第7話

午後の授業は、それほど難しくはなく、俺が習った事とあんまり変わっていなかったので、問題がなかった。けど、先生に当てられて、答えを言う羽目になってしまい、まあ……解る問題だったので、普通に答えると、正解だったらしく、怒られる事はなかった。

そして、時間が過ぎて行き、午後の授業が終わった。帰りのHRに突入して、担任の先生が


「はい、今日も一日お疲れ様、じゃあ明日の連絡だけど、明日は体力測定となっていて、普通の授業はないわよ? 体操着を忘れずに持ってくるようにね? では、さようなら」


そう担任が言う。ちょっと待て……体操着って、何所にあるんだ?って感じだった。

初崎由希乃になってしまったので、体操着が何所にあるかなんて、解らないから……由季乃の部屋の中に仕舞ってあるのか? と思い、帰ったら、探してみるか……と思う事に決めて、鞄を持って、教室を出る。廊下に出て、まずやる事と言えば、他の攻略対象キャラに会う事に決めた。今まで出会ったのは、同じクラスの水無月あかねと、ゲーム「ラブチュチュ」の主人公

初崎孝之の同じクラスの沖島ユウの二人だけで、幼馴染の西村舞は、朝あっただけで、それ以降は見かけていなかった。残っているのは、三年の高村菫と二年の風見理子と西村舞の三人だけである。じゃあ、どっちから会いに行くか……と悩んで、理子の居場所は解っているので、理子から会いに行く事にした。

理子がいると思われる場所は、図書室で、ゲーム「ラブチュチュ」でもよく、図書室に出没していたりしていた。理子ルートをプレイした俺から言わせると、理子と始めてあったのも、図書室で、初めて会った時は、眼鏡っ子でもある。その眼鏡っ子の好感度を上げて行くと、途中で眼鏡を外して、出くわす事になって、最終的に学校の図書室で「孝之君、好きです」と赤くもじもじした様子で告り、ここで選択肢が現れて「うん、俺も好きだ」と「君には興味がない、好きな子がいるからね?」と。二つの選択肢が現れる。

ここで、「うん、俺も好きだ」を選択すると、ハッピーエンドとなり、抱き合ってキスシーンとなって、エンディングでは、腕を組みながら、登下校をしているシーンで最後の台詞が「孝之君、いつまでも一緒にいようね?」と、そんな感じのラストであった。

じゃあ、今の状態はどうなってるんだろうな……と思い、俺は校舎の中を歩きまわって、図書室へと向かう事にした。

数分後、やっと図書室を見つけたので、中に入ってみる。

中に入ると、沢山の本棚があって、カウンターに図書委員らしき人が、受付をしていて、数人の生徒が、本に没頭していて、静かな雰囲気を醸し出していた。この中から、風見理子を探す事にして、探せるのか……? と思うのだが、理子を見分ける事は、簡単だった。

何故なら、理子の髪の色が、緑色をしているからである。

緑色の髪って、俺がいた世界だと、まずありえねー色なのだが、緑色の髪をしていても、幼馴染の西村舞の髪の色も赤色なので、ゲームならではの色だと思われる。その緑色の髪をした、本を読んでいる少女を、見つけたのて、声をかけてみる事にした。


「風見先輩、こんにちはです」


俺がそう話しかけると、本を閉じて、俺の方を向く。素顔を見てみると、そこに眼鏡があった。眼鏡を装着していると言う事は、孝之に対しての好感度が、低い状態だと言う事が解った。でも、この子……見た目はかなり可愛い。眼鏡を取ると、かなりの美少女になるので、この姿でも、もてそうな感じもした。

