第47話
「完璧です、それてばグーシュヴァンド様のお部屋へご案内致します」
「ああ、ありがとう」
洗体が終わり気が付いた時には全身に謎の液体を塗りパンツ一丁にされ、俺は真っ白な扉の前に座らされていた。
まるで俺の心を表しているかのよう白だな。
そして扉を開けるとそこにはフィエ。
「準備できたんだね、賢者モードかな?とにかく暖かいから、こっち来るといいよ」
そう、今の俺は超賢者モードだ。
今もしもフィエが全裸で自慰をしていたとしても誘惑されない自信があった程だ。
フィエは全身を羊の様なふわふわの寝巻きに身を包み、シングルサイズのベッド10個分はあるこれまた巨大なベッドに座り俺を呼ぶ。
「……俺にここまでして何をするつもりだ」
「まずはこっちに来てよ、ほらほら」
言われた通りにベッドの端に座った瞬間、金縛りにあったかのように身体が動かなくなる。
それは抱き枕の様にフィエに抱きつかれていたから。
両手も縛られて触れることすら出来ない。
「ぐっ……」
「やっぱり思った通りだ、ショウは抱き心地が最高だ」
抱きつかれて気づいたが、寝巻きの中には下着を着ていないな。
だが邪な考えは起きない、それは好都合だった。
「この為に俺を呼んだのか?」
「そうだよ、ダメかな?」
「駄目って訳じゃないが……」
「もちろんタダでとは言わないよ、ショウはボクを倒すつもりでしょ?その情報と交換ってことでいいかな?」
まぁ、当然わかってるよな。
遠慮は要らないってことなら……
「単刀直入に言う、フィエのスキルは何なんだ?」
「それを言ったらショウはボクに構ってくれなくなるから内緒、でもヒントなら教えてあげるよ。ボクにはね、ある欲求がないんだ。ボクのスキルはその反動がそのままスキルに表れてるんだ」
「欲求……」
「というか今のボク達を見れば答えだと思うけど……ショウは特別だから大ヒントだよ」
今の俺達と言えば一緒に寝ている。
寝ているには2つの意味がある、1つは睡眠を取り休息すること、もう1つはセックス。
だが今の俺は賢者モード、つまりフィエのスキルは……
「眠らせるスキルか」
「誰か、ちょっと来てくれるかな?」
フィエの声で扉を開けメイド幼女が深々と頭を下げ、フィエと目を合わせると糸の切れた操り人形の様に倒れてしまう。
フィエ、いやグーシュヴァンドの瞳は奇妙な長方形に変化していた。
「ボクには性欲が無いんだ。そして君にはボクの抱き枕になって欲しいからね。今までに何人かで試したんだけどボクが抱きつくと発情した嫌な匂いを出すから賢者モードになってもらったんだよ」
「性欲の代わりに睡眠欲が異常にある、それがスキルにも現れてるってことか」
「これ以上は言えない、でも眠らせるスキルがボクのスキルだと思ってくれていいよ。それにしてもやっぱりショウは特別だ!今まで処分した抱き枕達とは別格だよ!」
「……処分?まさか、今までに抱き枕にしようとした男達は」
「殺したよ」
グーシュヴァンドは、嗤っていた
「殺す必要があったのか?」
「食欲の無い時にこれを食え!なんて無理矢理食べさせてきたら怒るよね?それと同じさ」
……これだ。
グーシュヴァンドに感じた相容れない感覚。
こいつは本当に人を枕程度にしか思っていない。
だから簡単に
「それじゃ次はボクの番だね」
グーシュヴァンドと目があった瞬間、急激な眠気に襲われる。
「もし君が寝ている間に興奮したら殺すから気をつけてね、それじゃ……おやすみなさい」
「待て……それは……」
それは、朝勃ちでもってことなのか?
……愚息よ頼む、今だけは静かにしていてくれ。
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