第4話
次の日になり、俺は目が覚める。
目が覚めて辺りを見渡すと、そこはいつもの見慣れた俺の部屋ではなく、女の子の部屋って感じがして、もしかして……と思い、体を調べてみると、男の体ではなく、女の子の体だったので、この状況で、判った事は……うん、戻ってなくね?って事だった。
つまり俺は、ゲーム「ラブチュチュ」に登場する、隠しキャラの女の子、初崎由希乃になっていた。寝たら元の体に戻っているのを期待したのだが……完璧に裏切られた感じだな……
しょうがないから、この体で過ごして、元の体にどうやって戻るか、探すしかないな……と決めて、とりあえず顔を洗う為、今、いる部屋から出る事にした。部屋から出て、少し薄暗い廊下を歩き、洗面所に向かう。
場所は解っていたので、迷う事無く辿り着き、鏡で自分の姿を確認してみる。
鏡に映り込んでいたのは、黒髪の美少女で、顔も結構可愛く感じられた。
寝癖なのか、左右に髪が跳ねていたので、顔を洗った後、タオルで拭いてから、常備されている櫛で、髪を整えて、寝癖を直し、終わったのでリビングの方に向かった。
リビングに辿りつくと、エビピラフ?を食べている、ここでは兄の初崎孝之の姿があって、もう既に学校用の制服に着替え終わっていた。
「お、おはよう、由希乃、今日は遅いな? どうしたんだ?」
遅いな……って、いつもは早起きなのか?
「遅いって……いつも早起きなの?」
「ああ、俺が起きる前に、俺を起こしに来てたぞ?」
それって、あれか?「おにーちゃん、朝だよ?」とか、兄を起こしにいく妹って、その妹は兄の事を好意がないと、起こしにいかないよな? 普通は……じゃあ……もしかして……
「ちょっと聞くけど……前の私って、どんな風に起こしたの?」
「ん? そうだな……俺にまたがって来たり、起きないとちゅーするよ? とか聞いた事もあったな」
はい、確定!つまり、初崎由希乃は、かなりのブラコンと言う事が解ってしまった。
うわ、マジかよ……孝之に対しての好感度をゲーム風に言うと、ほぼMAX状態じゃないのか? その状況って……そう悩んでいると
「そんな事も覚えてないと言う事は、まさかあれも?」
「あ、あれ……?」
「い、いや、覚えてないならいい……」
なんか……孝之が顔を赤らめてそう言っていた。うわ、すっげー気になるんだが? でも聞くのも、なんか嫌だしな……
「とりあえず、言っとくが、来週に両親が戻ってくるぞ? まあ、それまでは問題ないだろう」
問題無いって、それはどうだ?って考える。
今の状況、兄妹だけど、義理の妹だし、もし孝之が襲い掛かってきたら、この体だと勝てる見込みなさそうだった。ブラコンな妹のままだったら、この状況を大歓迎、バッチコーイってなるのかも知れない。けど……今は俺なので、ちっとも嬉しくなかった。
それに、孝之がこの由希乃の事をどう思っているかが重要だしな?
