学校が終わった放課後、帰り支度をしている孝之に舞が「今日、暇になったから、遊びに行かない?」と誘ってくるイベントで、ここで選択肢が現れて

1、舞と一緒に遊びに行く。


2、遊びには行かないと断る。


ここで、1を選んだ場合、好感度が上がる音がして、舞と二人きりで遊びに行くと言うイベントが発生。で、2を選んだ場合、別のキャラの孝之の後輩、水無月あかねが下校途中に現れて、台詞が「先輩、今日暇ですか? 実は……ちょっと相談がありまして、食事を奢りますから、相談に乗ってくれませんか?」と言うイベントが発生するのを思い出す。そのイベントが今日、起こるのだとすると……俺のやるべき行動は、孝之と舞をデートさせると言う方針で動こうと思う。孝之が舞の誘いを断った場合、その場合、水無月あかねちゃんが、孝之を誘ってしまうので、それだけは何とか避けたい。誰が孝之なんかにあかねちゃんなんかやるもんか、そうなったら私がやるし…………って、今、俺、何を考えた? これは好感度が上がっているせいなのか?今の、無意識にそう考えてしまったので、やっぱり俺……少しづつ攻略されかかっているのかも知れない……。

これは不味い。何とかしないとってなるのだが……今の状態で、何とかしようにも、特に方法がある訳でも無いので、とりあえず……学校に行く事に決める事にした。

その前にまず……朝飯を食べる事にするかな……と決めて、今いる部屋から、部屋の外に出る。部屋の外に出た後、リビングの方に向かって見ると、誰もいなく、音が全く聞こえないので、この家にいると思われる兄、孝之は先に出かけたのかも知れなかった。

かと言って、孝之の部屋に突撃とかしようと思わないので、朝食をとる為、台所に向かう。

台所に辿り着き、冷蔵庫の中身を確認。色々な食材が中にあったので、その中から選んでいき、簡単な創作料理を作る事にした。

調理方法は、体が覚えてるらしく、全く迷う事無く、調理成功。早速食べて見ると、味付けが良かったのか、なかなかの味だった。

あっという間に食べ終わって、生理現象が起こったので、それを解消してから、自分の部屋に戻る。部屋に戻り、今着ている服を脱いで、学校指定の制服に着替える事にした。

何と言うか……これも慣れと言うのか? 女物の服を着こなしているのだが、恥ずかしいとか、その様な感情が全く起きなくっているのを感じる。俺、元に戻った時、普通に出来るのか……? と、ちょっと心配にもなって来たが、その様な事を考えるのはやめて、あっという間に学校指定の制服に着替え終わる。

着替え終わった後、鞄の中に必要な物を入れて、家を出る事にした。

家の鍵は、どうしようか……と悩み、何所かに鍵があるのか? 玄関口を捜索してみると、青色のビンにメモがあるのを発見。そのメモを読み上げてみると、汚い字で「家の合鍵は瓶の中に入れといたから、使ってくれ」と書かれてあり、瓶の中を見てみると、銀色の鍵があったので、これがこの家の合鍵だと言う事が分かった。と言う事は……これを書いたのは、この家に一緒に住んでいる人物、兄の孝之と言う事になり、その孝之がこのようなメモを残しておいたって事だよな……と、考えて、早速使わせて貰う事に決めて、外に出る。

外の天気は、夏に近いからか、少し蒸し暑く感じてしまい、ちょっと涼みたいな……と思いながら、しっかりと家を施錠して、学校へと向かう事にした。通学路と言うのは、体が覚えているので、迷う事無く、通っている学校へと辿り着く。

さて……学校に辿り着いて、まず何をすればいいか……だけど、とりあえず……普通に授業を受ける事にして、今の俺、初崎由希乃が所属しているクラスの中へと行く事にした。

由希乃の所属しているクラスの中に入り、自分の席に辿り着く。改めてクラスの中を確認してみると、ここがゲーム「ラブチュチュ」の世界の中だとしたら、このクラスメイト達は、ゲームには全く関係が無いモブキャラと呼ばれる存在だと思うので、特に誰かに話しかける必要は無さそうに思えてくる。

唯一、このクラスでの重要人物と言えば、同じクラスで、ラブチュチュの攻略対象キャラクターの一人、水無月あかねの唯一人で、とりあえず……あかねの姿を探してみると、まだ教室内にいないみたいだった。

今日は、来ないつもりなのか……? と、俺はゲーム「ラブチュチュ」のあかねルートをクリアした事があるので、あかねの行動を思い出してみる。今日が何日かは全く分からないが、確か……あかねは、主人公、孝之との台詞で「私、学校が大好きですから、休んだ事なんてないんですよぅ~」とか言っていたので、学校を休む筈は無いと認識。じゃあ……遅れてるだけなのか……?と、思っていると、教室内に駆け込んで来たのが、栗色の髪の水無月あかねの姿だった。肩で息をしているので、走って来た見たく、自分の席に着いて、ふ~とか安心しきった顔をしている。

と言う事は……遅刻しそうだったから、走って来たって感じだな……とか、そんな事を考えていると、チャイムが鳴って、このクラスの担任の先生が入って来た。


「みんな、おはよう~出席を取るわよ~」


そう言って来たのが、まだ名前も知らない先生で、とりあえず俺は心の中で、爆乳先生とか思っている。まあ、見た目が本当に胸がでかいしな……? そんな爆乳先生が出席を取って行き、取り終わった後、普通に授業が始まったのだった。

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