第9話
通学路は覚えていたので、迷う事無く、初崎由希乃の通っている学校に辿り着く。
昇降口の中に入り、下駄箱から上履きを取り出そうとすると
「おっはよ~由希乃」
そう話しかけてきたのは、同じクラスであり、ゲームの攻略対象キャラでもある、水無月あかねだった。
「おはよーあかね」
「由希乃? 今日は行事があるのを忘れてないよね?」
「行事?」
「もしかして……一日で記憶を失っちゃう体質になっちゃったの? それはそれで凄い体質になったのねって……さっき私の名前呼んだし、それはないか~」
「確か……今日は体力測定があるんだよね?」
「そうだよ? ちゃんと体操着、忘れてないよね?」
「う、うん……大丈夫な筈……」
「何で自信なさげ? まあいいけど……とりあえず、教室いこっか?」
「うん」
あかねちゃんにそう言って、俺とあかねちゃんは、自分のクラスの中に入る事にした。
自分のクラスに辿り着き、あかねちゃんと別れて、自分の席に着いて、落ち着いて見る。改めて教室内の見渡して見ると、何と言うか……平凡な感じの人達が集まった? みたいな感じに見えてしまっている。そりゃあここが、ゲームの世界だとしたら、ここにいる同じクラスメイトは、はっきり言うと、ただのモブキャラだしな……? ま、それで納得するか、うん。
そんな事を考えていると、チャイムが鳴って、担任の明らかにエロスを感じる、爆乳先生がやって来て
「はーい、皆おはよう~では早速、出席を取るわね~」
そんな感じに出席を取って行き、取り終わった後
「はい、皆いるわね~? では、今日の連絡事項だけど、今日は体力測定よ? その体力測定だけで、今日は授業が無いからね? で、女子は女子更衣室で着替えてね? 男子はここでね? 着替え終わったら、体育館に集合よ? それじゃあね」
そう言って、先生が教室から出て行く。
体力測定か……うん、困った。
何が困ったのか言うと、今の俺は女になってしまっているので、女として体力測定に挑まなくてはならなくなったと言う事になる。
しかも……女子更衣室で着替えてね? とか、爆乳先生がそう言ったから、女子の生着替え&自分の着替えを見られる事になるんじゃね? と言う事だった。じゃあ、どうしようか……と悩んでいると
「由希乃? 着替えに行かないの?」
あかねちゃんが、そう聞いて来た。
さっき先生が、男子はここで着替えるようにって言ってたし。今の自分の体を、ここにいる男子に見せたくないしな……そう考えてから、体操着は持って来てたので、体操着を持って、俺は、こう言った。
「あかね……実は、更衣室の場所、忘れちゃったんだ、案内してくれないかな?」
俺がそう言うと、あかねちゃんが
「そうなんだ、じゃあ、私について来て?」
あかねちゃんが、そう言ってくれたので、あかねちゃんと一緒に行く事にした。
あかねちゃんと移動する事になって、俺は……女子更衣室と書かれた部屋に辿り着く。ここが、女子更衣室……じゃあ、ここで体操着に着替えるって事なんだよな……今は、女の体だが、精神が男なので、これっていいのか? とか思うのだが、あかねちゃんが「由希乃? 入らないの?」と、言って来たので、覚悟を決めて、女子更衣室の中に入る事にした。
中に入ると、そこは男だったら、パラダイス的な空間が広がっていた。女子更衣室なので、女だけだし、しかも下着姿、まさに女の園って感じがする。まあ、俺も今は、女なんだけどな……そんな事を考えていると、あかねちゃんが制服を脱ぎだして、下着姿になった。
「由希乃も、着替えようよ?」
あかねちゃんが言って来たので、俺もこの女子更衣室で着替える事にした。制服を脱いで、下着姿になり、体操服に着替える。
あかねちゃんも体操服に着替え終わると、俺に向かって
「はあ……」
「な、何?」
「由希乃、私より胸大きいから、ちょっと羨ましいかなってね……ほら、私って、貧乳だし……」
そう言われて、あかねちゃんを見てみると、体操服姿になっていて、胸のサイズが明らかに少量だったので、貧乳に見えてしまっていた。
え~っと……この場合、どう言えばいいんだ……? とか思ったが、深く考えない事にして、着替え終わったので、女子更衣室を出る。
更衣室を出た後、あかねちゃんが「じゃあ、体育館に行こうか?」と言ったので、あかねちゃんと一緒に、体育館へと行く事にした。
体育館に辿り着くと、もう既に、体力測定が行われていて、握力とかを測っているみたいだった。
「じゃあ、私達も測定しようか?」
「測定って……何を?」
「え~とね……体育館で計っているのは、握力と反復横とびと腹筋の回数だよ、最初は握力から計って、次に反復横とびを計りましょう?」
あかねちゃんがそう言うので、俺は言われたとおりにする事にした。最初に握力を計る事になって、握力計を持って、右から計ってみる。
力を入れて、計ってみると、出た数字が20kgと表示されて、左を計ってみると、25kgと表示された。これって……握力が強い方なのか……? とか思ったが、あかねちゃんを見てみると、両方とも、30kgを超えている。