そういや……ネットの掲示板「ラブチュチュマニア」書かれてあった記事も「リコたん、やっぱ眼鏡なしのほうがいい」とか書き込まれていたな……

眼鏡ありの状態だと言う事は、孝之との好感度が低い状態なのかも知れない。


「えっと……どちらさまですか?」


「あ、はい、私……初崎由希乃ですけど……」


「初崎由希乃……? すいません、聞いた事の無い名前ですね? えっと……私に何か御用でしょうか?」


そう言って来たので、俺はこう言って見る事にした。


「私、孝之お兄ちゃんの妹です、孝之お兄ちゃんは、知っていますか?」


「……あ、前に図書室で本を読んでいたら、声をかけてきた人ですね? じゃあ、あの人の妹さんですか……その妹さんが、私に何か用ですか?」


「えっと……お兄ちゃんの事、どう思っているのかなあ~……と、思いまして……」


「……そうですね……見た感じ、優しい人……って思いました」


「そうですか、あ、じゃあ、読書の邪魔をしちゃって、すいません、では私は、行きますね?」


そう言って俺は、去り際にスマホを取り出して、ラブチュチュマニアを開き、ステータス、風見理子と検索。すると、現れたのが

風見理子

B80 H61 W59

恋愛度15と表示された。

これを見ると、結構低いので、まだラブイベントは、発生していないんだと思う。

でも、まだあと二人、高村菫と西村舞の状態がどうなっているのか? 全く解らないからな……とりあえず……理子は、孝之の彼女候補として、覚えておく事にするか……

そう決めて俺は、風見理子と別れて、図書室から出る事にした。

図書室から出た後、高村菫を探す事にした。

確か……ゲーム「ラブチュチュ」の高村菫の設定を思い出すと、弓道部に通っていて、弓道部員と言うのを思い出す。じゃあ、弓道場にいるのか? と思い、弓道場を探して、別の校舎に弓道場を発見、そこに入ってみると、誰もいなかった。よく見てみると、張り紙に「本日の弓道部は休息日」と書かれてあったので、部活はどうやら、休みみたいである。と言う事は、学校内にはいないみたいなので、今日中に高村菫に会う事は、不可能に近いみたいだった。じゃあ、このまま学校に残っていても、意味がなさそうだったので、今日は引き上げて、初崎家に戻る事にした。下駄箱で靴に履き替えて、校舎の外に出る。外に出ると、歩いている孝之と一緒に歩いている西村舞の姿を発見したので、俺は、由季乃のふりをして、話しかける事にした。


「お兄ちゃん」


「あ、由季乃」


「お兄ちゃんに聞きたい事、あるんだけどいい?」


「何だ? 聞きたい事って」


「えっと……? お兄ちゃんって、舞さんと付き合ってるの?」


「由季乃ちゃん、何言ってるのよ、私と孝之は、幼馴染よ?」


「あ、ああ、そうだぞ」


「そうなんだ……うん」


そう話しながら、スマホでラブチュチュマニアを開いて、西村舞、ステータスと検索。

現れたのが

西村舞

B86 W65 H65

恋愛度30と現れたので、恋愛度が高いと言う事は、孝之に好意を持っていると言う事になるんじゃね?って感じだった。

じゃあ……あとは、高村菫の状態を確認する事かな……と思う事にして、孝之達と一緒に、初崎家に戻る事にした。家にたどり着き、隣の家の西村舞と別れる。

家に戻り、家の中に入り、自分の初崎由季乃の部屋に行く。部屋の中に入り、まず……着ている制服を脱ぐ事にした。制服を脱いで、下着姿になって思う事は、本当に女になっちゃったんだな……と、俺の元の体の状態ってどうなってるか?だった。

ゲームキャラのいる世界の中で、普通に食事しているし、体を触ってみても、感触があるし、これはもう現実とほとんど変わらないと思われる。何というか……俺がいた時代とは、全く違う異世界と言う感じだった。

そんな異世界の中でも、俺のいた世界とほとんど似ているし、食材もほぼ同じ……と言う事は、この初崎由季乃はゲームのヒロインじゃなくて、実際に生きている人物と言う事になるのかも知れなかった。

ま……なんにせよ、女の体になっちゃったんだし、元に戻る方法が解るまで、初崎由季乃として、過ごして行くしかねーって事だった。

とりあえず俺は、箪笥を漁って、中に入っている服を確認してみる事にした。中に入っているのは、女の子の部屋なので、ほぼ女物の服と、下着だった。改めて自分の体を見てみると、結構いい体をしてるんじゃないか? とか思ってしまう。

賓乳でもないし、かといってボインでもなく、肌も白く、顔も結構可愛いと思うので、男に人気が出るのかもな? と思ってしまった。

でも、この育った胸とか、下腹部に男の息子なんか入れたくなかった。男と付き合って、彼女になるというのは、お断りだった。

かと言って安心できる状態でもないんだよな……何故なら、この初崎家にいるのは、俺と孝之しかいないからで、元の性格が結構ブラコンな感じだったみたいなので、孝之が襲って来たら、抵抗出来るのか?って感じだった。

まあ……今の所、下着姿の今の俺の状態でも、部屋の中に突然入ってくる様子はないし、覗かれてると言う気配も全く感じなかったので、今の所は大丈夫みたいだった。

いつまでも下着姿のままなのも、まずそうなので、箪笥に入っていた服に着替える。

青色のシャツにロングスカートを履いた後、先生が言った事を思い出したので、体操着を探す事にした。体操着を探していると、見つけたのが、名前入りの上着と、青色のブルマだった。

もしかして……体操着ってこれか?って思うのだが……ブルマって……これを履いて、体育とか受けるのか?って思ってしまい、これが元の男の俺だったら、万々歳なのだが、今は俺が履く事になっているので、かなり嫌な感じがしてしまった。


「これしかないみたいだし……やっぱ、これが体操着っぽいな……」


他を探してみても、体操着と思われる物はなかったので、諦める事にした。探し終わった後、次に何をしようか……と考えて、とりあえず明日の準備をする事にした。

明日は爆乳先生が、身体測定と言っていたので、普通の授業はないみたいなので、体操着だけを持っていく事に決めた。明日の準備が終わると、お腹がすいて来たので、部屋の外に出て、キッチンへと向かった。