「えっと……お兄ちゃんは、どう思っているの?」
「どう思っているって?」
「今の状況、私とお兄ちゃんの二人っきりだし……もしかして、嬉しいとか?」
「そ、そんな訳ないだろ? でも妹に好かれるのは、嬉しいと思うぜ」
なんか目が泳いでいる……これは、身の危険を感じた方がいいかも知れないな……ぶっちゃけ、貞操の危機かも知れないし、そう悩んでいると、ぐーとお腹がなってしまった。
それを聞いた孝之が「何だ、おなか減ってるのか、残りがフライパンの上にあるから、食えよ」と言ったので、俺は言われたとおりに、キッチンに向かい、フライパンを見てみると、エビピラフの残りがあったので、それをお皿に盛り付けて、頂く事にした。味に関しては、結構美味しく、もしかして……料理上手? とか思ってしまった。
あっという間に食べ終わると、孝之が
「由希乃、まだ着替えてないだろ? 着替えて来いよ」
と言ったので、着替えると言うのは、多分、学校の制服だと思う。まあ、ここで「休む」と言っても、何も状況は変わりそうに無いので、学校に行った方が、情報を集める事が出来るので、一度、部屋に戻り、着ている服を脱ぐ。服を脱いで、下着姿になり、改めて自分の体を確認してみると、スレンダー? と言うのか、スタイルがいいかな?って感じた。
これが彼女だったらいいよな? とは思うのだが、今じゃ自分の体になってしまったので、この状態でエッチな事とかすると、どうなっちゃうんだ? とか思ったけど、考えても仕方が無いので、考えるのをやめて、学校の制服に着替える。着方が男子用とは違い、ちょっと手間取ったけど、何とか着る事に成功して、最後にスカートを履く。
履き終わって、ゲーム「ラブチュチュ」は孝之も高校生と言う設定だったので、昨日、水無月あかねと会って、今の状況を合わせると、俺は、女子高生になってしまったんだな……と実感。この姿で、男に声をかけられるとかなんか嫌だな……と思いながら、鞄の中に、必要な物が解らなかったので、とりあえず目に付いた教科書やノートをぶちこんで、鞄を持って、部屋を出る。部屋を出て、玄関口に行くと、孝之が待っていた。
「じゃあ、行くぞ?由希乃」
「……うん」
俺は言われるまま、ついて行く事にした。
別に待っていなくてもよかったのだが、学校の場所解らないしな……そう思って外に出ると
「あ、孝之、おはよう~じゃあ一緒に行くわよ?」
そう言って来たのが、水色の髪をした巨乳少女だった。なんか見た事があると思ったら、この少女……孝之の幼馴染の西村舞じゃないか?
うん、ゲームのキャラクター容姿を見て思ったんだが……近くで見ると、本当に胸大きいな?
そう思っていると、孝之が
「いや、今日は由希乃と一緒に行くから、舞は一緒に行かなくていいぞ」
とか言いやがった瞬間、かすかにピロリンと音が鳴って、驚いてしまった。
い、今の音って……まさか!?
「そ、そう……わ、解ったわよ! じゃあ先に行くわ!」
そう言って、西村舞が先に行ってしまった。
「じゃあ、行くか? 由希乃」
「うん、解った」
「そうか」
孝之と歩きながら、考える事は、今の出来事だった。あのピロリンと言う音は、ゲーム「ラブチュチュ」で選択肢が現れた時に、正解のルートを選ぶと、キャラクターの好感度が上がると言う音だった。
まさか……今、ゲーム通りだとすると
俺が孝之だった場合
1、舞と一緒に登校する
2、由希乃と一緒に登校する
という選択肢が現れたと言う事になるのか?
じゃあ、今の孝之の台詞で、俺の好感度が上がったのか?これはどうにかして調べないと、そう思い、色々探してみると、鞄の中にスマホが入っていて、ラブチュチュと入力してみる。さるとラブチュチュマニアというサイトに繋がり、内容を確認してみると、画面に浮かび上がったのが
初崎由希乃
B72 H67 W60
恋愛度25と画面に浮かび上がった。
確か……ゲーム「ラブチュチュ」は、この恋愛度が100になると、攻略可能状態なので、と言う事は……孝之……俺を攻略しに掛かっていると言う事なのか!? と言う事だった。
なら、この恋愛度を上げなければ、バットエンドになると言う事か……そう考えていると
「由希乃? どうかしたか?」
孝之が聞いて来たので、俺は
「何でもないよ」
正直に言ってみると
「そうか、なら遅刻すると不味いし、ちょっと急ぐか」
「うん、解った」
スマホをしまって、とりあえず……俺のやる事は決まった。まずやる事は「孝之とヒロインとの好感度を調べる」事と「初崎由希乃の交友関係」を調べる事にしようと決めて、学校へと向かう事にしたのだった。
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