と言う事は……握力に関しては、俺は、あかねちゃんより低いらしい……まあ、気にしても仕方がないので、次に計る事にしたのは、反復横とびを計る事にした。これは、一分間に何回出来るかを計測するという感じで、二人体制で計る事になっていたので、最初にあかねちゃんがやって、俺が回数を数える事になった。
「じゃあ、行くよ?」
あかねちゃんが言うので、俺はOKを出して、時間を計り、回数を数えていく。一分後、あかねちゃんの記録は、50回だった。
次に俺の番になったので、あかねちゃんに計測して貰う事になり、俺の番がスタートする。
やり方は解っていたので、足を動かして、反復横とびの回数を伸ばしていき、一分後。あかねちゃんが言うには「四十回だよー」と言ったので、それが俺の記録となった。反復横とびを計り終わった後、最後に腹筋の回数を測る事になり、これも、一分間に何回出来るかを計測すると言う事になっていたので、今度は俺からやる事になって、あかねちゃんが計測する係となった。
「じゃあ、由希乃? 始めるね?」
「うん」
そう言って、あかねちゃんが足を抑えて来て、そして、スタートしたので、腹筋をしていく。
さすがに体を動かしているからか、かなり疲れると同時に、前かがみになるので、自分の胸が膝に当たって、ちょっと変な感じになってしまった。一分後、あかねちゃんが「由希乃、二十回だよ? じゃあ、今度は私の番だから」と言って、交代をして、今度は俺が計測する番になり、あかねちゃんの体を抑えて、時間を計る。
あかねちゃんの胸が小さいからか、腹筋のスピードも俺とは違い、回数も重ねていき、一分後
「あかね、45回だよ」
俺がそう言うと
「まあまあって感じかな? うん……ちょっと疲れたけどね」
そう言っていた。これは……平均的なのか? よく解んないけどな?
体育館での体力測定が計り終わったので、記録係に俺とあかねちゃんの結果を報告すると、担任の先生が「体育館での計測を計り終わった人は、校庭に向かって下さいね? 校庭では、50メートル走と100メートル走のタイムを計りますので~」と言っていたので、俺とあかねちゃんは、校庭に向かう事にして、校庭の体力測定を行う事にしたのであった。
校庭に向かった俺は、まず感じた事があった。
それはと言うと……体操着姿なので、かなりと言うか……凄く寒く感じてしまった。まあ、冬じゃないだけマシか……と思っていると、先生が「はい、では50メートル走のタイムを計りますから、並んで下さいね」と言ったので、俺は女子の方に並んで、順番を待つ。数分後、俺の番になったので、他の三人と一緒に走る事になった。五十メートル先に記録係の人が見えるので、そいつが記録を書き込むのだと思われる。この場合……手を抜いて走るか、全力で走るかなのだが……俺は、手を抜いて走る事にした。別に本気を出さなくていいよな……? と思っていたので、位置に着いて、先生が「よーい、どん!」と言ったので、走り出す。
走り出して思った事。クラスメイトの女子……速くないか? あきらかに全速力で走っていて、俺も一応は走っているのだが、全く追いつけそうになく、俺が一番最後になってしまい、最下位でゴールする。
そして記録係が「十秒ジャストです」と言われたので、これって早いんだが遅いんだか、全く解らなかった。五十メートルが計り終わると、あかねちゃんの番になったみたいなので、あかねちゃんの姿を見る事にした。
先生がスタート同時に、あかねちゃんは全速力で走り出して、一着でゴールする。
一着でゴールした後、俺に話しかけてきた。
「由希乃、何秒だった?」
「十秒だけど」
「そっかー……私、七秒だったよ? あーあ、せめて6秒台は欲しかったかな?」
それは早すぎるんじゃね?って思ってしまった。ちなみにあかねちゃんに聞いたら、クラスで一番早い女子のタイムは、5秒台と言うらしいです。化け物かよって感じなのですが?
男子はと言うと、ほぼ6秒台らしい。
うん……明らかに速すぎるよな? 絶対おかしいと思うのは俺だけなのだろうか……? そんな事を考えていると、次に計った競技は、百メートル走だった。この百メートル走のタイムを計る事になったので、よし、今回は全力で走ってみるかと思い、位置に着いて、全力で走ってみる。結果は、ビリじゃないけど、三着で13秒台だった。うん、もうタイムは気にしない事にするか……そう思う事にして、校庭での測定が終わったので、校舎の中に入り、更衣室で着替える事になったので、更衣室に行き、制服に着替える。何というか……自分の体を見慣れてしまったのか、他の女の体を見ても、興奮とかしなくなったな……でも、あかねちゃんは可愛い、これは保障出来るって感じだった。制服に着替え終わって、あかねちゃんと一緒に自分のクラスに戻って、席に着くと、担任の爆乳先生(仮称)がやって来て
「はい、これで体力測定は終わりです、明日から普通の授業となっているので、そのつもりでね? それじゃあ、さようなら」
そう言って、どうやら……これで全ての体力測定が終わったみたいだった。
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