キッチンに辿り着き、冷蔵庫の中をあけてみると、昨日買った食材が入っていて、これなら俺でも調理出来るので、その食材を使って、料理をする事にした。調理器具は俺のいた世界と全く変わらず、フライパンもまな板も包丁もあったので、食材を冷蔵庫から取り出して、切っていって、フライパンに油を使って、食材を炒める。炊飯器もあったので、中を見てみると、白いご飯炊けていたので、食器棚から茶碗をだして、フライパンにご飯を投入し、最後に卵をかき混ぜた。数分後に出来上がったのが、自家製炒飯が出来上がったので、試食してみると、味付けがよく、結構美味しかった。

昨日食べた、スーパーの炒飯とは味付けが違い、俺的には、こっちの炒飯の方が、好みだった。お皿に盛り付けて、早速食べようとすると


「お、いいにおいだな?」


リビングに現れたのが、孝之だった。


「炒飯を作ったのか? じゃあ、俺も頂いていいか?」


そう言ったので、どうしようか……と考えて


「べつにいいよ? 勝手に盛り付けてね?」


と言う事にした。俺がそう言うと、孝之が「ああ、解った」と言って、フライパンに残った炒飯をお皿に盛り付けて、全部お皿に盛り付けてしまった。孝之が俺の作った炒飯を食べると


「お、由希乃? これ、旨いな?」


そう言って、かなり早いスピードで食べていき、あっという間に食べ終わってしまった。


「由希乃は、料理上手だな? うん、俺は幸せだな」


とか言っている。それってあれか? 俺が作る料理が食えてうれしいって事か?

うわ、何か……寒気が……

そう思っていると、孝之が自分の部屋に戻って行った。残った俺は、ゆっくりと炒飯を頂く事にした。食べ終わってから思うのは、この体……すぐにお腹いっぱいになる事だった。

おかわりの二杯目とか、満腹で食えそうにないって、感じがしたので、小食になったのか……ちょっと残念かもな……と思ってしまった。

食べ終わって、後片付けをして、自分の部屋に戻り、どうしようか……と考えて、記録をつける事にした。ノートを取り出して、こう書き記す。

「初書き込み、何故か……このラブチュチュのキャラが出ている世界に迷い込んでしまった、元に戻るにはどうしたらいいか? を探って行こうと思う。好感度的に言うと、一番高いのが今の所、西村舞なので、この先の展開が全く不明、とりあえず……情報収集を行なう事とする」


そう書き記した後、風呂に入る事にした。

ぱぱっと脱いで、全裸になり、タオルを巻いて、風呂に突入し、体を洗う事にした。

体を洗った後、頭を洗って、洗い終わったら湯船に漬かる事にした。浴槽が広いので、ゆったりと出来て、かなり気持ちよかった。


「これだけは、役得なのかもな……」


男だった俺の時は、狭い浴槽で、足が伸ばせなく、窮屈だったので、広い浴槽は本当にうれしかった。長く入っていると、逆上せるので、逆上せる前に上がり、タオルを体に巻いて出ると


「あ、由季乃……」


孝之が目の前にいた。


この場合……普通の女の子だったら、悲鳴をあげるとこなのか? と思い、いや、悲鳴をあげるのはなんか嫌だな? と思ったので、俺は冷たい声で


「何してるの……? お兄ちゃん」


そう言うと


「いや、新しいシャンプー買ったから、入れ替えようと思ってな? じゃ、じゃあな!」


孝之が脱衣所から出て行く。とりあえず……理性が外れて襲ってこなかったので、そこだけはほっとした。でも、半裸をばっちりと見られたんだよな……これがきっかけで、孝之が俺に変な目で見てくるのは、なんか嫌だな……とりあえず……深く考えない事にして、着替える事にした。着替え終わった後、リビングに行くと


「すまん、由希乃……由希乃も女の子だし、気をつけるよ」




「今度はちゃんとノックしてから、入って?私……びっくりしちゃうからね?」


「あ、ああ!」


なんか持ち物からピロリンって音が鳴ったけど、まさか……好感度が上がったのか? 俺はこれ以上は何かやばいと思ったので、 自分の部屋に戻り、しっかりと施錠して、自分の持ち物のスマホを開いて、ラブチュチュマニアを開き、初崎由紀乃を検索してみる。

すると、現れたのが

初崎由希乃

B72 H67 W60

恋愛度50と、表示されて、驚く。

何だと……まさか孝之に覗かれて、25から倍になってるじゃねーか!これはやばい……何か思考も、孝之の事を考えると、ちょっとドキドキしてる気がするし、こうなったら、他の攻略キャラの恋愛度をあげていくしかないかもな……と思いながら、今日はもう、寝る事にしたのだった。

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