Take3 行ってきます

「陸ー、蒼温ー、遅いんじゃない?」


ドア一枚を隔てた向こうから

母さんの声がする

気まずさに詰む

それでも蒼温は笑ってる


制服を取り返して

平静を取り戻して


カバンを持って部屋から出る

母さんの声はスルー

気軽さは虚無

これでも目一杯笑って


「行ってきます」


平静を装って

失敗は否めない


蒼温は僕を待って家を出る

母さんに声をかける

気さくさは普通

これまでと変わらず笑って


「行ってきます」


平然として

平凡な声で

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