第49話

「ますたー、言われた通りしてた、褒めて」


「ああ、ありがとな。何か変なことはされなかったか?」


「平気、でもメイド達がマスターのことカッコいいって言ってた。仕事じゃなければ告白してるとか、子供欲しいとか」


 ほ、ほぅ……それはいいことを聞いた。


「でもグーシュヴァンドが許さないから絶対にそれは出来ないっても言ってた」


 ……何だが嬉しいのか悲しいのかわからなくなってきた。


 グーシュヴァンドに好かれること自体は悪くない。


 今は神銀クラス、直接の決闘が無ければ戦うことになるのは1年以内にはあるだろう。


 スキルを使えれば勝機はあるか?

 まだグーシュヴァンドにはスキルを使ってない。


 その状態で気に入られるのは本気で好かれているのか、それとも……

 

「見つけたショウ君!また勝手にいなくなったから探したんだよ!」


「すまん、ちょっとグーシュヴァンドと話をしてたからな」


 城を出て神銀エリアでノーフィに見つかるが、グーシュヴァンドの名前を聞くとほっとした表情が一変する。


「大丈夫だったの?ショウ君、グーシュヴァンドさんにはあまり近づきたく無いって言ってたよね?」


「まぁな、でもそれも分かりつつある。それより特訓はどうだ?今日は俺もそっちの特訓に参加するからな」


「それなら、実はあの後決闘を挑まれたんだ」


「そっちこそ大丈夫だったのかよ!?」


「当然だよ!私もだけど、ヒスイが頑張ってくれたからね!」


 翡翠をノーフィが構えると、弓全体が炎に包まれていた。


「風と炎か、相性も使い勝手も良さそうだな」


「シアちゃんも決闘で雷の魔罪武器を吸収していたからきっと強くなってるはずだよ!」


「そうか……ん、そう言えば誰と決闘したんだ?相手は神銀クラスなのか?」


「あ、えーと、それがね……」


 ノーフィが取り出した校章、それは神白金クラスの校章。


「決闘したのはなんだ。実はね、ククリちゃんもリリアちゃんもグーシュヴァンドさんを倒して欲しいみたいなんだ」


「……は?」


 いや待て、どう言うことだ?

 何故2人がグーシュヴァンドを?


「詳しい話は直接聞いた方がいいよ、まずは戻ろう?」


「ああ、そうだな」


 にしてもグーシュヴァンドとシア、ノーフィが同じクラスか。



 ── グーシュヴァンド様は気に入られたモノは誰にも渡しません……お気をつけて


 メイドの言葉、何か嫌な予感がする。


 まずは説明を聞きに行こう、何かわかるはずだ。

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