第6話

自分のクラスに戻り、次の授業は何だろな……と思っていると、チャイムが鳴って、別の先生が入って来た。入って来たのは、よぼよぼのおじーさんみたいな感じで、歩くのがとても遅く、教壇に着くのに、2分以上かかっていた。


「で、ではの~……授業を始めるぞ~……」


そう言って、プルプル震えながら、黒板に文字を書いていく。

……明らかに授業をやっている場合じゃないと思うのだが、誰も気にしていない様子で、真面目に授業を受けてる感じだった。

ま、とりあえず……教科は数学? みたいだったので、数学の教科書を開いて、授業を受ける事にした。結果的にそんなに難しくはなく、あっという間に時間が過ぎて、チャイムが鳴った。


「……む、今日はここまでじゃ……では」


そう言って、お爺ちゃん先生が教室から出て行く。教室から出て行った後、クラスメイトを見てみると、外に出かけている者が、沢山いた。

何所に行くんだろうな? と思っていると、あかねちゃんがやって来て


「由希乃、お昼になったけど、お弁当は持って来たの?」


そう聞いてきた。お弁当と言う事は、昼だから、昼食タイムと言う感じなのか……俺は、この体になって、弁当なんか作ってもいなかったので


「ううん、持って来てないよ」


「そっか、じゃあ学食に行こうよ」


「うん、あ、場所忘れちゃったから、案内してくれるかな?」


「うん、いいよ? じゃあ、ついて来て?」


そう言ったので、俺は、あかねちゃんについて行く事にした。階段を下りて、一階に辿り着き、学食と思われる場所に辿り着いた。

部屋の中に入ってみると、沢山の生徒が券売機と思われる機械の前に並んでいる。あかねちゃんも並んだので、俺も真似するように、あかねちゃんの後ろに並ぶ事にした。数分待って、俺の番になり、券売機を見てみると、ボタン表示が光っていて、お金を入れる場所がなかった。と言う事は……これ、全部無料なのか!? と思ってしまい、ちょっとびっくりした。

無料なら、何を頼もうか……と考えて、俺の大好物だった、カレーライスがあったので、カレーライスのボタンを押す。券を受け取って、カウンターがあったので、そこに券を置くと、割烹着を着たおばちゃんが受け取って、数十秒後、カレーライスが出てきた。

あまりの速さにびっくりしたけど、後ろを見ると、並んでいるので、俺はカレーライスを受け取って、あかねちゃんが「こっち、あいてるよ?」と言っていたので、あかねちゃんのいるテーブルに着く事にした。

椅子に座り、カレーライスを食べてみると、味付けが甘口にしてあって、結構美味しく、ちゃんと福神漬も備えてあって、お得な感じがした。あっという間に食べ終わり、改めて部屋の中を確認してみると、色々あるらしく、天丼を食べている者や、蕎麦を啜っている者もいた。

その中に、見た事あるような人物を発見、よく見てみると、ショートカットの髪をしていて、男子の制服を着ているのを発見。顔を見てみて、思い出したのは、ゲーム「ラブチュチュ」に出てくる、攻略対象者の一人、沖島ユウの姿だった。沖島ユウが、男子の格好をしていると言う事は、孝之とある程度好感度が低い状態と言う事が確定状態である事が解った。

俺は、あかねちゃんに沖島ユウの事を聞いてみる事にした。


「ねえ、あかね」


「何? 由希乃」


「あそこにいる、沖島先輩の事、知ってる?」


「……うん、一応知っているよ? 確か、孝之先輩の同じクラスメイトだよね? でも何でそんな事聞くの?」


「えっと……沖島先輩が、お兄ちゃんの彼女なのかな?って思ってね?」


「いや、あの人……男子の制服着ているから、彼女と言う事はないんじゃないかな?」


「そっかあ」


まあ、男子の制服を着ている時点で、攻略されてないと言う事は、丸解りだと言う事だな……

沖島ユウの存在が確認出来たので、食器をカウンターに戻して、俺は蕎麦を食べている沖島ユウに話しかけて見る事にした。


「沖島先輩」


「ん……? えっと……」


「私、初崎由希乃って言います」


「あ、じゃあ、孝之の妹さんなんだ?」


「はい、そう言う事になります、で、あの……沖島先輩は、お兄ちゃんの事、どう思ってます?」


「ど、どう思ってるって……それは……」


顔を赤らめて、もじもじとしてしまっているユウを見て、俺は考える。これ……孝之に好意を持っていないか? と言う事だった。

この場合は、また思いを伝えてない状態って事なのかも知れない。

確か……ゲーム「ラブチュチュ」沖島ユウルートを攻略を思い出してみると、ユウと二人っきりで、遊園地に遊びに行って、そこでユウから「孝之、ボク……孝之が好きなの」と言って、ここで「好きだ」と「ごめん……ユウは、友達としか考えられない」と言う二つの選択肢が現れて、ここで「好きだ」と選ぶと、「ありがと……孝之、ボク、孝之の彼女になれるんだ」と涙交じりの声になって、キスシーンとなったのを思い出した。

この場合は……二人っきりで遊園地に遊びに行っていない状態なのかって、男子の制服を着ている時点で、そこまでイベントが行われてないか……と思い、まあ、念の為に聞いてみる事にした。


「あの……お兄ちゃんと遊園地に行きました?」


「……ううん、行ってないけど……」


やはりか……


「そうですか、あ、お邪魔しちゃったみたいなので、私は戻りますね?」


そう言って、沖島ユウと離れた後、俺はスマホを取り出して、ラブチュチュマニアサイトを開く、そこに「ステータス、沖島ユウ」と書き込むと、現れたのが

沖島ユウ

B80 W56 H60

恋愛度10と現れた。

それを確認した後、あかねちゃんの所に行き、あかねちゃんと一緒に、教室に戻る事にした。

教室に戻って、自分の席に座り、こう考える。

沖島ユウの状態がとりあえず解ったから、残りの後三人。

風見里子と、高村菫と西村舞の状態がどうなっているのか? を調べる事かな……と、そう思い、授業が終わった後に調べようと決意して、午後の授業が始まるみたいなので、あかねちゃんに何の教科か教えて貰い、その教科の教科書を机の上に置いて、午後の授業に備える事にしたのであった。

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