第2話
さて……俺がこの「ラブチュチュ」の隠しキャラの、初崎由希乃になってしまったようなので、元の体に戻るには…………主人公の孝之と恋愛をして、ハッピーエンドを迎えないと駄目って事なのかも知れなかったが……俺は、そんなのは嫌なので、別の方法を探す事に決める。
「さて……まずは、孝之と攻略対象キャラの好感度だよな……」
ギャルゲーの「ラブチュチュ」に出てくる攻略キャラは、五人で、幼馴染の西村舞、後輩の水無月あかね、図書委員の風見理子、僕っ子で同級生の沖島ユウ、先輩の高村菫の五人だった。
この「ラブチュチュ」と言うゲームを、オールクリアーした俺にとっては、大体のイベントは覚えているんだが……この隠しキャラの初崎由希乃は攻略した事がないので、これから何が起こるのか? が、全く解らなかった。
「まず……季節だよな……今、何月の何日だ?」
ラブチュチュのゲーム開始時は、「七月一日」からスタートで、夏休みに入る前にエンディングと言う事になるので、まず俺は、今が何月の何日なのか? を調べる事にした。
部屋の中を見渡しても、カレンダーとか飾っていなく、全く日にちが解らない……じゃあ、どうするか……と考えて、部屋の外に出て、他人に聞くか、他の部屋でカレンダーを見つけるしかないよな……と思い、部屋の外に出てみる事にした。部屋から出ると、廊下に出て、反対側に扉があるのを発見して、開いてみる。中を見てみると、いかにも男の部屋って感じだった。
もしかして……ここが、孝之の部屋なのか? と思い、よく調べてみると、孝之の鞄と学校の制服があったので、孝之の部屋だと確信。部屋を物色しても、カレンダーを見つけられなかったので、移動する事にした。移動して、階段があったので、下に下りてみると、リビングに声が聞こえたので、リビングに行くと
「お、どうした? 由希乃?」
テレビを見ている、孝之の姿があった。
孝之の格好は、Tシャツに長ズボンで、思いっきり寛いでる感じがした。
とりあえず俺は、孝之にこう聞く事にした。
「ねえ、今日って何月の何日?」
そう聞くと
「おいおい何言ってるんだ?今日は、七月の第一日曜日だろ?」
「え……七月……」
「どうした? 由希乃」
「ううん、なんでもない……」
そう言ってから俺は、自分の部屋に戻る事にした。戻ってから考えると、七月って事は、イベントがほとんど始まっていない状態じゃないか?って感じだった。
じゃあ……攻略対象者、五人と孝之の関係って、一体どうなってるんだ……と思い、とりあえず隣の西村舞の家へ、出かける事にした。
家の外に出て、隣の家に向かい、表札を見て「西村」と書かれてあったので、インターホンを鳴らす。
すると、「はーい」と声が聞こえて、四十台ぐらいの水色の髪の女の人が出てきた。
多分と言うか、この人が、ゲーム「ラブチュチュ」でも登場した、西村舞の母親、西村志保さんなんだと思う。
「あら、由希乃ちゃん、どうしたの?」
「志保さん、舞さんって……」
「舞? 今は遊びに行っているけど……何か舞に用事?」
「いえ、用事と言う事では無いです」
「そう?」
「はい、お邪魔しました」
そう言って、志保さんと別れて、自宅に戻る。
これで解った事、まだ何も始まっていないんじゃないか? と言う事だった。
オールクリアしたので、西村舞のシナリオを思い出すと、西村舞は、ゲーム「ラブチュチュ」だと、最初に出会うキャラで、朝、主人公が外に出ると「孝之、待ってたわよ? 一緒に行きましょうか?」と言うのが、最初の出会いだった。ちなみにイベントを進めていくと、夏休みの前に、西村舞に留学の話があがり、舞は孝之に「私がいなくなったら、どう思う?」と言うイベントが発生して、ここで選択肢を間違えると、バットエンドになってしまい、ハッピーエンドだと、家に残って主人公の孝之とラブラブ状態になっていて、バットエンドだと留学してしまい、ゲームオーバーとなる仕様になっていた。
舞シナリオは、ハッピーエンドとバットエンド、両方やり込んだので、今の状況は……まだイベントが何も発生していないと言う事なんだと思ってしまった。
そうなると……他のキャラもイベントが発生していないと言う事なのだと思う。
うん……とりあえず……他の攻略対象キャラにも会って見るとするか……少なくとも、俺はそう思っていた。
まず、他の攻略対象キャラの事だが……主人公の男友達として、接してくるのは、沖島ユウだった。
俺は、沖島ユウのシナリオをクリアしているので、内容もほとんど覚えている。
沖島ユウのシナリオは、最初、主人公に対して、男友達として接してくる。
ユウシナリオを進めていくと、途中から女と言う事をカミングアウト、制服も男子用から、女子用にチェンジと言う仕様になっていた。
いや、普通に男装少女とかおかしいだろ?とかつっこみたくもなるが、そこはゲームだからと言う事で、納得して貰いたい。この沖島ユウが、男子用の制服を着ていたら、好感度が低い状態で、女子用の制服を着ていたら、高い状態だと言う事が解るのだが……
「ん~……学校に行かないと会えないって事だよな……家、知らないし……あと、この初崎由希乃って何歳なんだ? 実際……」
そう思い、再び家の中を捜索してみると、学校の制服があった。ゲームと同じ仕様の制服で、リボンの色で解れてあり、赤色が三年、緑色が二年、青色が一年となっているのを思い出して、リボンを見てみると、青色のリボンだった。と言う事は……後輩の水無月あかねと同じ学年と言う事になるって解り、俺は、もしかしたら水無月あかねに会えるかも……と、ちょっとわくわくしてしまった。
まあ、何にせよ、学校に行ってからだよな? と思い、日曜日だと聞いたので、次の日が学校の登校日なんだと思う。あの女子用の制服を着て、登校しなくちゃならんのか……と思い、憂鬱だったが、これもしゃーないので、些細な事は諦める事にして、情報を集める事に、専念する事に決めた俺だったのであった。
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